三人の唄姫
円卓に三人の唄姫が均等な距離を取って座っていた。
「初めまして、ミリアさん。わたくしはクレア。よろしくね」
クレアはおっとりとした口調で話した。
「はい、よろしくお願いします」
「やっほ~、ミリア。うちはレイア。よろしく~」
レイアは、風のような奔放さでミリアに挨拶した。
「はい、よろしくお願いします」
「はは、そんなに緊張しなくても良いよ。唄姫なんて、うちでも勤まる位なんだから肩の力抜いて気軽に行こうよ」
「レイアさん。適当なことを言わないでください。ミリアさん真に受けてはなりませんよ。ジーナさんの言う事をよく聞いてちゃんと振舞ってくださいね」
「レイアの言う事も間違ってるじゃん。うちら神様なんだぜ?どんな振る舞いしようが自由なんだよ」
「神だからこそ、威厳を持った振る舞いが必要だと、わたくしは考えますわ」
「お二人ともお辞めくださいませ。ミリア様が困っておられます」
「「あ」」
「ごめんなさいね」
「わりぃ」
「いえ、大丈夫です」
「まあ、うちとレイアの言う事は矛盾してるけど、本当はどっちも正しいんだ。だから、まあ好きなようにしてくれ」
「はい」
「では、唄姫の役割について説明しますわね。と言っても殆ど知っている事でしょうけど……」
クレアは唄姫の役割について説明をした。要約すると以下の内容になる。
・唄姫は再臨際の間に一人の騎士を選ばねばならない。
・騎士を選んだ後は、戦争のたびに従軍し戦う義務がある。
・騎士が死んだ場合、
・蘇らせた鬼士は、1時間後には消える。
・消えた鬼士は
・唄姫は死ぬまで辞めることは出来ない。
「はい、知っています」
「まあ、うちも唄姫になってるから何の忠告にもならねぇと思うけど、辞めるならいまだぜ?」
「そうですね。騎士を選んだら後戻りは出来ませんものね」
「辞めることできるんですか?」
「ああ、滅多にないが、唄姫が自分に相応しい騎士が居ないと判断したら辞められる。その場合、唄姫の力も失うことになり、別の者に力が移る。そうなった場合、家族に支払われたお金は弁償する事になるけどな」
「そうなんですね……」
(でも、家族はきっとお金を使ってしまっているだろうから辞めることは出来ないな)
「説明は終わりだ。後は飯食って寝るだけだ」
「それは、あなたの場合でしょう?わたくしは訓練しますわ」
「無駄だと思うけどね~。どうせ30手前には死ぬことになるんだし。好き勝手に生きたほうが良いと思うんだけど」
「前例が無いだけで、天寿を全うする可能性はありますわ。わたくしの鬼士シルトは誰にも負けませんわ」
「イリアも同じこと言ってたけど死んじまったじゃねぇか……」
レイアはとても悲しそうな顔で、そう言った。
「それでも、わたくしは出来る事をやります」
「そうかい……」
唄姫の寿命は短い。それは呪いではなく、戦場で戦死するからだ。鬼士同士が戦った場合、簡単に決着はつかない。引き分けのまま1時間経過する事が多い。だが、それでも鬼士は死ぬ事がある。不死身の再生能力があっても首を刎ねられたり心臓を破壊されれば即死するのだ。
そうなった時、唄姫は無防備になる。もちろん護衛の兵士や騎士は他にも居るが、鬼士を止めれる者は居ない。結果、唄姫は30手前で死ぬ事になる。
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