第17話

□博多の森陸上競技場

  それぞれの高校の選手達が続々と競技場へ入っていく。

字幕「インターハイ予選・地区大会」


□同・観覧席

  観衆も続々と入って来る。


□同・更衣室

  彪、ベンチに座って瞑想している。

  ドアが開き、中にいる選手達がざわつく。

  彪、瞳を開ける。

  ドアを開けたのは、幸太だ。

  幸太、ゆう然と彪に近づき、

幸太「たっぷりとネエちゃんからシゴかれてきたかい?」

彪「…ふん。そっちの方があんたらしいぜ」

  幸太、不敵な笑みを浮かべる。

  彪と幸太、向かい合う。


□同・メイントラック

  それぞれの種目が行われていく。

  ユニフォーム姿の選手達が走っている。

  長距離走だ。

  続き、走り高飛びをしている選手。

  走り幅跳びをしている選手。

  やり投げをしている選手。


□同・百mトラック

  選手達が審判員の召集を受けている。

  選手達の中に、彪と幸太の姿もある。

審判員「一組目。千百九十二番、春日幸太、

百道学園。四レーン」

幸太「はい」

  ユニフォームの表と裏の番号を見せる。

  幸太に他の選手達の鋭い視線が向く。

  彪、戻って来る幸太に、

彪「百メートルだけなんだな、走るの」

幸太「油断してたら足元すくわれるよ? 大

切な彼女のこともね」

彪「…今は関係ねぇ」

  幸太、小さく微笑む。

審判員「五組目。九百三十五番、黒崎…ヒョウ、久山学園。三レーン」

彪「はい。黒崎、アキラです」

  審判員のもとへ向かう。


□道路・福祉タクシー・中

  車椅子の歩萌、後部座席に座っている。

  額の傷痕を前髪で隠している。

  運転手の岡、ミラー越しに歩萌を見て、

岡「今日は混んどるねぇ」

歩萌「はい…」

  窓から渋滞を見ながら落ち着きがない。


□博多の森陸上競技場・百mトラック

  幸太、ダントツの一着でフィニッシュを決める。

  観衆がどよめく。

    ×    ×    ×

  彪も一着でフィニッシュを決める。

    ×    ×    ×

  観覧席の悟朗と美幸、手を取り合い喜ぶ。


□同・砲丸投げ場

  悟朗、砲丸をあごに構えている。

    ×    ×    ×

  観覧席の彪と美幸、悟朗を見守っている。

    ×    ×    ×

  悟朗、渾身の力でオブライエン投法。

悟朗「ん……ダァー!!」

  砲丸、大きな弧を描いてズッシリとフィールドに落ちる。

観衆の声「おおー」

  悟朗、審判員を見る。

  審判員、白旗を揚げる。

  悟朗、喜びのガッツポーズを決める。

    ×    ×    ×

  観覧席の彪と美幸、笑顔になる。

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