15話(5日目)vsドルペット

4339年 5月6日 12:00

首都:ユリの都

ブルーアルストロメリア学院 門の前




ハクギン「………」


兎丸「ハクギン君!!ヤッホー!!」


昨日、アイアンに言われた通り12時に行くとサファルファ学院に行くとそこにはすでにハクギンが待っていた。



兎丸の挨拶を振るしかとするハクギン



アリス「(あははっ…クールなタイプだな。

兎丸の行動が共闘中に彼の気に触らなけばいいけど)

今日はよろしくな。譜和 アリスだ。」


ハクギン「……あぁ。

もう人払いは済んでいるし金属探知機も外してある。」


兎丸「じゃあ宇宙港みたいにならないね!」


アリス「宇宙港はお前が証明書を首につけてたら引っ掛からなかったの。」


兎丸「それはそう!」


アリス「んじゃまぁ、家庭科室いきながら作戦会議と行こうか。」



兎丸「そうだね!ところでアリス君!何で今日も制服なの?今日は誰もいないよ?」


アリス「怪人から生徒が解放された時のため。

一人、この格好で仲良くしてくれた子が人形にされてんだよ。」


兎丸「そうなんだ!ならなおさら早く助けないとだね!」


アリスはそういうと学院内に入る。


兎丸とハクギンもそれに続く。



_____________________________________

ブルーアルストロメリア学院 家庭科室 地下


アリス「…昨日と少し配置が変わってるけど人形は増えてないみたいだな。」


アリスはあたりを見回してそう言った


兎丸「怪人もまだ寝てるね。」

兎丸は揺籠に触れてそう言った。



ハクギン「…手筈通り、俺が人形を凍らせる。


怪人が起きたら俺とそこのチビで叩く。」


兎丸「そうそうそこのチビ…!?チビっつった!?」


ハクギン「…なんだ?お嬢さんの方が良かったか??」

ニヤリと揶揄うように笑うハクギン


兎丸「兎丸って呼んでよ!」


ハクギン「おい、案内は助かったが青髪のお前はここから出ろ。 人形にされて人質にでも取られたら面倒だし。俺が戦う時に邪魔だ。」


アリス「お、おう。」


兎丸「ねぇ!私、無視!?」



アリスはハクギンに言われた通り地下から出て

そこから様子を見る。



ハクギン「さて…お前は避けれるだろ?」


ハクギンはそういう時、レイピアを引き抜き


それを床に突き出した


兎丸「うぇ!!?ちょっ!!!」

兎丸は慌てて飛び跳ねた。


その瞬間あたり一面氷に包まれる。



兎丸「凍らせるならなんか言ってよ!!」


ハクギン「?言ったが?」


兎丸「うにゅ!?……まぁ、いっか!

この怪人も凍らせちゃったから出られないかな?」


と兎丸は揺籠の中の怪人に指を刺す。


ハクギン「いや、中までは凍っていない揺籠が壊れる時に一緒に剥がれ落ちる。」


兎丸「そっか!

でも、揺籠外れてからもう一回凍られちゃったら終わりだね!


今回は私活躍なしかなぁ。」



ハクギン「うまくいけばいいが

怪人を凍らすときは一気に凍らせないと意味がない」


兎丸「そうなの??」


ハクギン「あぁ、部分的に凍らせると振り払われる。

もし1発目凍らせることが失敗した。2度目はそううまくいかなくなる。」



兎丸「じゃあ頑張らなきゃね!!」


そんなことを言っている揺籠にピシリッとヒビが入った。


そして音を立てて破れた。


ハクギン「……ふっ!!」

ハクギンは勢いよく冷気を放ち怪人を凍らせる。


兎丸「やった!!成功だね!イェーイ!!」

兎丸はハイタッチを求めるが


ハクギン「…いや、まだだ。」


ハクギンが構えると


凍らせたはずの怪人から声が聞こえた


??「やれやれ、アンドロイドは人形なのに野蛮で、せっかちでいややわ〜」


兎丸「どっから喋ってるのっ!?」


??「頭も足りひんのかぁ。人間もアンドロイドもあかんわ。


やっぱ静かでおとなしくて俺のいうこと聞くお人形さんの方がええわ〜。

……まぁそのお人形さんもカチコチやけど。

これやと動かせんなぁ。」


そういう時声の主は氷漬けの怪人の後ろから出てきた。

それも凍らされた怪人とそっくりな。


兎丸「あれ?あれれ?ふ、双子?」


ハクギン「違うな。氷漬けにした方は奴より一回りでかい。


普段はあのからの中に入っているんだろ。」


??「そっちのおにーさんは頭回るんやねぇ。

ご名答、凍らされたんは俺自身に触れて俺から作った人形。まぁ俺も元々の作りが人形みたいなもんやから双子でもあながち間違いではないか?


せやからな?こうやって俺に触れば」


そういうと自身の指で自身の頬を触ると


みるみるうちに瓜二つの怪人がもう一体増えた。


??「改めて俺の名前はドルペット。人間様でいう上級怪人やな。」


ドルペット。金髪で尖った耳の怪人はそう名乗った。


ハクギン「……あまり驚いてねぇ様だな。」

ニヤリと笑うハクギン



ドルペット「せやなぁ。何回か潜入調査しにきた人間はおったし。

何やら外国からもアンドロイド雇ったって聞いてたかい。いくら学院長操って自主退学届をちらつかせてもそのうちバレるとは思いよったで??今日やとは思ってなかったけど」


ハクギン「ならば話は早いな。」

ハクギンはそのままおしゃべりしてる本体の方に攻撃をするが


ドルペット「流石にもう当たらんで?」

ドルペットは軽くステップを踏み避けた。



兎丸「んじゃ、こっちは?」

兎丸はそう言いながらドルペットの背後から釘バットを振りかざす。


ドルペット「っ!〜っぶないなぁ。

可愛い顔してえげつない攻撃してくるんやねぇ。」

ドルペットはそう言って自身の人形でガードした。


兎丸「(アリス君のいう通り人形をガードに使ってた。でも、怪人本人の人形ならセーフ!うん!セーフ!)」

自分にそう言い聞かせながら

体制を整える。


ドルペット「おぉ、おチビさんのパワーもなかなか。俺が受けるんはきついなぁ。」


兎丸「ふふん!」

得意げにのけぞる兎丸


ドルペット「ならおチビちゃんのお相手は引き続き俺の分身にやってもろて。

おにーさんは俺がお相手しましょか?」


ハクギン「っち!舐められたもんだなぁ!!」

ハクギンは再び冷気を纏ったレイピアでドルペット本人に切り掛かる。


ドルペット「おっとっと。」

ドルペットはそう言いながら糸で下の床を切り上げてレイピアを防ぐ


ハクギン「(…あの糸…人形以外にもくっつけたりできるのか。)」


床材は凍りついたがドッペルは無傷のようだ



物がぶつかり合う音と凍る音のみが近のフロアに広がる


兎丸は兎丸で人形の頑丈さに苦戦している。


兎丸「(亀吉君とおんなじくらい硬い!!

本体狙おうにもこいつが邪魔してくるし!


何より本物の怪人と戦ってる感じが。同じ操作系でも雨ちゃんの時と違う)」



兎丸「アーリースー君!!なんか!なんか!ない!?」

兎丸は一度人形の相手をやめてアリスの元へとかけていって助けを求める


アリス「いきなり振るんじゃありません!ちょっとは自分で考えろ!」

 


兎丸「だって、あの人形、壊れる気配ないし。

でも、あいつ壊さないと本体に攻撃できないし!」


アリス「…お前俺と会う前にも、自分と相性の悪い怪人と戦ってきたろ!?そん時どうしてたんだよ」


兎丸「え?時間めっちゃかけながらゴリ押し大暴れ?

でも、今回は狭いし!氷が溶けちゃうから急がないと!!」


アリス「……そういうことか、いやまぁお前らしいけど。


…んじゃまず人形とあの怪人を引き剥がすといいよ。


人形や本人よりまずそれが繋がってる糸を狙うんだぞ?」


アリスはドルペットに聞こえない声でそう助言した。


兎丸「なるほど!ありがとう!!またなんか困ったら聞きにくるね!」


アリス「次はもうちょっと自分で考えて分からなかったら聞きに来い……あ!言い忘れてたけどあの糸、金属っぽいし素手は危ないから……ってもう聞いてねぇな」


兎丸は意気込んでもう一度人形のところに戻っていった。


兎丸「うりゃぁぁぁあ!!!!」

そして戻って早々人形に繋がっている糸を引きちぎる。


ドルペット「はぁぁあ!?この糸、貴金属製やぞ!?どんな握力しとんねん自分!!」


ドルペットは思わずハクギンから目を離して兎丸を見た。


ハクギン「お前こそ。俺から目を離すとはいい度胸だなぁ?」


ニヤリと笑ったハクギンはそう言っていつのまにかドッペルとの間合いを詰めて


ハクギン「今度は外さねぇ。」


ドルペットの体に触れるとそのまま直接冷気を流し込んだ。


ドルペット「な!!くそっ!!くっそぉおおおおお!!」

ドルペットは体の芯が凍るその瞬間まで悔しそうに叫び続けた。



兎丸「おぉ!凍っちゃった!!」


ハクギン「…はぁ…」

ため息を吐いた吐くの息は白く相当な冷気を使用したことが目に見えてわかる。


兎丸「終わったね!」


ハクギン「あぁ。」


アリス「この氷ってどのくらいで溶けるんだ?

通常のコールドスリープの自然解凍って確か3時間くらいだったよな?」


ハクギン「通称と変わらねぇよ。お前のいう通り3時間したら溶けきる。」


アリス「…そう。(あとは外側の人形が壊れて中の人の目が覚めればいいんだけど。)」


兎丸「じゃあ怪人が解け切っちゃう前に研究所に連絡しよ!」


アリス「そうだな。あ、兎丸お前後で手の修理な」


兎丸「なぜバレた」


アリス「あんなワイヤー引きちぎったら傷ができて当然だろ。…だいたい貴金属のワイヤーの束を素手で引きちぎるってなんなの。」




兎丸「あれくらい私にかかれば朝飯前!」


アリス「はいはい、とりあえず手の様子見せてみな?


(また、こんな傷作りやがって。


まぁでも。この前みたいに腕2本取れるよりましか?………もしかしてこいつ。自分で考えて戦ったらこの前みたいに俺が心配するような破損するから俺に指示を仰いだんじゃ…)」

兎丸の手を見ながら色々考えるアリス


兎丸「?どったのアリス君?お顔がひゃくめんそう?だよ?」

そんなアリスの顔を覗き込んで問いかける兎丸



アリス「(…なわけないか)何でもない。」


アリスはそう言ってまた兎丸の手を見るのだった。



___________________________________

それから数時間



ドルペットは怪人研究所に捕縛され連行され


コールドスリープさせられていた人形たちは解凍が解けた瞬間に崩れ落ちて中の生徒と学院長も無事、目を覚ました。




そして今、現在3人は学院長室にいた。



スリープ「改めて私が学院長のスリープソプラよ。


そして今回のことは本当にどうお礼をしたらいいか。言葉だけじゃ足りないわね。」



兎丸「私達は怪人を倒す当然のことをしたまでだからね!!」


アリス「そうですよ。それに学院の皆さんは被害者なんですから。


あわよくば俺がその…女装して潜入調査で入ってたことを許していただければと思いますけど…」



スリープ「そう?潜入調査のことなら大丈夫よ。私が何とかしてそもそもの編入試験自体を無かったことにするから」


アリス「そうしていただけるとありがたいです。」


ハクギン「…….俺はもう行くぞ。

街の見回りがある。」


兎丸「新人の子がやってくれてるんじゃないの?」


ハクギン「それが不安なんだ。」

ハクギンはそういうとスタスタと学院長室を出ていってしまった。


アリス「そういえば例の地下室。結構、ボロボロになっちゃいましたけど大丈夫ですか?」

ふと思い出したようにアリスはそう言った


スリープ「えぇ、あの空間は元々。ドルペットがこっそり作ったものだったみたいだから。


埋め立てることにしたわ。また新しいのが住みついたら困るしね?」


兎丸「うん!それがいいと思う!」


アリス「…では俺たちも国王陛下に報告がありますのでこれで」



スリープ「そうね。本当にありがとう。……あ、そうだ。アリスさん、あなたに最後にどうしても会いたいって生徒が門の前で待ってるんだけれどあってくれるかしら?」


アリス「……えぇ、喜んで。」

アリスは少し考えたあと何となく誰かわかったのでそう答えた。



スリープに言われたように門の前に行くとそこには


ベロ「!アリスさん!」


ベロ・フォルテの姿があった。


アリス「ベロさん!良かったわ。人形の中から出られたのね。」


ベロ「えぇ、アリスさんとそこの兎丸ちゃん?と我が国のアンドロイドが助けてくれたって聞いたわ。

改めてありがとう。」

ベロはそう言いながらアリスと兎丸に頭を下げた。


兎丸「どういたしました!!」


アリス「いいのよ。それにごめんなさいね?

生徒になりすまして騙すようなことして」


ベロ「ぜんぜん!お陰で行方不明者はみんな見つかってまた学ぶことができるんだもの!!」


アリス「そう?」


ベロ「えぇ…あの、それで怪人も捕まえたし…もう、いっちゃうのよね?」


アリス「えぇ、明日のお昼には国に帰るわ。」


ベロ「…そう。あの!……」

ベロは何か恥ずかしそうに言葉に詰まらせる。



兎丸「!アリスくん!アイス屋さんが来てるから買ってくる!!」

兎丸は唐突にそう言うもの門の前から離れていった。


アリス「お、おう。いってらっしゃい。


……ごめん話遮っちゃったわね。」


ベロ「その私!!私、アリスさんに一目惚れしてるの!」


アリス「えっ!?あ、あのわ、私はえーと。」


ベロ「いきなりでびっくりするわよね….ごめんなさい。私、女の子が好きなの。

それでアリスさんを初めて見た時から一目惚れしたの…その、お友達からでいいから仲良くしてください!!」


ベロはそう言って頭を下げた。


アリス「(俺…男なんだよな。)…あの………ごめん。私……いや、俺男なんだ。」


ベロ「へ?」


アリス「その、色々あって女装して潜入してて。心も体もめっちゃ男なんです。


……一様のこれ普段の写真。」


アリスはそう言ってスマホにあった自分の写真を見せた。


ベロ「………えぇぇええええ!?!?」

アリス「……ごごごごごめぇぇえええん!!」


アリスの写真とアリスをじっくり見たあと指を刺しながら驚くベロとアリスの謝る声が重なる。



ベロ「だ、だって振る舞いも歩き方もすごくお上品なったわよ!?

女好きな私の目に狂いわないはずなのに!!


そのお化粧だってとても素敵だもの!!

その写真双子のお兄さんとかじゃなくて??」


アリス「あ、ありがとう。本人です。」


ベロ「 …そう。」


アリス「はい。」


ベロ「………なら!お友達になることはできるかしら??

せっかく出会ったんだし。」


アリス「お、俺で良ければ!」

こうして二人はお互いの連絡先を交換した。


ベロ「…な、何だか変な感じ。」


アリス「俺もだよ。…じゃあそろそろ行くね。

色々親切にしてくれてありがとな。」


ベロ「ううん。正直、女の子だったアリスさんには下心があったからちょっといい子ちゃんぶってたもの。」


アリス「あはははっ……じゃあ。さよなら」



ベロ「ええ。……さよなら。」

ベロはそう言ってアリスを送り出すのだった。


アリスはそれに手を振替して門を出た。


___________________________________

ブルーアルストロメリア学院 門外


兎丸「お話は終わった?」

アイスを食べながら待っていた兎丸はアリスにそう聞いた


アリス「あぁ、ほら?行くぞ。国王陛下とアイアンさんに報告しないといけないし。」


兎丸「うん!」


___________________________________


惑星:ダリア 首都:ユリの都

カラブランカ城


アリス「報告は以上です。」

アリスはドルペットについての報告を簡潔に済ませた。


ナハ国王「ふむぅ。二人ともよくやってくれたの!!」


兎丸「これくらい晩御飯前だよ!!えっへん」



ナハ国王「では、報酬を」


アイアン「はい、依頼料は一度、どーるくらぶの口座に振り込みましたので帰国後倶楽部マスターからお受け取りください。


そしてプラスαの報酬ですが

国王陛下が集めている世界中の鉱石から好きなものをお持ち帰りいただいて大丈夫です。」


ナハ国王「うむ!どれでもいいぞ!!なんたって国際問題への発展を阻止してくれたからのぉ!!」


アリス「ありがとうございます。」


アイアン「では、展示ルームにご案内いたします。」

アイアンに案内されたお城の一室には


希少な宝石から人々がよく身につける水晶まで様々な鉱石が並んでいた。


アイアン「どうぞ。」

アイアンに促されて中に入った。


兎丸「おぉ!カラフルな石がいっぱい!!」



アリス「そうだな。(ジェルガラス、ジェルガラスは)…あった。」


アリスは展示物を見ながらお目当ての鉱石を見つけた。


アリス「(これだけでかければ加工し放題だな。)

あの、このジェルガラスをもらってもいいですか?」


兎丸「わー!透明なのにキラキラして見える!不思議だね!」


アリス「あぁ(お前の部品なんなけどな?)」


アイアン「かしこまりました。……兎丸さんはどの鉱石にいたしますか?」


兎丸「私はいいや!色は可愛いけど形がなんか私の可愛いにはヒットしなかったから!」


アリス「おい!」



アイアン「かまいませんよ。

では、こちらのジェルガラスは包装して明日、空港の方でお渡しいたします。」


アリス「ありがとうございます」


こうして国王陛下にももう一度お礼を言い別れの挨拶を済ませた二人。



そして、アリスのこの出張の目的は全て達成されたのだった。



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