第13話
□海浜公園・砂浜
美幸、笛を鳴らす。
『ピッ!』
彪と悟朗、笛の合図に合わせてジャンプ。
続いてサイドステップ。
スクワット。
ダッシュをして砂浜を駆けていく。
アジリティ練習だ。
彪、砂を蹴って走っているため、足が後ろに流れている。
美幸「アキラくん、足が後ろに流されないように。地面をつかんで!」
彪「はい!」
悟朗、ボテボテになりながら走っていく。
悟朗の後を追ってコゴロウがついて来る。
悟朗「フガ、フガ……」
コゴロウ「アン。アン!」
美幸「悟朗くん、ファイトよ!」
悟朗「ふぁ、ふぁい!」
彪と悟朗、その表情は晴々しい。
美幸、二人を見て微笑む。
□高層ビル・レストラン(夜)
夜景を一望できるテーブル席に美幸と須藤が向かい合って座っている。
須藤、美幸に頭を下げて、
須藤「すみません、春日先生。幸太の怪我はオーバーワークによるもの。私の責任です」
美幸「……」
須藤「私の指導が行き過ぎていました」
美幸「骨に異常はないと聞きました。ただ…」
須藤「インターハイ予選までに怪我が完治するかは…しかし」
美幸「須藤先生、大丈夫です。幸太ならきっと…あの子は強い子ですから」
が、浮かない顔で夜景を眺める。
□総合病院・廊下
美幸、花束を持ってやって来る。
□同・歩萌の病室・前
美幸、ドアの前まで来て立ち止まる。
『小倉歩萌(おぐらともえ)』のネーム。
美幸、ドアノブに手をかける。
□同・中
美幸、ドアを開けて入って来る。
美幸、ハッとなって、
美幸「あっ」
歩萌がベッドから起き上がっていて、外の景色を眺めている。
美幸、喜びが込み上がってきて、
美幸「小倉さん」
歩萌、振り返り、
歩萌「……」
ゆっくりとベッドから降りようとするが、
歩萌「……!!」
顔が引きつって倒れそうになる。
美幸、ハッとなって歩萌に駆け寄り、
美幸「小倉さん!」
歩萌を抱きかかえる。
歩萌「はぁ、はぁ、はぁ……」
目が見開き、パニックで呼吸が荒れる。
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