君を見つめていたかった。
@app197
第1話
―夏の暑さが増す7月、ふと見つめた彼が僕を離してくれなくて―
僕がこの気持ちに気づいたのは本格的な夏に近づく7月頃だった。
今日も友達との待ち合わせに遅れないように集合場所に集まり、昨日面白かったことや気になること、宿題のわからない問題の話をしてたら学校についていて、授業を受けて給食を食べて、部活に励んで帰る。そんな毎日、でもここ数日いつもと違う。
「馬鹿なにやってんだよ!(笑)」
「ごめんって!(爆笑)」
「あー、面白すぎ(笑)」
あそこで笑ってる彼はクラスの、いや、学年の人気者。
あいつを目で追ってしまう。今までもふと見てしまうことがあったが、今までのとは違う。
きっと、多分、僕は【恋】をしてると思う。
気がついたら目で追ってしまうし、目があったら鼓動が早く鳴って、顔が熱く、紅くなってしまう。触れたいと思う。これを恋と言わずなんて言うのか僕は知らない。でも、今までの恋とは少しだけ違う。それは「彼」の性別。そう、彼、つまり男なのだ。自分と同じ性を持つものを好きになった。それはおかしい事ではないと授業では教わるけど、周りの大人はそう感じてないことを僕は知っている。学校で教えてくれる先生はそうでなくても、親や近所の人、周りにいる多くの大人は受け入れないのではないだろうか。でもそれでいい、その方が僕の諦めがつく。周りに、彼にこの気持ちを伝えるつもりは無いし、彼と結ばれたいとも思わない。彼を見つめることができて、彼と話すことができて、彼の幸せを願うことが出来るんだから…贅沢なんてしないと心に決めた。
そんな僕に神様はささやかな幸せをくれた。2日前の席替えで隣の席になれた。軌跡を噛み締めながら、気づかれないように、怪しくないように、今まで通り仲の良い「友達」でいられるように今日も頑張ろう。と思う。
君を見つめていたかった。 @app197
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