28話人喰い列車の謎

28話人喰い列車の謎


宇宙歴4993年9月13日 15:53

惑星:地球 宇宙列車ステーション



アリス「人喰い列車がいると発覚したのはこの駅で乗り込んで食べられる前に違和感に気づいて命からがら逃げてきた一般人からの垂れ込み。


すぐに利用者の命を危惧した宇宙列車の経営者から依頼がきたらしい。」


兎丸「経営者だから御用達アンドロイドがいるのか!お金持ってそうだもんね!」


アリス「そうだね。」


乙骨「それで?かのアンドロイド様方はどちらに?」


アリス「ここで16時に待ち合わせって吟一さんのメールには書いてあったからそろそろ来ると思うんだけど」

そう言って腕時計を見るアリス




??「いやぉ!えらいすんません!」


??「……」


声のする方向を見ると

陽気そうで笑顔で背中に大きな扇子を背負っている赤い髪の青年と

不機嫌そうな狐の耳と尻尾が特徴の青年がいた


??「兎丸ちゃんにアリスさんお噂はかねがね!うちの翼やらハミやらもお世話になっとるみたいで一回ご挨拶せなあかんなぁと思いよったんですわ!

そちらさんは新しいお仲間さんですか?」

テンションが高いまで話を進める赤い髪の青年


兎丸「私たちのこと知ってるんだね!改めまして兎丸です!乙骨くんとは今日お友達になって調査も一緒することになった!」


乙骨「乙骨と申します。以後お見知りおきを」


アリス「俺も改めて譜破アリスだ。よろしく頼む。翼やハミがお世話になった…ということは….ハイリさんのところの」


??「せやせや!絡繰倶楽部のアンドロイド!

わしはロシーいうて

こっちの無愛想なんがコン。

どうぞよろしゅう!」


コン「俺はよろしくするつもりはねぇよ」


ロシーと名乗る赤髪のアンドロイドは

3人に軽く握手をした



ロシー「ほな!怪人退治と早速行きましょか!!」


アリス「どの列車か検討がついてるのか?」



ロシー「いんや?数打ち当たるや!なんでもなってしばらくせな正体、現さんらしいけん!

バンバン乗ってこ!」


そう言ってとりあえず今きた電車に乗り込んだ

それに続きコン、アリス、乙骨



兎丸「よっと!」


最後に兎丸が乗り込むとちょうど出発の合図が鳴り扉がしまった。




電車は全部で9両編成

3人が乗り込んだのは5両目ちょうど真ん中だった。



兎丸「なんか血の匂いしない?」

人のいない車両内で

違和感にいち早く気づいたのは兎丸だった



アリス「!お前、鼻もいいもんな…

二手に分かれて様子を見ていこう。」


乙骨「どう手分けしましょうか?」


兎丸「うーん、この前迷宮の時は倶楽部ごとに別れたから〜今回はグッパーしましょ!」



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宇宙列車 6から9号車



乙骨「ふむ……」


コン「………」


アリス「(どうしよめっちゃ気まずい)」


グッパーでパーを出した三人は後半の列車を見回るが


アリスはすごく気まずくなっていた



アリス「(ほぼ初対面の二人とまさか一緒とは…いやまぁ兎丸は初対面でも興味持ったら質問するしゼロ距離だけど……俺はそれができないれ!)」


乙骨「うむ…7号車も特に何もありませんねぇ。いやはや困った困った。」

全く困ってなさそうに言う乙骨


アリス「み、みたいだな…次行くか…」



コン「ちっ!」


アリス「(兎丸ぅううううう助けてぇ!!)」


険悪というか居心地の悪すぎる現場にアリスは心の中で悲鳴をあげていた。



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宇宙列車 1から4号車


兎丸「ん?」

兎丸はふと後ろの車両に振り返った


ロシー「どないしたん??」


兎丸「いや。今アリスくんの声が聞こえたような気がしたから。」


ロシー「ほんまか、わしにはなんも聞こえんかったけど」


兎丸「気がしたからだけだから気のせいかな?」




ロシー「ほうか?そんな次行こか?この3号車にもなんもなかったみたいやし」


兎丸「うん!」


兎丸とロシーは2号車へと訪れた


兎丸「血の匂いだんだん強くなってる!!」



ロシー「ほんまか!?

いやぁ、しっかし列車の中が怪人やとするとちぃと狭いなぁ」


兎丸「そうだねぇ、私、動き回るタイプだから戦いにくい。ロシーくんは?」


ロシー「ワシは機体自体はそこまで派手に動かんけど武器の広範囲攻撃でもはや大道芸やさかい。こう言う密室やと攻撃しにくいわ。周りを危険に晒すわであんまり好きではないなぁ」


兎丸「へー!」

2号車を見回りながら会話をする兎丸たち

特に何もなかったため



1号車に入ると


兎丸「!?」

また何もないかと思えば車掌室に入る扉の前に人間の血が散乱していた


兎丸は慌てて駆け寄ろうとするが


ロシー「いったらあかん!!」

ロシーは軽々と抱き上げて止める



兎丸「なんで!だってあれ人間の血!」


ロシー「見りゃわかる。

どう考えてもあそこに近ずいたけんあぁなったんも分かるやろ?

迂闊に近づいたらいかんよ。

一回冷静になり」


兎丸「ぅ…」

ロシーに言われて一度冷静になる兎丸



ロシーはあたりを見回して足元にあった紙屑を手に取ると血が散乱している車掌室の扉へと投げた。




すると車掌室がバンっ!と音を立てて開きそこから大きな牙と舌が紙屑を飲み込んだ

兎丸「!?」


ロシー「なるほどなぁ。(あの扉に刺激与えたら怪人がお出ましというわけや)」




アリス「おーいこっちにはなんもなかったぞ…!!」


アリスたちもちょうどいいタイミングで2号車まで戻ってきていた。


アリス「その血…」


ロシー「あぁ実はのぉ」

ロシーは先ほどゴミを投げた時に出てきた怪人について三人にも話す。


アリス「なるほどな…俺たちも一つ気づいたんだがこの列車さっきからどの駅にも止まってない。おそらく入ってきた獲物を喰らうまでは止まらないだろう。


そして止まらないとなれば人間は普通、車掌室に理由を聞きに行く」


ロシー「おおかたそれで車掌室に近寄ってきた人間を喰らうんやろうな。」


兎丸「じゃあ怪人の本体はこの列車ってこと?よく人間一人逃げ切れたよね。」



ロシー「逃げれた一般人はどうせ死ぬならと思って窓から飛び降りたらしいし。

列車自体もちょうど宇宙空間やのうて星に入り込んで地面もあったみたいやし運が良かったんやな。」




アリス「そうだな」



乙骨「いやはや、こんな大きな轍の塊どう倒しますかねぇ。」


兎丸「手当たり次第ボコボコにしていけば?」


アリス「なんでコスパの悪い。そんなことしたら車両が乱れて脱線ちゃって危ないだろ」


兎丸「あ、そっか!」


コン「ふん、怪人は頭の小さな核さえ破壊すればその時点で殺されて電車も嫌でも止まるだろう」



兎丸「え!?そうなの!?」


アリス「なんで対宇宙怪人用アンドロイドがおどろいてんだよ!」


兎丸「いや知らなかったから」


アリス「いっつも下級怪人倒す時は頭ぶっ飛ばしてるじゃん」



兎丸「あ、ほんとだ。すごい感だね!」


アリス「なんの感だよ…」


ロシー「せやなぁ。今一番安全な安全なんは息の根止めることやし。

生け捕りは無理そうかぁ」


乙骨「相変わらず人間もアンドロイドも怪人に対して慈悲が深いようで。」


兎丸「普通だと思うけど。よし!ではその核ってやつを探そうー!」



アリス「はいはい。…と言いたいところだけど。怪人の命とも言える核だあるとすれば最も安全な場所だろうから」


兎丸「最も安全な場所?」

兎丸の頭にはハテナが浮かんだ


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少し場所を変えてから




兎丸「で、その最も安全な場所って?」

兎丸は改めてそういった


アリス「あそこだよ」

アリスはそう言って先ほどの車掌室を指差した



兎丸「え、あんなかにあるってことは一回怪人に食べられなきゃいけないじゃん!!」


乙骨「とゆうか…一回食べられたら次はないのでは??」


兎丸「はっ!そうだった!」


コン「お前、アンドロイドなのに少し…いやかなり阿呆だな。」


兎丸「ほぼ初対面ですごい罵倒!!」


ロシー「ん〜、でも乙骨くんのいう通りやで。

核を壊すために食べられなあかんけど食べられたら核を壊すこともできんなんて本末転倒や」


皆が困ったと頭を抱えていると


アリス「別にあの車掌室から馬鹿正直に入っていく必要はないよ。外から入ればいい。」


兎丸「中…あ!列車の窓ガラス!!」


アリス「あぁ、星に入ってしまうと被害が拡大しかねないからできればこの宇宙空間を列車が走っている間に仕留めたい。

そのために命綱だったりいろいろ必要になるけど」



ロシー「命綱なら任せて!コンの尻尾は伸縮自在で超丈夫やしコントロールもし放題で九つもある!めっちゃお得やで!」


コン「人を商売道具みたいに言ってんじゃねぇ。で?誰が窓ガラスから行くんだ?」


アリス「(尻尾を命綱にはしてくれるのか)」


兎丸「私行く!!楽しそう!」

と元気よく挙手する兎丸


アリス「いうと思った。任せる。

それで怪人は窓ガラスから入ろうが襲ってくる可能性はある。


兎丸から気を逸らすためにロシーは俺と内側のから戦闘をしてもらいたい。」


ロシー「任せとき!!」



乙骨「あたくしも何かお役に立てることはございますか?」


アリス「もちろん!

怪人の抵抗で列車のスピードを挙げられて星に突っ込まれたりしないよう

そして核を壊して列車が止まるいわば急ブレーキになったりしないように乙骨にはがしゃどくろを使って電車のスピードを外からゆっくり落としてほしい」


乙骨「あい、分かった」


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アリスとロシー以外は念の為車掌室から一番離れた9号車へと映った


兎丸「うわぁ!ふかふか!」

コンが渋々兎丸と乙骨には尻尾を巻き付けようと伸ばすと兎丸は抱きついた



コン「ちっ!」



兎丸「ごめんて!」


乙骨「いやはや素晴らしい尻尾で。」


コン「サッサッと言ってこい」


コンは9号車の窓を開けると尻尾を使って乙骨と兎丸を宇宙空間へと放り出した



しっぽでつながれたまま列車の屋根に乗る二人


乙骨「…さてと。」

乙骨はそのままその場で胡座をかくとがしゃどくろの全身を出した。


そして線路にその足を落とすと

列車を後ろから鷲掴みにしてがしゃどくろ自身をストッパーにして徐々にスピードを下げていく。


兎丸「おぉ!全身出せるんだ!すげ〜!」


と感心していた兎丸だが


兎丸「感心してる場合じゃなかった。言ってくる!」



乙骨「お気をつけて」


乙骨の見送りを受けて兎丸は再び1号車へとかけて行った。



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1号車への屋根の上へと到着した兎丸は


窓ガラスと縁に手をかけて逆立ちしたかと思うとそのまま勢いよく膝蹴りで窓ガラスを割った。



半、飛び込むように車掌室に入った兎丸


兎丸「あっぶな!!」

兎丸はすぐ下に大きな穴が空いているのに気づいて踏ん張る


どうやら人間で言う食道のような構造で

穴の中からは胃酸のような匂いがした。


正面には舌でアリスとロシーを襲っている車掌室の入り口から差し込む光



兎丸「(二人とも戦ってくれてる…早いところ核を見つけないと)」


入り口からのわずかな光を頼りに周りを見渡す。


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一方その頃 


ロシーとアリスは怪人の強靭な舌と交戦していた。




ロシー「はっ!」

背中に背負っていた大きなセンスを広げてそれを振りかざすと

風の斬撃で怪人の舌はスパスパと切り傷を負う


ロシー「いっちょやったりまっせ!!」


さらに扇子で煽り風邪を起こし攻撃を続ける



アリス「!!!!」


アリスも負け時とレーザー中で応戦する。


何度も繰り返し兎丸に注意を向けさせないように努める二人



すると舌は切り裂かれたところから分裂してミミズのように細かい形態になった



方向を変えて複数で襲ってくる舌



ロシー「!よいしょ!!」

ロシーはセンスを最大限開き盾にした



アリス「っ!!!」

アリスはその盾を使いながらレーザー銃で分裂した下を撃ち落としていく。



しかし、何度やっも再生をくり返し


扇子の盾が突破されるのも時間の問題だ。



アリス「!!(兎丸!頼む!!)」

口の中に兎丸の姿を見たアリスは心に祈りながら応戦を続けた




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再び視点は兎丸に戻る



兎丸「まじでどこ!?」

兎丸は食道落ちないようにバランスをとりながら必死に核を探す。



すると上の方に見えにくいが怪人の肉に囲まれた薄赤色の核を見つけた




兎丸「!!!あった!!」



兎丸は手を腕を足を必死に伸ばして核を掴む



すると


〈ギャァァォァァォァァォォァォア!!〉


怪人は核を掴まれたことにより強烈な叫びをあげた。



コン【おい、うさぎのアンドロイド。骨の怪人によって列車のスピードは十分落ちぞ。

今なら人食い列車を殺しても差し支えない】


そのとき耳のインカムからコンの声が聞こえた

どうやらスピードが落ちたことを目視したコンがタイミングを見計らって連絡してきたらしい




兎丸「分かった!!壊れろぉおおおお!!!」

兎丸はコンの言葉を合図に核を力強く握りつぶした。


薄赤色の核は飛び散り電車は乙骨のがしゃどくろのおかげで急ブレーキがかかることもなく安全に停車した。



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ロシー「よっこらしょ!

よぉやったの!嬢ちゃん!!飴ちゃんあげよな?」

ロシーは動かなくなった怪人の口の中にいる兎丸を抱き抱えて1号車の車内へと引っ張り出した


そのタイミングでコンの尻尾もシュルシュルと外れて回収される。




兎丸「えっへん!」

誇らしげな顔をする兎丸



アリス「大活躍だったな兎丸」


兎丸「でしょ!もっと褒めていいよ!」

と言いどやる



兎丸「あっ…」


アリス「ん?」



兎丸「今更だけど宇宙空間で窓ガラス割ったらアリスくんやばくない!?」


アリス「怪人の仕組み自体は宇宙列車そのものだし。

宇宙列車は常に酸素が機内中に回るこうぞうになってるしそこまで心配しなくても大丈夫だよ。」


兎丸「そなの?」


アリス「あぁ、おおかた宇宙列車と怪人が融合してたんだろうから。」

とアリスは列車を見渡しながらそう解説した。


乙骨「列車なんですがこの前最寄りの星まで押していきましょうか?」

いつの間違い1号車の上に移動していた乙骨は窓を覗きながらそう言った



アリス「あぁ、頼めるか?」


乙骨「お安い御用で」


乙骨はアリスの返事聞くと窓から離れてがしゃどくろを再び出すと列車を引っ張るように操作する


それにより列車はゆっくり動き出す。




___________________________________



アリスとロシーが各所に連絡している間に


兎丸は再びコンに頼んで尻尾の命綱をつけてもらい屋根に登ると乙骨の元まで来て腰を下ろした。



乙骨「おや?どうしましたか?」


兎丸「ん?アリスくんたち色んなところに連絡してて暇だから出てきてみた!」


乙骨「いやはやそれはそれは。星が瞬きとても綺麗ですから良いの判断かと」


兎丸「ほんとだ!すごいねぇ!アリスくん流石に屋根の上までは出れないから写真撮っと後で見せてあげよ!」

兎丸はスマホを構えて何枚か写真を撮った


乙骨「こうして宇宙空間を自由に出入りできるのは怪人とアンドロイドの特権ですからねぇ。」


兎丸「確かに!」


乙骨「もうそろそろ星に到着しますね。」

列車を引っ張っているがしゃどくろの先に最寄りの星が見えてきて乙骨はそう言った


兎丸「ほんとだ!アリスくんたちに教えない

と!」


ふと思い出したように兎丸は乙骨の方を見ると


兎丸「あ、そうだ!バタバタしたけど帰ったら乙骨くんの歓迎会やろうね!!」


そう言って乙骨から一度離れてアリスたちに知らせにいく


乙骨はその背中を見て自然と笑みが溢れるのだった。


兎丸「それとアリス君のエロ本のありかも教えてあげる!」


乙骨「それはいらないですね。


___________________________________


人食い列車もとい退治した怪人の死体を怪人研究所に引き渡し


乙骨のことも説明して正式にアリス宅で預かることが決まった翌日



兎丸「かんぱーい!!」

オレンジジュースの入ったグラスを高く掲げて兎丸はそう言った。


その背後には乙骨くん歓迎会と書かれた弾幕が



乙骨「お二人ともこれからお世話になります」


アリス「こちらこそ」


兎丸「アリスくんの家だと私が先輩だからね!

なんでも聞いて!」


アリス「なんだそれ」



コウ「ふむ、ならば俺もだな」


イナズマ「僕もだね!」


とどこからともなく現れたコウとイナズマ


アリス「ぎゃぁあ!お前らまたどっから!」


コウ「家に新たに住人が増えるもの垂れ込みが入ったので兎丸に相応しいか見にきた」


イナズマ「うさちゃんの未来のお婿さんとして連れ込んだ男を威嚇しに」


アリス「帰れ!!」


乙骨「随分賑やかですねぇ。」


兎丸「うん!私は好きだけど!」


そうして新たな仲間が増えた兎丸とアリスであった。

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