　しんどい第一位殿堂入りは、風呂上がりに髪を乾かすことであると先のエピソードでお伝えした。

　では第二位は……というとこれも地味につらい。寝スマホができないこと。

　私、寝る時は横向きでスマホをいじってたんですよ。しかしまず横向きになれないんだよね。髪の毛が貼り付くし、横顔が枕カバーに触れるのも痒いから。

　おかげでベッドに入ると速やかに寝るようになった。痒み止めの成分による倦怠感（飲んだ後は乗物の運転を控えるようにと注意されている）、やっぱり何度も目を覚ますせいで体が睡眠を欲してるというのが大きいようだ。どうせすぐに痒みの発作で起きることになるんだけどね……。

　続いて第三位は、鼻がかめないこと。

　マスクによく当たっていた鼻の先端も荒れに荒れて、赤鼻のトナカイならぬ赤鼻のトキダイ化してるんで、ティッシュで押さえてチーン！　ができない。仕方ないから、ティッシュでこよりを作ってこしょこしょしている。

　花粉のシーズンなら鼻栓するしかなかったよね。

　ところでこの酒さ様皮膚炎の対処法についてだが、私の場合はプロペト（白色ワセリン）と痒み止めを処方された。つまり保湿だけしてどうか痒みに耐えておくんなましというわけだ。

　スキンケアについての指示もなし。

　またメイクについても何も言われなかった。何なら初診の時に落としたファンデーションを、先生と看護師さんの前でパフパフ直して帰ったくらいだしね。

　しかしネットで検索すると、肌断食を推奨される方も多いらしい。

　肌断食とは、水洗顔のみで化粧水や乳液など一切のスキンケアをやめて肌を休ませること。そうすることで肌本来の機能が回復させ、肌質の改善を目指す……というものである。もちろんメイクもストップだ。

　うーん…………せっかくだしチャレンジしてみるかい？　少しでも早く治るなら、何でもやってみるべきだ！　（但し、肌に負担をかけない範囲で）

　で、やってみた。

　無理だった。秒で洗顔フォーム使った。

　だって！

　プロペトのやつ、強力すぎるんだもの！！

　何度洗っても洗っても、ペトペト感が全く落ちやしないのよ！！！！

　プロペト――白色ワセリン。

　市販もされているが、処方されるものとは微妙に効果が違うという。

　市販品は買ったことがないが、病院で処方されたものはジェル状で伸びが良く、手触りはとても軽い。しかしこやつ、優しい感触とは裏腹に密着度がかなり高いのである！

　まず塗ると、ちょっと怪しげな美肌広告の人みたいにテッカテカになる。周りの景色が映るくらい、それはもうテッカテカ。

　何もしなければ、テッカテカは丸一日は間違いなく持続する。何なら多少触っても落ちない。ぴったり密着して、全く乾くことがない。

　恐らくプロペトさんの辞書には、乾燥という言葉はないのであろう。

　おかげで夜中に痒みで起きて、何回も何回もティッシュで押さえているにもかかわらず、翌朝になってもその部分にしっかり残っている。まじ強い。

　髪を乾かす時や寝返りを打った時などに、顔に髪の毛が貼り付いてキャーン言わされるのは、ほぼこのプロペトのせい。特に寝てる時は手袋をしてるから、髪の毛がくっつくと超大変。手にはステロイドを塗っているため、手袋を脱いで顔に触れさせるわけにはいかない。ティッシュオフくらいじゃ全然落ちない。最終的には、洗面所に行ってピンセットで取る羽目になる。ここまでくるとイライラを通り越して、悲しくなってくるよ……。

　そして今日、家で荷物の宅配を受け取ったら、配達員さんがテカテカ赤ら顔の私を見て「今日はお部屋にいても暑いですよね〜」と苦笑いなされた。

　プロペトよ……お前は敵なのか、味方なのか。