第35話  僕と彼女と淡い気付きと

 簡単に結論など出るはずもなく、ベッドの上に寝そべり始めてから一時間後、僕は遥香の家にいた。


 悩んでいるうちに梓の体調が大丈夫そうなら来られないかと遥香からメールが来たためだ。


 彼女の提案にOKと送り彼女の家に向かった僕はつい先程まであのように悩んでいたのにも関わらず、また彼女と体を重ねてしまっていた。


 体を起こしベッドの上に腰掛けると自分の欲望に素直な様子に軽く自嘲気味なため息を漏らす。


「ん……蒼熾?」

「……何?」

「いや、ため息吐いてたから」


 遥香は布団に包まり横たわりながら心配そうな顔を僕に向けてくる。


 大丈夫というふうに彼女の頭を優しく軽く撫でる。


 それでも彼女は僕が内心に隠し込んでいる気持ちに気付いたのか、彼女は体を起こすと僕をギュッと抱きしめてきた。


「……昨日の夜、あの後……いややっぱりなんでもない」


 彼女は発しかけた言葉を押し留めた。


 その代わりに僕の唇に長いこと彼女の唇を重ねてきた。


「ねぇ、そーし。好き」

「……」

「好き好き好き好き好き好き好き好き」


 彼女は僕の体を押し倒すと上気した顔を僕の胸に近付けてキスをし、少しの間強く吸ってきた。


「ん……」


 僕の体に浮かび上がる小さな痣。それを見ていると彼女を確かに感じて少し不思議な感じがした。


「ふふ、キスマーク付けちゃった」


 彼女は悪戯げに微笑むと僕の劣情を煽る顔をして、耳元で囁いてくる。


「蒼熾は私の——だから」


 僕はその言葉に堪えきれずに僕を押し倒していた彼女をひっくり返すと、彼女に馬乗りになり、彼女の体に同じようにキスマークを付けた……。



 彼女といるとあっという間に時間が過ぎる。


 その後も二人でゆっくりとしているともう夕方になっていた。


「今日の夕飯の担当僕だし、そろそろ帰るね」

「……うん、わかった。今日はありがとう。……二上さんにお大事にって伝えといて。それじゃあバイバイ」


 少し名残惜しそうにする遥香にキスをする。キスをしたとき脳内に梓の顔が過ぎり、その複雑な感情が顔に出そうになったので玄関の扉に手をかけて外に出た。


「……ちゃんと伝えておくよ。バイバイ」



 僕が帰り、一人になった玄関で遥香は立ち尽くしたままそっと漏らした。


「蒼熾ってひょっとして、私のこと——なのかな……、それならなんで?二上さんと……」




 翌日から、梓は宣言通り僕とは学校などの公共の場では関わってこなかった。


 放課後は遥香と過ごして、家に帰ってからは梓と過ごす。


 基本的に週末は僕と遥香で出かけて、それにたまに梓が付いてくる。


 そんな生活を送る内にあっという間に時間は過ぎ去り期末試験が終わり、そして僕たち三人の夏休みが、ある意味では最後となった夏が始まった。




———————————————


更新が物凄く遅くなって申し訳ありません

諸事情で夏休み編は一部割愛してお届けします……(文化祭の時期を構想の段階では夏休み前に置いていたんですが、どう考えても夏休み後ですね……どうやってそこまで時間消化するんだ……)

三日に一話は更新していきたい……

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僕の好きな人とセフレになった元カノと 磯城 @PokeDen

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