第12話 幽霊屋敷
自由というものは、千絵の生活に彩りを放った。よく佐奈子と呑みに行く。
暇な時と言えば、佐奈子はちょこちょこと色んな男と遊びに行くことだ。
千絵は極力男がいないときに遊びに行った。
一度だけ、佐奈子、千絵、それに男が二人と共同温泉に入ったことがある。
もちろん何もなかったのだが「めちゃくちゃスタイルいいなぁ」と男から褒められた。
それまで自分のスタイルなど気にしてなかったので正直に驚いた。
佐奈子はそれを聞いて、腕を組み少し黙っていた。
夜空が眩しいほどに輝いている。温泉の温度も心地良い。
心地良いはずなんだが、最初に口を開いたのは佐奈子だった。
「もう出よ。熱くなってきた」
ぞろぞろと四人は温泉から上がる。
千絵は家に帰り、佐奈子はお気に入りの男の家に泊まった。
佐奈子はいつも違う男の家に行く。(後に一人の男に絞られていくことになるが)それは遊び盛りの千絵には羨ましいことだった。
千絵と佐奈子の家は恐らく、所謂幽霊屋敷だ。
家に帰るのが怖くて、佐奈子が帰宅するのを家の前で待っていることもしばしばとあった。
真夏に佐奈子と共に大坂の実家に帰り、三日ほど家を開けると風呂場のドアが閉まっている。
佐奈子も千絵も風呂から上がるとドアを開けっぱなしにする。
恐る恐るドアを開けると、水びだしで、黒い長い髪が風呂中にへばりついていた。
もちろん佐奈子も千絵も黒髪ではないし、髪の長さも違う。
盗まれたものなどはない。幽霊ではなかったとしたら、鍵をこじあけた愉快犯か変態だろうか。
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