第14話 小さな出会い
キャバレークラブ、所謂キャバクラは千絵にとても合っている仕事だったと思う。
美味しく酒を呑み、人から注目され、それに伴い給料も上がる。
そのうちに、佐奈子は飲酒運転の罰金を払終え、大阪府の実家に帰ってしまった。
千絵は怖い家に独りでいる気にならず、すぐにワンルームに引っ越しをする。
ある日コンビニエンスストアに行こうとすると家のアパートメントの前でダンボール箱が置いてあった。
中からはガサガサと音がする。捨て犬か、捨て猫だろう。
家に帰り、夕方までダンボール箱を眺めていた。道行く人たちが子猫を拾っていく。
千絵は昔からそういう事をしばらく観察はするが、最終的には頬ってはおけない
ダンボールの箱の音はか弱くゴソゴソとしており、たまらずに外に出て中を確認する。
まだミルクも飲めそうにない大きさの、左目に障がいを負った子猫が糞で汚れていた。
「左目に障がいがあるから拾われなかったのか」と一人憤慨する。
家に連れて帰り、まず風呂に入れる。乾かした後ホームセンターへ走り、必要と思われる物を購入した。
ミルクを飲ませ、暖かなベッドを用意した。
疲れているようで、子猫はすぐに眠りについた。
子猫の名前は「モコ」に決まった。由来はモコモコとしていたからだ。
その日から生活全てが変わった気がする。
大好きなゲームも出来ずも悪戯で部屋は荒れた、だがそれでいいと思えた。
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