第15話

□久山学園・グラウンド

  ベンチに置かれたコンポからポップな音楽が流れている。

  彪と悟朗、リズミカルに足を交互に振り上げ、手足を交差させながら進んでいく。

  ベンチで構えている美幸、声を張って、

美幸「そう、身体を大きく使ってリズミカルに! 使っている筋肉、動いている関節を意識して」

  彪と悟朗、両足を揃えて腰をひねりながらジャンプして進んでいく。

  ダイナミックストレッチだ。

    ×    ×    ×

  七台のハードルが一列に並べてある。

  彪と悟朗、かがみながら身体を交差させてハードルの下をくぐって行く。

    ×    ×    ×

  彪、仰向けになって頭上のメディシンボールを持ち、起き上がると同時に前方で構えている悟朗にボールを投げ渡す。

  悟朗、ボールを受け取り、再び彪に投げ返す。それを繰り返す腹筋運動だ。

    ×    ×    ×

  悟朗、仰向けになってバランスボールを両足に挟み、膝を曲げ伸ばしする。

  悟朗、歯を食い縛って汗まみれだ。


□同・直線トラック

  彪、クラウチングスタートで構えている。

  スタートブロックから勢い良く飛び出す。

  低い姿勢で接地の切り替えしが速い。

  美幸、彪の疾走を目で追いながら、

美幸「地面を押すように、そう!」

  手を叩いてピッチのリズムをとる。


□同・砲丸投げ場

  悟朗、右手に持った砲丸をあごにつけて構えている。

  美幸、隣で投法の動作を見せている。

  悟朗、美幸にならって、上体をかがめて投射方向に対して後ろ向きに立つ。

  それから左足を低く突き出し、右足をすばやく引きつけながら上体をひねり戻す。

  そして遠心力の勢いで右手を突き出して砲丸を投げる。

  オブライエン投法だ。

  美幸、悟朗を見て満足げに腕を組む。


□同・円周トラック(夕方)

  美幸に続いて、彪と悟朗がジョギングしている。

  彪、夕焼けの茜空を眺める。

  晴々とした顔つきだ。


□黒崎家・彪の部屋(夜)

  彪、黄色いスパイクをブラシで丁寧に磨いている。

  彪、スパイク裏のピンの緩みを確認しながらピン回しで調整する。

  穏やかな表情だ。

  彪、壁に掛けたカレンダーを見上げる。

  過ぎた日にちに『×』印があり、インターハイ予選日に『◎』印がついている。

  予選日まであと二週間を切っている。


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