17話 頬の傷と過去の出来事

 

4339年 5月16日 17:21

惑星:地球 目K区


兎丸は今日も今日とても街に現れた怪人を倒す。



兎丸「よしっ!終わった!」


アリス「(ここは…)」


いつもなら早急に対トに連絡をしているのだが

今日はあたりを見回しながら何か物思いに耽っていた。




兎丸「?アリスくん?どったの?ぼーっとして」


アリス「いや、少し昔のことを思い出してたんだ」


兎丸「昔のこと?」



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7年前 目K区



メガネをかけて制服に身を包んだ譜和アリスはこの時15歳だった。


彼は学校へ向かうためにいつも通る商店街を歩く。


そんな彼の元に


??「よっ!アリス!はようさん!」

と笑顔で話しかける青年


彼は若 演舞(わか えんぶ)だ


アリス「おはよ。今日は保育実習はないのか?」


アリスはそう言って答える。


若「おう!子供達に会えなくて寂しいけど。

勉強しねぇと保育士になれないからな。」


アリス「それは確かに」


若「お前は?なんかやりたいこと見つかったかよ」



アリス「別にないかな。安定してるならどこでも良い。

あと、そうだなインタビュー雑誌とかに掲載されるところかな。」


若「お前賢いんだからそれを最大限、活かせて楽しく仕事できる場所を探せば良いのに。

相変わらず、大人びてると言うか可愛げがないと言うか」


アリス「悪かったな可愛げがなくて。かっこいいから良いんだよ。」


とそんな二人の前に…否、商店街の人々の前に


下級怪人が現れた。



商店街の人「キャァァァァア!怪人よ!怪人が出たわ!」



商店街の人「に、逃げろ!」


商店街の人々は完全にパニックになっている。



逃げている商店街の人たちの中で杖をついているお婆さんがよろけてしまう。


アリス「…おっと、大丈夫ですか?」


アリスはお婆さんをいち早く支える。


お婆さん「おやまぁ、ありがとうねぇ。」


若「みんなパニックになってるな」


アリス「俺が商店街の人たち全体を安全なとこれに誘導するから若は避難が遅れてる人のサポートを頼む。

保育士資格に確か怪人が出た時の避難指示の出し方も必須だったろ?」

若「おう!この前習ったばっかだ

から任せとけ!…じゃあおばあちゃん行こうか?」


お婆さん「えぇ、すいませんねぇ」


若「大丈夫だぜ?ゆっくり行こうな」


二人はテキパキと避難誘導を始める。

アリスは全体的な避難指示を

若は子供やお年寄り。体の自由が効かない人たちの誘導もサポートを


アリス「……(だいたい避難し終わったか?若も避難場所に行ったはずだし。


アンドロイドもそろそろ来るだろうし俺も避難を….)」


アリスがあたりを見回して人がいないのを確認している時だった


背後から大きな釜ごアリスを襲う


アリス「….っ!」


間一髪、右の頬を切り付けられるだけで済んだアリスだったが


あたりには下級怪人、カマリキが囲んでいた。


カマリキは再びアリスに向かって鋭い刃を振るうがそれもアリスは避けた。


だが避けられた鋭い刃はアリスの後ろの壁を切りつけて


その破片がアリスの頭上に落下した。


頭からは血が出て目も開けられない。

アリス「(くそっ!油断した)」


血で霞む目で怪人から逃れようとするがうまく立ち回れず次の攻撃が当たる直後だった


アリスに襲い掛かろうとしたカマリキを何者かが叩き潰したのだ


アリス「…(なんだ?…ダメだ、目が霞むしめまいが…アンドロイドが来たのか?)」


土煙も相まって何が起こったのか把握できないアリスは頭の痛みに耐えかねてその場に倒れ込む


??「…!!だいじょ…?おー…!!」

誰かが駆け寄ってくる姿を朦朧とした状態で確認したアリスは意識を手放した。


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アリスが次に目を覚ましたのは病院だった。


若「意識が戻ってよかった!命に別状はないって先生も言ってたし」

若は安心したようにそう言った。


アリス「あぁ。…それより俺を助けたのって」


若「あぁ!アンドロイドだぜ!俺が戻ってきた時には怪人全部倒してお前の頭の血止めようとしてた!」


どうやら救急車を呼んでくれたりしたのは若のようだったが

若が駆けつけるまではそのアンドロイドが応急処置をしてくれていたようだとアリスは推測を立てた



アリス「そっか(あのアンドロイドがいなかったら俺は今頃死んでたな。)」



若「でもやっぱりアンドロイドってすごいよな!」


アリス「なぁ…若。俺さ将来、安定してたら良いって言ったけど」


若「うん?」


アリス「….俺、アンドロイドに関わる仕事に就くよ。それがたとえどんなに苦労があっても」


若「そっか!」

若はとても嬉しそうに頷いた。



この後アリスは高校内にVADに就職するために必要な資格を全て取り18歳という若さで就職したのだった。

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時は戻り現在に至る


兎丸「へー。それでVADに就職したんだ!」

見回りを続けながら兎丸はアリスの過去の話を聞く


アリス「現在はクビ扱いだけどな。」


兎丸「確かに!」


アリス「でも、あの時、助けに来てくれたアンドロイドには本当に感謝してるよ。


助けてもらえるのが当たり前の日常だったからそれは違うって気づけたし。


よくよく考えれば子供の時だって俺の両親だってアンドロイドに助けられたことは数え切れないくらいあるだろうからな?


そんなこんなで少なくとも何かヒューマノイドの助けになる仕事がしたいって思えたわけだ」


兎丸「そいでそいで?そのアンドロイドとは会えたの?」

ワクワクしながら続きを聞く兎丸。


アリス「さぁ?俺その時まともに目を開けられない状態だったし。

意識も朦朧としてて声もイマイチ分からなかったから。


俺の友達も俺が死ぬかもってパニクってて

アンドロイドのことはよく覚えてないって

誰が助けてくれたのかは分からずじまい。」


兎丸「そっか!いつか会えると良いね!」


そう言った兎丸と自分を助けてくれたアンドロイドが少し重なって見えたアリスは目を見開くが


アリス「…あぁ。」


と短い返事をして足を進めるのだった。

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