第2話  元カノと家で〇〇〇

 放課後、メールの指示通り僕の家の近くの公園に向かい、ベンチに腰掛ける。


 近頃錆びれていた滑り台や、シーソー、ブランコなどが撤去されてベンチのみになってしまったこの公園。土日の朝などはおじいさんやおばあさんが集まってゲートボールをしているが、遊具が一切ないこの公園には今誰も人がいない。


 空を流れる雲を漠然と眺めているとしばらくしてポンポンと叩かれる肩。


「お待たせ、蒼熾そうし


 その声に振り向いて立ち上がる。


「それじゃあ行くか、遥香」

「ん」


 無言で歩くこと五分。


 今は誰もいない僕の家に到着し、家の玄関を開き、中に入ると同時に僕の口が強引にこじ開けられ、彼女の舌が侵入してくる。僕は驚かされながらもそれに応じる。


 経つこと三十秒。彼女の舌に引く唾液、トロンと蕩けた顔、そしてほんのり上気した頬が彼女の魅力を引き立てる。……少しグッとくるものがあった。


「ハァハァ……今日はいきなりどうしたんだ?」

「……そーしは巨乳の方が好きなの?」

「!?」


 今日の昼休みの話のことを気にしていたのか。思わず彼女の胸を見つめてしまう。平原……、いや控えめだな。


 失礼なことを考えているとバレたのかムスッとした顔を向けられ、頬を引っ張られる。


「痛い痛い、ごめんって」

「それでどっちが好きなの? 大きいのと小さいのと」

「……どっちも個性でいいと思うよ」


 苦し紛れに絞り出した言葉。


「本当?」

「ああ、本当本当」

「それなら良かった。……じゃあ早くベッド行こ?」


 先程の顔を綻びさせ、僕の前でだけ甘い顔を見せてくる上にそんな甘ったるい声を僕に投げかけてくる天使様。そんな誘惑に僕が耐えられるはずがない。


 欲望に忠実になり彼女の手を引いて、僕の部屋に入る。


 僕と彼女は体を重ね合う。


「ちょっ、そーし。激しすぎ……。三回もするなんて……」

「ごめん。可愛かったから……」

「可愛い? それならよかった!」


 身に何一つ纏わぬ生まれたばかりの姿で顔を真っ赤に染め上げる彼女。その様子が僕の中の何かを煽る。


 ……ごめん、陽介。僕の方がよっぽど猿みたいだ。彼女の華奢な体を抱きしめる。


「遥香、もう一回いい?」

「フフ、仕方ないな〜。いいよ。おいで。そーしだったら私の全部、好きにしていいよ」

「っ!」



 その後、事後特有の渦巻く倦怠感に体を預け、腕に彼女の温もりを感じていると彼女がガバリと体を起こす。


 そろそろ帰らなきゃと言い、彼女が服を着出す。


 扉を開けて家を出ればくっ付けていた体を離し距離を取って、お互い無言で公園まで歩く。


「じゃあまた明日」

「ん」


 公園に着くと、そう軽く別れの挨拶を交わして別れる。


 なんとも淡白でそれでいて少し歪な関係。これに名前をつけるとしたら、おそらく僕と彼女にはセックスフレンド、通称セフレという関係が似合うのだろう……。

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