第30話  僕と彼女たちと小競り合いと③

 僕の服を決めるのにかなり時間がかかったらしく、いつの間にかお昼の時間を過ぎていたので僕たちはフードコートに移動した。


「何食べる?」

「……私はカレーにしようかな。蒼熾は?」


 遥香って、カレー好きだよな。前も遊園地で食べてたしなと思いながらメニューを眺める。


「僕はお腹空いたからカツ丼でも食べようかな、梓はどうする?」

「ナポリタンにしようかなと」


 注文をして席を取り、雑談をしながら各々の料理が完成したというブザーが鳴るのを待ち、ブザーが鳴った人から撮りに行き、全員分が揃うと僕たちは食べ始めた。


 しばらく各々の頼んだものを食べていると梓が躊躇いがちに声をかけてくる。


「あの、蒼熾くん、どうぞ!」


 そうして差し出されたのは彼女が頼んだナポリタンを絡めたフォーク。


「えっと……これは食べていいよってこと?」

「っはい!」

「じゃあいただきます」


 そのまま彼女の差し出すフォークを口にパクリと含む。


「ん、ナポリタン美味しいね。僕のもいる?」

「えっ、あっ、その……」

「いや、別に僕の口付けたやつとか嫌だわって言うなら断ってくれて構わないんだけど……」

「いえ、そんなことはないです。是非ください」


 そうして彼女は口を開く。


 あーんってことでいいんだよな?


 僕が箸を向けてもそのまま口を開いているのでそういうことだと判断して彼女の口にカツを入れる。


「ん〜〜、美味しいです」

「それならよかった」


 顔を綻びさせる梓を見て自分が料理をしたわけでもないのに嬉しくなる。


「ねぇ、蒼熾」


 今度は少し機嫌の悪そうな遥香の声を聞き、彼女の方を振り向くと、


「ん、なnムゴムゴ」


 いきなり彼女に口を塞がれ、同時に口の中に何かが流れ込んでくる。


 最初は彼女の舌かと思ったが、固形物ではなく流動体のものであることから違うことが分かった。


 どうやらキス伝いで僕の口の中に彼女が頼んだカレーを流し込んだらしい。


「遥香……、梓が見てるんだが?」

「?別にいつもやっていることでしょ」

「いや、別にいつもやっているわけでh」


 再び彼女によって強制的に僕の口の中に流し込まれる。


 流し込んだあとも彼女は僕にディープキスをし続ける。


「はぁはぁ、あの……遥香」

「いつも通りだよね?」


 僕は何故か意固地になっている彼女に屈して頷いた。


 そうすると彼女は機嫌を良くして、満足げに微笑んだ。


 そんな遥香を何となく見つめていると隣から僕を刺すような鋭い視線を感じて、梓の方を向く。


「梓?」

「蒼熾くんは……絶対に……」

「おーい、梓」


 何やらボソボソと呟いている梓の前で大丈夫か〜と手を振る。


「ん?どうしたの?蒼熾くん」


 彼女はニコニコと笑い、僕のことを見ている。


「いや、ちょっとおかしかったから」

「私が?いつも通りだと思うけど」

「……そうか。もしさっきみたいに体調が悪いなら言ってくれよ」

「……ええ」


 梓の体調が悪いという部分を聞いて遥香が少し眉を顰めていたが特に何も言うことはなかった。




———————————————


梓さんターンがもう少しで到来とだけ

取り敢えず五万文字書いて……このままだったら……

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