第13話 別れと転職
公園で佐奈子がデリバリーヘルスか、男の家から帰ってくるのを待つ日も多くなった。-なぜか昔から家の前には公園がある-
佐奈子は当時暴力を振るう彼氏がいたが、彼氏の家に入り浸っていた。それほどまでに家が嫌だったのか。
「なんで付き合ってんの?」千絵が聞くと、佐奈子は足を組みなおし、腕も組み天井に指をさした。「天国に連れて行ってくれるから」と答えた。
その時は冗談かと思ったが、どうやら本気だったらしい。
聞いた話、佐奈子の彼氏は最低な部類に入る。
暴力はもちろん、前の彼女と激しく性行為をしている時に女性器から胎児が出てきてトイレに流したと笑っていたという。
逃げたくなるときもあったようだが、実家も本名も知られている。
デリバリーヘルスの事も知っている。「今は好きやないけど、実家に来られるのが怖い」とよく零していた。
その後何度も揉めてやっと別れることができ、佐奈子の男遊びは拍車がかかった。
だが今までの来歴からすると好きにすればいいと思う。
そのうちに千絵はワンランク上のキャバレークラブで働きだし、麻雀屋を辞めた。何年働いたのかは覚えていないがとても愉快で楽しかった。時給は八千円を超し(それで佐奈子の給料には到底追い付かないが)佐奈子から呑み代を奢ってもらう日も無くなった。
キャバレーといっても踊るわけではなく、客に酒を注ぎ話すか、話を聞くだけだ。
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