27話 上級怪人乙骨との出会い



宇宙歴4993年9月13日 13:05

惑星:地球 どこか深くの森林



大きな大きな桜の木の根元から


緑色の髪の着物を着た男が木の葉の間から溢れる日差しの眩しさに眉を顰めて瞼を開く



??「………んん〜?おや?おやおや?ここは小さな桜の木の苗木があったはずでは…


こんなに大きく…ふむ、少し昼寝をしすぎたようで」


背伸びをしながらそう言った男は辺りを見渡すと麓にある街に目が止まりその方向に足を進め出した。



赤い瞳に黒い眼球角膜と尖った耳を陽に当てながら……


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宇宙歴4993年9月13日 13:36

惑星:地球


珍しく一人で過ごす休日

兎丸はショッピングにきていた


兎丸「ふふん♪ふふん♪」

新しい服を買い、可愛い食べ物を食べご満悦でスキップする兎丸



そこに野良猫が戯れてきて


兎丸「こんにちは、猫さん。」

兎丸はしゃがんで猫の頭を撫でる。



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その後方で洋服屋のウィンドウに手を置きボーッと見ている緑髪の男は


次の瞬間、勢いよくガラスを割った。



通行人A「きゃぁぁぁあ!ガラスが割れたわ!」



通行人B「怪人じゃないか!?」

見ながら騒ぎあたりはパニックになる。


兎丸「!?」

兎丸もその騒ぎに思わず振り返る


??「申し訳ございやせん。寝起きで少し制御が…っと。」

そう言って通行人を落ち着かせようと手を伸ばす緑髪の怪人だが


その伸ばした手の爪は白く鋭き伸びて通行人に遅いかかろうとしたそのときだった


兎丸「っ!!っぶないなぁ!!」


駆けつけた兎丸が釘バットでその攻撃を防ぎ弾き返す


??「!もしやもしや?アンドロイドで?」


兎丸「そーだよ!お前は怪人だよね??人間に危害加えるならここで叩き潰す」


??「ふむ…いくらアンドロイドでもいささか難しいと思われますが…いやはや、そもそもあたくしに戦う意志は…」

と怪人が言葉にしながら一歩踏み出すと

その足元から兎丸目掛けてまぁ白く鋭い何かが襲ってきた


兎丸「!?」

高くとにギリギリ回避するが飛び出した地面は割れに割れている


 

兎丸は体制を整えへて怪人めがけて最速のスピードで力いっぱいの打撃をかますが


兎丸「!?骸骨!!」


怪人を守るようにあらわれた頭から腰まである大きな骸骨によって



兎丸「へぶしっ!!」


逆に弾かれて吹っ飛んだ。


??「だ、大丈夫でございやすか?」

動揺しつつ様子を見る怪人



兎丸「んがぁぁあああ!!」

建物の瓦礫の下から出てきた兎丸は雄叫びを上げていた



そのまま高く飛び上がると


兎丸「(あれ骨だったのか!

バカ硬い!こうなったら1発でぶっ壊してやる!!)"トランスフォームゴールド"!」

兎丸はそういうと赤い髪も白い瞳も金色に輝く



そのまま釘バットを頭蓋骨めがけて振り下ろした




大きな音が響き振動により周囲の建物のガラスは割れる。


怪人が現れたことにより幸い人間達は避難しているようだが


それでも頭蓋骨にヒビが入るだけで割れることはない。


兎丸「!?トランスフォームでも壊せない!!」

目を見開く兎丸


??「(おやおや、がしゃどくろにヒビが…こんなことがあるとは)……アンドロイドのお嬢さん…少しお願いしても?」


兎丸「え!?なにを!?てか、今!?」


??「はい、あたくしは怪人…名を乙骨と申します。


長い昼寝の末、あたくし少し力の制限がうまくいかず。

このままでは人々を傷つけるばかり。


あたくしが制限する感覚を取り戻すため

ちょいとお手合わせを願えないかと」


乙骨と名乗る怪人はそう簡潔に話した


兎丸「そうだったの!?! 戦ったらそれ落ち着くの?」


乙骨「えぇ、えぇ、おそらくは」


兎丸「……わかった!」

兎丸はほんの少し考えると返事をした。


兎丸「あ、でもこれ以上ここで暴れたらここ一体無くなりそうだから場所変えよう」


乙骨「はて?この近くに人のいない場所がございましたかねぇ?」


兎丸「うん!……空の上!!」


兎丸はそういう時、骸骨の攻撃を潜り抜けて乙骨の足を掴み思いっきり空高くぶん投げた。



骸骨はそれに刺激されたのか乙骨の意思に反する様に大きさを増す


兎丸「さっきの地面に着くまでになんとかしようね!!」


と骸骨を足場にしながらそう言って再び戦闘体制に入った。



トランスフォームゴールドの制限時間は10分


地上に着くのもちょうどそれくらいの高さだろう





次々と襲いかかってくる骨を弾き返し負けじと釘バットを振るい落とす兎丸


乙骨「うむうむ」


乙骨がそういうとがしゃどくろの一瞬だけぴたりと止まり再び振り翳された


止まった瞬間に避けた兎丸は間一髪だが、

まだうまくコントロールできない様


乙骨「やはりまだうまく行きませんねぇ…長らく使ってなかったぶん力が有り余っている様で…」



兎丸「……!乙骨くん!かのね!我慢は良くないってアリス君がいってたから!!



一回全力で発散してみようよ!そしたらうまくいくかもよ!!」


乙骨「!えぇ、構いませんが?」



兎丸「さて!一緒に遊ぼう!骸骨くん!!」

ずっと乙骨と会話していた兎丸は今度はがしゃどくろに視線を合わせてそう言った


がしゃどくろはその言葉が分かっているの描いないのか


兎丸に再び攻撃を仕掛ける


兎丸「楽しいね!!骸骨くん!!」

満面の笑みでそう言う兎丸だが


何度もぶつかっているうちにいよいよ地面が見えてきた


その時だったがしゃどくろは急に攻撃をやめて

乙骨と兎丸を庇うような姿勢になった


兎丸「およ??」


乙骨「おかげさまでコントロールできやした」


と言った瞬間に二人は落下中のズレによって海に勢いよく落ちた。




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なんとか海から岸まで這い上がった二人

乙骨の力も発散できたのか骨で攻撃することもなくなった


服の水分を絞りながら二人は会話をする



乙骨「ちょいと昼寝をしている間にあたくしが知ってる街並みとは随分違ってましてねぇ


服も随分みすぼらし買ったので新しいのを買おうかとガラスに写った自分を見ていたらガラスを割ってしまい。あのような騒ぎに、面目ない」



兎丸「そうだったの?

最初私が勘違いしたんだね!ごめんなさい!!」

兎丸は頭を下げる


乙骨「頭をおあげください。

結果人々を怖がらせてしまったのは

事実ですので。


ですがどうか怪人研究所へのご連絡はご容赦いただきたいと。

一度、まだ未熟な頃やんちゃしていた時代に入ったことがありあのようなところには2度と行きたくないのです。」


兎丸「まぁ

人間を襲いたいわけじゃないしがしゃどくろももう大丈夫なんでしょ?なら更生施設にはいかなくてもいい…と思う…けどお家は?」


乙骨「おそらくないでしょうねぇ。」


兎丸「うーん。困った…」



乙骨「えぇ。困りました。」


兎丸「あ、うち来る??」


乙骨「VDAのカプセルルームですか?」


兎丸「おぉ、詳しい。けど違う!私はね!バディの地球人と一緒に住んでるんだ!」


乙骨「それはまた目から鱗なお話で」


そこに


アリス「兎丸!!無事か!!」

アリスが息を切らせて走って向かってきた


兎丸「アリスくん!よくここが分かったね!!」


アリス「ニュースとかでお前が怪人と戦って海に落ちたって騒がれてたから。まぁ怪人怖がって見に来る奴はいなかったみたいだが」


兎丸「ありゃまぁ」


アリス「で?お前が兎丸と戦ってた怪人か?」


乙骨「そうでございます。この度は大変ご迷惑を」


アリス「……見たところ悪いやつではなさそうだけど….」


兎丸「あ!そうそう!あのね!実はカクカクシカジカ!」



兎丸はことの次第を全てアリスに伝えた。


アリス「……おい待て、つまり乙骨も俺よ家に住むの?」


兎丸「うん!雨ちゃんたちみたいに研究はダメだし。お家もお昼寝してるうちになくなったしお金も300年前のしかないからホテルとかも泊まれないし。可哀想だよ!!」



アリス「あー!もう分かった!!分かったから!!」


兎丸の押しに簡単に負けてしまったアリスはそう言うしかなかった


乙骨「本当にいいので?」


アリス「仕方ないだろ。兎丸が言っちゃんだんだし…ただし!


お前らが最初に壊した商店街ちゃんと修復して怖がらせた通行人の人たちにも謝ったらな!

故意じゃなくても!!SNSの写真見る限り随分荒らしたみたいだし」


乙骨「それは喜んで」


兎丸「はぁーい!!」


アリス「あと掃除と料理も分担だからな」


乙骨「もちろん」


兎丸「えー!」


アリス「なぜ先住兎から文句が出る!!」


こうして乙骨という怪人が新たに譜破家の一員になったのだった。

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宇宙歴4993年9月13日 15:02

惑星:地球 


商店街をできる限り修復をした後(割れた窓ガラスなどはプロに兎丸のポケットマネーから依頼した。乙骨の分は出来高払い)



怖がらせてしまった人達に謝り

吟一さんにもことの次第を報告した。


兎丸【うん、それで一緒に住むことになったから。】


吟一【そうっスか!事情が事情なので君たちがいいなら大丈夫っすよ!

マスコミやSNSには自分と対トの情報管理部でいい感じに伝えておきますので】

と吟一も上手くしてくれるようだ。


兎丸【ありがとう〜!】


吟一【その代わりと言ってはなんっすがお二人に今日ご依頼が入りまして。しかも今からでして、結構急ぎなようだ受けていただけないかと】


兎丸【いいよ!!】


吟一【ありがとうございますっす!詳しいことはアリス君の携帯にメールしておきますので至急お願いするっす!】


というわけで吟一との電話を終えた兎丸


兎丸「アリスくーん!!吟ちゃんからメールきてなーい??」


兎丸が電話している間に乙骨と話をしていたアリスに兎丸はそう問いかけた


アリス「…メール?…今きたけど…これ」


兎丸「今から依頼!!」


アリス「でしょうね。待ってよ今簡潔にまとめるから…」

アリスはメールを全て読み



アリス「……宇宙列車の中に人を食らう人喰い列車がいるらしい…んで、それを捕まえるのが仕事」


兎丸「何それ怖!」


乙骨「列車そのものが怪人ということですかね?」


アリス「多分、見た目は普通の宇宙列車と変わらないらしいからまずは探すとこからだな。


あぁ、あと依頼主が御用達のヒューマノイドにも依頼しててさらに保険で俺たちに依頼してるから合同調査だって」


兎丸「おぉ!デジャブ!!」




乙骨「そちら、あたくしも同行しても?同じ怪人なら何か感じるかも」



アリス「それもそうだな…得体の知れない分味方は多い方がいい」


兎丸「だね!!」


こうして

アンドロイド、怪人、人間という奇妙なパーティーができるのだった

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