あと7日 うまく笑えてるかな
たとえば、キミが前のめりに屈んだその一瞬に、さらっとキミの前を陣取るような俺。
傷つくキミが見たくないから何てのは建前で、ただ何となく、キミの全部を知っているのは俺だけであって欲しかった。
だけどそんな男の我儘で、キミに嫌な思いもさせたくない。
「どうかしたの?」って無邪気な顔で尋ねてくる君に、俺はうまい言い訳も思いつかずに「なんでもない」って曖昧に返す。
少し意地悪な顔で怪しんでくる君の距離感がゼロ距離になったとき。
その柔らかな感触に、うまく笑えている自信が無くなった。
どうか、今彼女も俺と同じ顔をしていますように。
たとえば、家が隣同士なことを口実にキミを部屋に誘う俺に、何の警戒もしないで二つ返事をくれるキミ。
俺だけが特別だって信じたいのに、自信が無くて。
キミが他の人と予定を付ける前に、俺の方からキミの予定を埋めてしまう。
ただの友達に嫉妬してしまう自分が、ひどく情けない。
もしかして、キミが俺の予定を気に掛けてくれるのも、同じ理由だったりするのだろうか?
「そんなわけないよな……」なんて自分に言い聞かせた俺の瞳には、いつも通り物憂げな顔で授業を受けるキミの姿が映っていた。
勉強嫌いなのに、授業は真面目に受けるキミ。
そんなキミを、どうしてこんなにも遠くに感じるのだろう。
ついさっき送ったラインの返信には、「ちゃんと授業を受けないと、もう勉強教えてあげないよ」とだけ返ってくるものだから、余計にキミの事がわからなかった。
キミは一体どんな気持ちで、こんなにも早く返信を返してくれたのか。
どうしよう、次の休み時間は、なんだかうまく笑えない気がする。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます