18話(1日目)不気味な声

 4339年 5月18日 15:49

惑星:地球 トーキョー

渋Y区 譜破アリスの自宅



今日は休日、アリスはコーヒーを飲みながら本を読み

兎丸もアニメを見ている時だった。


ここ最近の来客といえば兎丸をこよなく愛するイナズマが多かった。


そして普段においては来客すらないアリス宅に

チャイムの音が鳴り響く。


兎丸「はいはーい!」


兎丸はなれたように玄関へとかけていき扉を開ける。


??「こ、こども…こんにちは」


兎丸「こんにちわ?どちらさまですか?」


イナズマでも宅配便でもなくそこに立っていたのはアリスと同年代くらいの青年だった。


??「えーと、俺、若 演舞っていいます!」


兎丸「私はアンドロイドの兎丸って言います?」


若「そうか!君が!

俺は、アリスの幼馴染なんだけどアリスはいるかい?」

長い髪をお団子にまとめたアリスの幼馴染


兎丸「うん!アリス君いるよ!」


兎丸はそういう時、「アリスクーン!!アリス君のお友達が来たよ!」

と大きな声でアリスを呼ぶ



アリス「友達って…若じゃねぇか!」

アリスは本とコーヒーを置いて玄関に近づいて人影を見るとそう言った。


若「よう、久しぶりだな?元気にしてたか?」


アリス「おう、まぁ入れよ」


若「あぁ、邪魔する。」


玄関で立ち話もなんだということでリビングで話すことになっな二人。


なんとなくで兎丸もそれに参加する


アリス「で?どうしたんだ急に?」


若「本当に急で悪い。

…実は俺が勤めてる保育園で怪人が出たらしいんだ…」


兎丸「!被害は?人間は無事?」


兎丸は慌ててそう確認をとる


若「おう、園内での被害は全くない」


アリス「らしいってのは?」


若「それが怪人を見たのが子供達だけなんだ。」


アリス「子供だけが?」



若「あぁ、かけっこしたりかくれんぼしてたりトイレに入ってる時だったり。職員の目が一瞬届かなくなった時に声をかけられたつってたよ。」


兎丸「…声をかけるだけ?」


アリス「…確かに気味が悪いな。」


若「あぁ、でも。子供達の中で怪人を見たっていうジョーク可能性も捨て切れないからって

ヒューマノイド倶楽部に依頼もできないって園長も八方塞がり。

それでお前がアンドロイドとバディを組んだって雑誌を見たことを思い出して相談しに来たんだ。」


アリス「なるほどな…雑誌のことは忘れてくれ」

アリスは顔をシワっとさせてそう言った。


若「お、おう?俺は子供達の言ってることは本当だと思うし、もしこの先声をかけられるだけじゃなく何か危害を加えられたらと思うと気が気じゃなくて。」


アリス「その声をかけられたって具体的には?」


若「なんというか…悪意はなさそうなんだよ聞く限りじゃ…

かくれんぼしてる時はここに隠れると見つかりにくいよって教えてくれたり。

飼育してるうさぎを見てる子にはうさぎ可愛いねとか。かけっこしてる子には早く走れる方法を教えたり…」


アリス「うーん…警戒心と知識のある大人より危機管理能力の薄い子供達を支配下に置こうとしてるとか?……微妙だな。」


若「パッとしないだろ?」


アリス「あまり賢い怪人ではなさそうだよな。…子供にちょっかいかけてる時点で。」


兎丸「え?そう?私、それでお菓子あげるって親切にされてそれが怪人って知らなかったら言うこと聞いちゃうから賢い怪人だと思うんだけどなぁ。」


アリス「お前はー、ほらあれだから」


兎丸「あれって?」


アリス「あれはあれだ。」


兎丸「?わかった!そいで?どうする?一旦見に行ってみる?

ちなみに私は行きたい!」


アリス「あぁ、行ってみるか」


若「いいのか!?ありがとうな!依頼料はちゃんと払うから安心してくれ!」


アリス「俺たちが単独で受けるから依頼料はいいよ。今から言えるか?」


若「逆に今から頼めるのか!?ずっと抑えてたけど本当に子供達が心配で心配で泣きそうなんだ!俺が!」

と乗り出して言う若


兎丸「….なんかキャラが…」


アリス「….こいつ昔から子供好きで子供のためならなんでもできちゃうタイプなんだ」


兎丸「あー、なるほど。」


アリス「まぁ、善は急げだし行くか」


兎丸「おー!」


こうして早くも保育園探索を始めることになる二人だった。

___________________________________


4339年 5月18日 15:49

惑星:地球 トーキョー

品G区 三つ葉保育園



若「今日は日曜だから園児はいないけど職員はポツポツいるから事情説明してくる。

先に見回りしててくれあとで追いつく。」


アリス「わかった。行こう兎丸」


兎丸「うん!」


若と一度別れて保育園の中を見回ることになった二人。



アリス「確か若が言ってたのは

小体育館、トイレ、外、うさぎ小屋だったか。」


とりあえず室内に入ったのでトイレを確認してみるが


兎丸「別に普通のトイレだよ?」


アリス「だな。次!」




次に来たのは小体育館


アリス「特に変なところは」


兎丸「ない!」


アリス「じゃあ、次。外ーの前に一様室内全部見とくか」


兎丸「うん!」


室内探索後


アリス「…特に何もなかったよな?」


兎丸「うん!次お外だね!」



外に出てきた二人

そこに

若「おーい!お待たせ!どうだ?なんか分かったか?」


アリス「トイレと小体育館を中心に念のため室内は見たけど特におかしなところはないな。」


若「残るは外だけか…」


アリス「あぁ。」

3人で外の木陰や遊具の中なども念入りに探すがやはり何も見つからない


アリス「最後にうさぎ小屋だけど…うさぎがいるだけだな。」


若「だよなぁ…」


二人が考え込んでいる横で


兎丸「おっ!食べた!これ美味しいよね!カピカピのニンジン」

兎丸はうさぎに"アリス手作り兎丸のおやつ用ドライにんじん"をあげていた。


アリス「….他に何か。

声をかけられる時間帯とかは?」


若「時間は特に。皆んなまばらなタイミングで声がしたっていってるし。」


アリス「…ん〜」


兎丸「なんかさ、怪人に声をかけられた場所って薄暗いところが多くて下手したらお化けとかと間違えちゃいそうだよね。」


アリス「?薄暗い場所?」


兎丸「うん!トイレは電気つけても窓に光が入っても個室だと扉のせいでくらいでしょ?


かくれんぼしてる遊具の後ろに隠れてたりした時でしょ?


で、うさぎ小屋も木の下にあるから。」


若「….!そういえば小体育館で声かけられた子は電気の光が届きにくい遊び道具をしまってある場所で

かけっこしてた子は木の木陰に置いてある水筒の水を飲んでる子だった!」


アリス「………なるほど。兎丸、でかした!」


兎丸「ほんと!?」


若「分かったのか?怪人の居場所!?」


アリス「いや?なので今日はこのままどっかで外食して帰ろう。」


兎丸と若はずこっと転けたが、アリスは得意げに笑って見せた。


兎丸「えー!なんか分かったから褒められたんじゃないの??私!?」


アリス「ほら、早く行くぞ。若も久しぶりに一緒に飯食いに行こう。今日は元々休みなんだろ?」


若「お、おう…」


若と兎丸は渋々保育園を後にすることにした。


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品G区 河川敷


兎丸「ごめんね?力にならなくて。」


若「いや。調べてもらえただけでありがたいよ!」

若はアリスと兎丸は軽く歩きながら話をする


時はもう夕暮れで3人には眩い夕日が当たる


あたりには遮蔽物が一昨日なくジリジリと3人を照らし続ける。


アリス「……ここならいいか。」


兎丸「?ここにご飯屋さんがあるの?どこ?」

辺りをキョロキョロと見回す兎丸


アリス「ちげーよ。子供に声をかけてる怪人、どこにいるか分かったんだ。」


若「ほんとか!?」


アリス「あぁ」


兎丸「じゃあなんでさっき分からないって言ったのさ!

さっき教えてくれればその場で私がお縄にできたのに!!」


アリス「さっきはものが多くて聞かれてる可能性があったから。」


若「何か物に化ける怪人なのか?」


アリス「いや、おそらく怪人は_______」

アリスはたった二文字を口にした

その二文字とは


兎丸/若「「影!?」」


兎丸「影に化けるの?」 


アリス「化けると言うより、おそらく影の中にしかいられない怪人なんだと思う。

それもはっきりくっきりとした影」


若「!だから部屋には現れなかった。部屋は全体が明るいし。影ができても子供達の蛍光灯出てきた薄い影だから」


アリス「そう言うこと。怪人は大人も狙えるはずだけど先生の目を盗んでわざと子供達を狙っているのは確実だ。


ただし目の届きにくいところではなく。影が色濃くあるところがたまたま目の届きにくいところだったんだ。」


兎丸「夜とかなら大人も不意打ちで狙えるんじゃない?」


アリス「夜は街は人通りが少ないところはあかりも少なく月明かりだけ。月明かりでできた薄い影じゃ出てこれないんだろう。


逆に光があるところは人通りが多いし瞬間的な光も多いから出にくいんだよ。


…多分、戦闘能力がある怪人じゃないんだ。」


若「だから、子供を狙うし襲うのではなく対話して仲良くなって利用する手段にしたってことか?」



兎丸「なんほど!じゃあ今からもう一回行ってみよう!」


アリス「多分出てこないよ。俺たちの会話聞いてただろうから俺たちが怪人退治しにきたのは分かっただろうし」


兎丸「じゃあどうするの?」


アリス「明日も休みだし。月曜で子供達もくる。怪人が子供の下に現れた瞬間にこちらも怪人を狙う。いいよな?若」


若「!勿論!」


若は嬉しそうに返事をした。


兎丸「よし!明日やることも決まったし!ご飯に行こう!!」


アリス「はいはい。」


若「この近くに美味しい居酒屋があるから奢る!」


兎丸「やったぁぁあ!」

兎丸は飛び跳ねるのだった。


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