第3話 逃げ出したい。

 前回のあらすじ。

 初めてメンバーたちと顔合わせしたよ!開始早々、叫ばれた私。

 びっくりした私は、マネージャーの紗子さんに助けられたよ…

 あの時はどうなることやら…

 一難去ってはまた一難!今回はどうなるかな?

 ぜひ、楽しんでね!奈緒からでした~!


 プリ〇ュアみたいなあらすじで始まるこの物語。

けれど、言いたいことがある。まだ、メンバーたちは横にいる。

一時的に思考を異次元へと飛ばしているだけだ。(これはテクニックが必要です。真似しないでください。注意力がなくなります。)


 現実世界ではほわぁーとして見えるが、中では、こんなことを考えて緊張を紛らわそうとしている。


「……——さん。……———おさん。—奈緒さん!!」


 自分の名前が呼ばれ、現実社会へと思考が戻っていく。驚いて


「ひゃいっ!」


という声が出てしまった。すると、やれやれと思っているような顔で紗子さんは言った。


「もう一度言いますね?よく聞いておいてくださいよ?」


「はい」


「貴方がこのグループのリーダーです。」


 耳がおかしくなったかと思いもう一度聞きなおす。


「ですから、あなたがこの”アリア”のグループのリーダーです」


「…………へ?」


 一瞬で言っていることがよくわかり、次の瞬間には


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ??????!!!!!」


叫んでしまった。横にいるメンバーや紗子さんは耳を抑えて『うるさい』という顔をしている。いかにも迷惑そうだ。だが、こちらとしては心の中では大惨事。まず、兄が応募したアイドルグループでなぜか合格してしまったこと。次に、そのアイドルグループのリーダーということだ。どうしようか、と悩んでいると紗子さんはどんどん話を進める。


「では、明日からレッスンを行います。各自、この紙に指定されたレッスン場所と時間に合うように向かってください。」


「「「はい!」」」


 ほか三人は希望を見つけたように喜んでいる。口をぽかんと開けて唖然としていると凛空がちゃかすように追い打ちをかけてきた。


「これからよろしくね!リーダーさん!!」


そういって鼻歌を歌いながら凛空が出ていく。そして、またダメージを食らう予感が。


「………リーダー、よろしく。…可愛いから大丈夫だよ」


 海も荷物を持ちながらそう言い残して出て行った。最後の一言は慰めだろうか。ダメージにしか感じない。


「だ、大丈夫ですよ!奈緒さん、な、なら!一緒に頑張りましょ…!」


 そういったのは凛。このグループでの癒しキャラかもしれない。この一言で一気に救われた気がする。


 一人残った部屋で、頭を抱える。


「これから、どうしよぉ…」


 悩んでいると、兄がやってきた。


「なーちゃん!どうだったー?」


 能天気な兄。困ったものだ。人がこんなに悩んでいるのに、関係ないとでも思っているのだろうか。


「もぉぉぉぉぉぉ!!!!!」


 兄に怒れないのが癪である。アイドルになりたいと思っていたころもあったし、自分も紛らわしい言い方をしてしまったからだ。


考えた結果、続行することにした。今やめてしまったら、迷惑がかかるしそれにこのままっていうのは奈緒のプライドが許さないからだ。


『頑張ろう。』


そう心に決めたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る