21話パーティー当日

21話パーティー当日


宇宙歴4993年6月15日  

人工惑星:技術ノ星

キングホテル


ホテルのパーティー会場の扉の前で


イナズマ「じゃんけんほい!!」



コウ「……」



イナズマ「あいこでしょ!」



イナズマ「あいこでしょ!」


イナズマ「あいこでしょ!」



コウとイナズマはじゃんけんをしていた。


イナズマ「あいこでしょ!!……またあいこ!?決まんないんだけど!!」

とイナズマは叫ぶ


アリス「えー。」


兎丸「だねー。」


それを眺めるアリスと兎丸



メイコ「外まで声が聞こえて来たけど何してるのよ…」

そこに黒いドレスに身を包んだメイコが呆れながら現れた


続いて


ロバートゥさん「(o^^o)」

タキシードを期待ロバートゥさん


ヴェール「よぉ」

スーツを着たヴェール


ドーラ「お久しぶりね」

パンツスーツを着たドーラ


アリス「みんな。今来たのか?

吟一さんとか他のアンドロイドは?」


ヴェール「林檎と亀吉と7はこーゆーイベントごとには早めに来る性分だから。もう来てるよ。


んで、林檎は性格があーだから他のアンドロイドと問題起こさないように吟一も見張り役できてると思うぞ?」


アリス「なるほど…吟一さんも苦労してるんだな。」


アリスは半目になってそう呟いた


ドーラ「で?コウとイナズマはなんでじゃんけんなんかしてるの?」


アリス「あー…それは」






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遡ること10分絵


ホテルのパーティー会場の扉の前


イナズマ「絶ッッ体!!僕がうさちゃんをエスコートするの!!」

そう言って兎丸の手を握って話さない

白色のパンツドレスに身を包んだイナズマ


コウ「はっ!笑わせてくれる兎丸をエスコートするのは兄であるこの俺だ。

そして兎丸に気安く触れるな」

落ち着いた色のスーツを着て兎丸の肩を抱くコウはお互い睨み合っている。


そしてその中心にいるのは

兎丸「……」

いつもより低めのヒールに白を基調とした

カクテルドレス

黄色と緑のリボンそして青色の宝石をアクセントにし

髪もイナズマ作で綺麗にまとめられている


兎丸だった


アリス「…じゃんけんで決めろよ」


____________________________

と言ってアリスの鶴の一声で始まったのがこのじゃんけん大会である



アリス「……と言うわけなんだ」


メイコ「キッカケもくだらないし理由もくだらないわね。

別にお披露目会じゃないんだから正式なエスコートなんていらないわよ。」




兎丸「え?そなの?」


メイコ「…知らなかったの?」


兎丸「うん!てっきりエスコート付きじゃないと入れないんだと思ってた」


ロバートゥさん「(°▽°)」


メイコ「そんなわけないでしょ。

そうだとしたら先に入った吟一達がペアになってエスコートで入ったことになるわよ…」


ヴェール「吟一と7はノリノリで行くだろうが残り二人は分かった瞬間帰る内容だな」


兎丸「それもそうか!じゃあ問題解決だね!みんなで早く入ろ?」


イナズマ「よくない!!」


ドーラ「そうねぇ、好きゆえに譲れないものってあるわよねぇ」


イナズマ「そうだよ好きゆえに譲れないんだよ!」


ロバートゥさん「(*´∇`*)」


メイコ「…あんた達はほんとに堂々と恥ずかしげもなく好意を言うわよね…」



イナズマ「メイコはツンデレさんだからね」


メイコ「誰がツンデレよ!!」


アリス「あはは…」


と言う会話をする横で

コウは片膝をついて兎丸の手を取り


コウ「…….残念ながら譲れないのはこちらも同じ。

兎丸…君を俺の我儘に付き合わせるのは心苦しいが…君をエスコートするチャンスを俺に与えてはくれないだろうか」


というなんとも聞いてて恥ずかしいセリフを言う


ヴェール「お前も相変わらずのシスコンで安心したよ。」


そのセリフを聞いてヴェールはそう言った


一方言われた対象の兎丸はと言うと


兎丸「私は仲良く入るのが一番だと思うけど、

正式なエスコートはいらないんでしょ?」


イナズマ「でもでも!やらせて欲しい!!」

抜け駆けしたコウの手を払いのけながらイナズマはそう言った


兎丸「うーん………あ、じゃあ!」

兎丸はとある提案をした。


_____________________________________


扉が開きパーティー会場が光が入ってきたものを照らす


そこにはすでにアンドロイドと人間が集まっている



そしてその視線はもちろん開いた扉に向く



ドーラやメイコ達が普通にパーティー開場に入った後に



兎丸の右側で腕を組む形のエスコートをとるコウと左側で手を重ねる形のエスコートをとった

三人組が続き


最後にその様子を不安そうに見ながらついていくアリスで全員だ




あたりを見回すとそれぞれ倶楽部や同僚で固まってい事が分かり


兎丸達もとりあえず吟一達の方へと歩み寄った



兎丸「こんばんわ!」

兎丸はそう言って挨拶する


吟一「はい。こんばんは。随分派手な登場で驚いたっすよ」

吟一は地味目のスーツを着てそう言った


兎丸「えへへ〜。いいアイデアでしょ」

そう二人同時にエスコートは兎丸が提案したものだった。


林檎「おみゃー、ほんとわーより目立つ行動とるだぎぃなぁ!」

と赤色のスーツの林檎は言う


兎丸「なかなかエスコートの事が決まらなかったから

そんな中このアイデアをだした今回の私は功労賞ものだよ?」


7「なっはっはっ!こりゃ表彰と食事後のダンスパートナー決める時も揉めそうだな!」

スーツの中でもラフな格好の7はそう言った


アリス「ダ、ダンスまであるのか?」


ドーラ「あらあらそれはまた譲れない戦いが繰り広げられるわね。」


亀吉「…全くもって理解し難い」

亀吉はシンプルなスーツに身を包む



するとそこにひげのながーいおじいちゃんとメガネをかけた七三分けの青年が階段を登った先…兎丸達が入ってきたのとは逆側の扉からSP二人を連れて現れた



兎丸「あれ誰?」

と兎丸は小声でアリスに聞いた


アリス「…確か、お年を召している方が防衛省の特別の機関に含まれるアンドロイド機関の一番お偉いさんだよ。

七三分けの人はその補佐官かな?」


兎丸「…ぼ、ぼ?」


アリス「…アンドロイド業界の中で一番偉い人」


兎丸「あー!」



補佐官「只今より、子島で起こった怪人騒動解決に大きく貢献した方の表彰を行います。


名前を呼ばれた方はこちらまでお越しください。」


七三分けの補佐官はそう言うと淡々と紙に書いてある名前を読み始めた


T型83番『翼』

H M型2番『ハミ』

NH型13番『ウィッチ』

R型8番『はり』_______


兎丸「なんかそわそわするね!」


アリス「シャキッとしてなさい」


兎丸「はーい」

次々と名前が呼ばれて表彰台へ向かうアンドロイド達を見ながら

自分の名前が呼ばれるまでそわそわする兎丸


BM型1番『ボマー』

Haa型18番『ハル』

MID型3番『メイド』

N型3番『ナース』______________


そしてついに名前を呼ばれる番がきた



補佐官「

RBT型0番『兎丸』

RIN型5番『林檎』

COU型1番『コウ』

……以上11体と



譜和アリス殿」


兎丸「じゃあ行こうか!。」

小声でアリスに耳打ちした後


アリス「あぁ…転ぶなよ?」


兎丸「はぁい。」


そう言って兎丸は表彰台に向かい

その後に呼ばれた林檎達も続く


____________________________



______________無事、表彰式を終えて


立食パーティーが始まった。


兎丸「あのおじいちゃん話長かった〜」

とサンドイッチをつまみながら食べる兎丸



アリス「こぼすなよ」

アリスはそう言って受け皿を兎丸に渡す。



吟一「みなさん本当にお疲れ様でした!」


吟一からの労りの言葉と共にガラスを合わせて鳴らすどーるくらぶの一員達


その後は他の倶楽部のアンドロイド達やその他に来ていた人間の関係者達と話をしたり食事を取ったりと自由にしていた



_________しばらくして


ダンスの時間がやってきた



周りは楽しみながらいろんなヒューマノイドや人と踊っている者もいれば



壁際でつまらなそうにする者楽しそうに踊っている者を楽しそうに見ている者さまざまだ



そんな中、意外にもアリスは壁際でソフトドリンクを飲みながら見ているだけだった。



アリス「……….」


兎丸「Shall we dance ?なんてね?」

そんなアリス兎丸は手を差し出してそう言った


アリス「……お前、イナズマやコウとは?もう踊ったのか?」




兎丸「ううん!二人とも流石にエスコートの時みたいに三人では踊るのはやだからちゃんとどっちが先に踊るが順番決めてから申し込むって!!


で、それに時間かかってるからアリス君と先に踊っちゃおうと思って!

なんだっけ?」


アリス「それは踊る順番を決めてる二人が怒らないか?主に俺に」



兎丸「さぁ?でも…なんだっけ?


なんかでっかいケーキ食べるパーティーとかの時には最初はおとーさんと踊るって聞いたことがある!」


アリス「誰がおとーさんだ」


兎丸「アリス君こそ踊ってる俺かっこいいとか言ってそうなのに踊ってないの意外だね?」



アリス「かっこいいのは事実だけど俺は踊ってなくてもかっこいいからいいの」


兎丸「……もしかして踊るの苦手?」



アリス「……….別に」


明らかにそっぽを向くアリス


兎丸「大丈夫だよ!私、ダンスは得意だから!リードしたげる!」


アリス「踊らない!」


兎丸「(めっちゃ見てみたいだけだから)お願い!一回だけ!」

そう頼み込む兎丸に


アリス「…一回だけだぞ…」

渋々許可をするアリス



二人はホールの隅っこの方で踊るがアリスはとてつもなくぎこちない。


兎丸「…….ほんとに苦手なんだね。」

思ったよりもぎこちないダンスに兎丸はそう言うしかなかった


アリス「そそそそそ、それより


コウとお前って兄妹だったんだな!?」

できるだけダンスから気を逸らすように話をするアリス


兎丸「え?うん!そう見たい!!」


アリス「?そう見たいって?」


兎丸「コウ君の初めて会った時からあーだったから」

そう言って兎丸はアリスの腕の下をくるっと潜った

____________________________

それは約7年前の出来事だった


宇宙歴4986年3月15日

人工惑星:技術ノ星

どーるくらぶ


兎丸が起動しそしてどーるくらぶに入って活躍し始めてからちょうど五日経った頃のことだった



兎丸「う〜ん!このパンケーキ見た目可愛いし激うま!!」

兎丸はうさぎ型で可愛いくデコレーションされたパンケーキを頬張りながらそう言った


吟一「気に入っていただいて良かったす!」

吟一はそう言って洗ったばかりのグラスを丁寧にふく


ドーラ「もうこの倶楽部にはなれたかしら?」


兎丸「うん!可愛いし!美味しいし!いいとこだねー!」


林檎「判断基準がおかしいだぎぃ」

と見回りの休憩中のアンドロイド達とゆるい会話をしているところに


焦ったように扉が開きそこからはコウが入ってきた


兎丸「……だぁれ?」


林檎「どーるくらぶのアンドロイドだぎぃ。

ランキング不動のNo1の」


コウはあたりを見回す


吟一「コウ君!?海外出張は最短でも明後日までかかるって一昨日連絡くれたはずじゃ….」

そんなコウに吟一は驚いたように言う


コウ「…!」

何も言わずに吟一を素通りすると

カウンター席でパンケーキを食べている兎丸の元へと行き跪いた。



コウ「俺はCOU型1番…皆からはコウと呼ばれている。


君の……兄という役割を与えられたこの上なく幸運な者だ。」

そう言ってなめらかに微笑むコウ


兎丸「…私の?」


コウ「あぁ…いきなりのことで困惑させて申し訳ないが、そうなのだ」


兎丸「そっか!分かった!よろしくね!コウ君ね!」


コウ「あぁ」

とあっけなく言う兎丸

そんな二人だけの空間を見ながら


林檎「…どういうことだぎぃ…てか、あいつあんな表情で笑うだぎぃか気持ち悪りぃ」


ドーラ「あら?いい顔じゃない?それに詮索するのは野暮よ?」


林檎「わーとっるだぎゃ」

とコソコソと話す林檎達



吟一「兎丸君のために帰ってきたのはなんとなく分かったすけど

コウ君、仕事ほんとにどうしたんスか!?」


コウ「……なんだ、吟一いたのか」


吟一「いたっすよ!?」


コウ「案ずるな仕事なら済ませてきた」


吟一「それならいいっすけど…」



その後、コウは兎丸の仕事自体にはあまり干渉しないものの兎丸に近づく虫には睨みをきかせ完全にシスコンとして認定されたのだった

__________________________________


過去の回想が終わり


アリス「初っ端からすげー出会い方だな…

んで?結局なんで兄なんだ?」

アリスは突っ込んだ


兎丸「さぁ?でも、本人がそう言うから特に理由は聞いたことないや!」


 

アリス「てきとうすぎんか?普通気になるもんじゃ……いや、まぁいいか


(コウが言いたくない可能性もあるし。1番は

兎丸がそーゆーの特に興味を示さないのもあるけど…)」


兎丸「?」


一曲終わることにその話も終わるころだった



イナズマ「うーーーさーーーちゃーーーん!!

僕がダンス先に勝ち取ったぁぁぁぁああ!?………もしかして筋肉チワワと踊っ後なの?」

と明らかに機嫌を悪くするイナズマ


アリス「いや!あの!イナズマ!これはだな!」


イナズマ「お黙り!筋肉チワワ!言い訳なんて聞かない!」


兎丸「あのね! アリス君にも教えてあげたんだけどね!

私が知ってるダンスのルールでね!

最初に踊るのおとーさんが最初なんだって!

だからアリス君がピッタリだなって!」

兎丸はアリスに言ったことをそのままイナズマに自慢げに言う


アリス「だから誰がかっこいいおとーさんだ」


イナズマ「……そっか!じゃあ許す!」

イナズマは不機嫌な表情がうって変わって笑顔になる


アリス「(兎丸のは聞くんかい!!)」



イナズマ「では、お手をどうぞ」

イナズマが差し出した手に


兎丸「うん!」

兎丸は手を重ねた。


アリスはこうして

苦手なダンスを踊り

兎丸とコウの不思議な兄弟関係という謎を抱え

イナズマからの理不尽極まりない罵倒を受けて


再び壁際に戻るり兎丸とイナズマのダンスを見る



二人も得意なのかそう言うプログラムが入っているのか


とてもリズミカルに踊る姿は絵になる


イナズマ「うさちゃん相変わらずダンス上手だねー!」


兎丸「うん!あのね!でもね!イナズマちゃんと踊る時が1番上手に踊れるの!」


イナズマ「何それ可愛い好き」


兎丸「?うん」


こうしてイナズマの短い幸福が訪れた。

いろんなアレンジを加えながら二人で楽しく踊る。



イナズマ「もう終わり??こーゆー時ってどうして時間の進みが早く感じちゃうんだろ?

体内時計は狂ってないんだけどなぁ」


兎丸「確かに!!」


____________________________

一方その頃


アリスは

イナズマとのじゃんけんに負けて二曲目が終わるまで兎丸を待っているコウに声をかけた


コウ「…なんだ。」


アリス「え、やっぱり用があるのわかる??」


コウ「昨日から貴様は俺が一人になるタイミングを見計らっているように見えたのでな。」


アリス「あはは…聞きたいことがあってさ…

兎丸の機体の中の骨について」


コウ「………ふぅ…」

コウはアリスの言葉にしばし沈黙してため息を吐いた。


アリス「やっぱり知ってたか。」


コウ「俺の口からあれを語ることはできん。」


アリス「(やっぱり教えてくれないか…)じゃあせめてなんで兎丸のお兄ちゃんなのかは?」


コウ「それはそう言われたからだ」


アリス「……そう。」

誰になんと言われたかはわからないなそれ以上は答えてくれないとアリスは感じとりそれ以降の質問をやめた

____________________________

二曲目も終わり三曲目が流れ始めると


コウが


コウ「一曲お相手願えないだろうか?」

そう言って姿勢を低くして兎丸に手を差し伸べた。


兎丸「いいよ!」

兎丸はそう言ってコウの手をとった


コウもスマートに無駄なく兎丸と踊る。


 

コウ「….君とこうして踊ることができるのはずいぶん久しいな。」


兎丸「そうだっけ?コウくん忙しいからなかなか倶楽部のイベントも参加できないもんね?

でも、今踊れてるからいいじゃん!」

兎丸は首を傾げながらそう言った


コウ「…あぁ、不甲斐ない俺だがまた踊ってくれるだろうか?」


兎丸「もちろん!なんなら私主催でパーティー開いちゃったり?」


コウ「それは非常に楽しみだ。必ず参加しよう」


兎丸「約束ね?」


コウ「あぁ」



こうしてコウとのダンスも終えた。


それからも何曲か曲が流れ楽しい一夜を過ごした彼がパーティーを終える頃には


朝日が登り始めているのだった。


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