16話 迷子の迷子の…

4339年 5月13日 23:04


惑星:地球 トーキョー渋Y区 譜破アリス宅



アリスはその日も夜な夜な兎丸のポイントギアの作成準備をしていた



その時、軽く家が揺れた。


アリス「……?軽い宇宙地震か?」


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4339年 5月14日 15:49


衛星:月


   

出張からはや1週間。

兎丸とアリスはいつも通りの怪人退治の日常に戻っていた。




いつも通り下級怪人を倒す兎丸とそれのサポートをするアリス。


アリス「全くっ!親子バザーを襲いにくるとか

知能ないのになんちゅー下級怪人だ!」


兎丸「しゃかなは子供の柔らかい肉が好きなんだよ。」


下級怪人しゃかな。

人間の子供を好んで開きっぱなしの口から吸い込んで食う



赤ちゃんを抱っこした両親を背後で守りながらそう説明する兎丸


兎丸「およ?」


赤ちゃんが兎丸の髪の毛を掴んで笑う


母親「あっ!こら!お姉さんたちの邪魔しちゃダメよ!」





胸に愛音と苗字の書かれた名札をつけているバザーのためかエプロンを着ている母親はそう言って赤ちゃんの手から兎丸の髪の毛を話そうとするがなかなか手を離さない赤ん坊


どうやら逃げ遅れた家族だった。



兎丸「赤ちゃん泣かないねぇ。肝が座ってるってやつだね!」

笑う赤ちゃんを横目で見ながら向かってくる怪人を釘バットで遠くにぶっ飛ばしていく兎丸


父親「ほんとにすみません」


兎丸「大丈夫だよっ!これで終わったから!」

そう言って最後の一体を倒した兎丸。


ちょうどその時に赤ちゃんは兎丸の髪の毛から手を離した。


あたりが落ち着いてきた時


母親/父親「「本当にありがとうございました!!」」

両親は頭を下げた


赤ちゃん「きゃう!!」


アリス「いえいえ。ご無事で何よりです。」


兎丸「うんうん!!赤ちゃんも無事だし何よりだね!」


母親「さっきほどはこの子が邪魔をしてしまって本当にごめんなさいね。」


母親はそう言って再度頭を下げた。


兎丸「へーきだよ!」


アリス「ここら一体まだ100%安全ではないので皆さんも避難指示のあった場所に」


父親「はい、ありがとうございました!!」

そう言って家族は避難して行った。




兎丸「今日三件目の怪人の群れ倒したり!!」


怪人の山を踏んづけてふんぞりかえる兎丸


アリス「相変わらず絶好調で何より。」


そんなアリスのセリフにピースで返す兎丸


アリス【もしもし。譜和アリスです。……はい、清掃お願いします。】


アリスはテキパキと対トの清掃部門と怪人研究所に連絡を入れた。



兎丸「ねぇねぇアリスくん!」


アリスが連絡を終えることに兎丸がアリスの服の裾を掴んで引っ張る


アリス「なに?」



兎丸「迷子見つけた!」


そう言う兎丸の後ろには兎丸の服の裾を掴んで離さない手袋をしている6歳くらいの少年がいた。


アリス「マジか。多分、親子バザーに参加してたのか?」


兎丸「うん!怪人から逃げてる時に転けてね!お母さんと逸れちゃったんだって!!


そいで避難所にもいなかったからこっちに探しに戻ってきたんだって!」


アリス「そっか。じゃあこの近くに交番が…」


男の子「僕、お兄さんとお姉さんにお母さん探して欲しい」


アリス「えっ…」


兎丸「だって!」


アリス「分かった。見回りしながらになるけど…えーと、ぼく、お名前は?」


男の子「……シヨン」


アリス「シヨン君だな。

お母さんの着ていた服の色とか覚えてるか?」


シヨン「青い服着てた。」


兎丸「よし!じゃあ探索開始!」


アリス「おー。」



とシヨンと名乗る少年の男の子の母親を探しつつ


見回りをすることになった二人



子供があるからと怪人が容赦してくることはなく


下級怪人が現れては倒して

シヨンの母親を倒しての繰り返し。


たまに休憩がてらアイスを食べたりもした。



兎丸「シヨン君のママ、見つからないねぇ。」



アリス「そうだな(もうかれこれ2時間は経ってるのに…交番にも聞いてもそれらしき母親は来てないって言うし。)」



アリス「……なぁ。シヨン君。俺たちになんかまだ言ってないことないか?(何かしらの嘘ついてるとは思いたくないけど)」



シヨン「………ううん。ないよ?」

アリスの問いかけにシヨンは少し間を置いた後そう言い放った。



兎丸「??」


兎丸はよく分かってないようで頭にハテナを浮かべたまま固まる。


シヨン「…あ、お母さんだ。」

シヨンがそういうといつのまにか


3人の後ろに青いセーターを着た女性が一人立っていた


兎丸「ほんと!?よかったね!見つかった!」


アリス「(いま、人がいる気配なんてしたか?)そうだな。」


シヨンは母親のことを呼びながら歩いて行った


シヨン「ありがとうね?お兄さんお姉さん…」



シヨンはすんなりとそう言った

その母親も一言も口を開けることなく会釈だけして二人とは真逆の方向に歩いて行った。



アリス「…なんていうか不思議な子だったな」


兎丸「そう?大人びてるなーとは思ったけど

最近の子ってそう言う子多いじゃん」


アリス「……最近の子がなんか言ってるよ。」


兎丸「?」


アリス「さて、見回りはまだ終わってないし。行くか」


兎丸「うん!」


こうして迷子探しは無事に終わったのだった。


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4339年 5月14日 


衛星:月

とある路地裏。



シヨン「……アンドロイドってのはさぞかし強ぇだろ思ってたのにランキング10であの実力か…とんだ無駄足だな。


あのレベルのなんて八怪(ハッカイ)様方の足元にも及ばん。


ひょっとして俺たちだけでまとめて倒せるんじゃねぇか?……いや。まとめては無理か…まぁでも、一対一なら勝てっぜ?


…………はぁ、八怪様方の頼みとはいえ宇宙中のアンドロイドの情報収集もこのペースでやんのか?かったるい。」


シヨン?は乱暴な口調でそう言うと手をふっと振り翳す。


すると先ほどまで女性の形をしていたものが泥水のように影も形も消え去った。


??「でもでも、一つの星の一人みただけじゃあ不安ですぅ….

もし、もっと強い物が現れて八怪様達の妨げになっては…!


他の方もちゃんと調べたほうがいいのでわ?」

シスターのような格好をした怪人がどこからともなく現れるとそう提案する。


シヨン「んあ?じゃあてめぇがアンドロイドの情報集めてなんなら何人か殺っといてくれや。」


??「そんなぁ……イミテーションはこれからどうするんですかぁ?」


シヨン「あ?僕(やつがれ)はもう一つの頼まれごと…

まだ、目覚めてない八怪様方の捜索してきてやっからよ。そっちの方が宝探しみてぇでおもしれーだろうしなぁ?


ちゃんとアンドロイド見かけたら数減らしに俺も倒しとくからよぉ?」


イミテーション…それが本当の彼の名前なのだろうか


??「…うぅっ。八怪様達の捜索はアンドロイド達の情報収集が終わったらでいいって捜索は急がないって言われてますぅ。」


イミテーション「ダメとも言われてねぇだろ?

二手に分かれた方が早えし?

んじゃああとは頼んだぞ…シスターラビリンス」


シスターラビリンス「ううっ…怒られても知りませんからねぇ!」


シスターラビリンスの助言を無視して歩いていくイミテーションからも泥水が流れ出て先ほどのシヨンとなのった6歳の少年とはかけ離れた 


威嚇するようにアクセサリーをジャラジャラとつけた高校生に近いだがやはり人間ではない


容赦なったイミテーションは愉快に笑う


イミテーション「あ、ワーパーは俺が使うからな!行くぞ!ワーパー!!」


イミテーションがそういう時どこからともなくワープゲートが現れてその中へと消えていくのだった

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