6-1 本当に普通すぎる異世界転移でも起きうるコト
皆さまこんにちは、司会天使のパプリエルです。
さぁ今回も張り切って異世界転移転生の失敗談を語っていくとしましょう。
……と言いたい所なのですが。
実は今、私の手元に今回分の資料が一切ございません。
本来ですとその資料を基にして説明したり、ゲストさんと濃いトークを繰り広げているのですが。
ディレクターの手配ミスでしょうか。
え? あ、はい。そうですか、なるほど……。
どうやらこれも番組の意図通りなのだそうですよ。
それというのも、ずっと形式が同じだとマンネリ化しちゃうじゃないですか。
なのでウチもいつまでも同じままじゃいけないな、と。
ディレクターはそう考え、少し趣向を変える事にしたそうです。
つまり、ここからは私もゲストがどんな世界から来たのか知らない、という事になります。
にしてもいきなりって酷くありません?
なお、これからは私の知識とトーク力とアドリブが命となるそうな。
キャスターとして力を認められたのか、それとも只のお遊びなのか。
嬉しい半分、プレッシャーも大きいですね。
これはもしかしたらゲストさん側のトーク比率が上がるかもしれません。
なにとぞご容赦願います。
そんな訳で前置きも省かせて頂きますね。
さて、それでは本日のゲストさんのご登場です。
「こ、こんにちは……
ようこそソアラさん。
どうやら緊張しているみたいですね。
でも私もですから大丈夫ですよ。
落ち着いていきましょう。
それで、ソアラさんはどのような異世界転移転生に見舞われたのでしょうか?
まずは境遇から語って頂けますか?
「あ、はい。えっとですね、私は異世界転移に巻き込まれました。いきなり呼ばれて、神様みたいな人と話して気付いたら知らない場所に~って感じの」
あ~よくある普通のパターンですね。
転移となると、以前は現地の人間などから呼ばれる事が多かったのですが。
トラック転生が有名になった辺りから、神に直接力をもらう転移も増えたそうな。
となると
「もらいましたね。それほど強烈なものじゃないですけど。一線級で戦えるくらいの魔導操作力と閃きの力を」
基礎能力向上系のギフトですね。実に普通です。
決して派手ではないですが、生き残るのに最も適した力と言えるでしょう。
扱い方次第では奇抜な能力よりもずっと扱いやすくて目立てるそうな。
「あと筋力も少し上がってました。少し体は硬くなっちゃいましたが……」
あら、それはちょっと残念です。
体の硬さまで上がっちゃうと女の子としては複雑ですよね。
その辺りは創造神の拘りなのかもしれません。筋肉好き、リアル嗜好といった感じで。
ちなみに、ギフトを贈る事は神や世界にとってさほど問題にはならないと聞きます。
世界のパワーバランスは多少崩れますが、やはり一時的なものなので。
むしろ世界の活性化に丁度良いそうですよ。
いわゆる伝説の英雄譚としても残るので後世での指標になるそうな。
人数が多過ぎると逆に誰も憶えてないなんてパターンもあるそうですが。
しかしそんな力をもらったとなると、やはり転移理由があるのでしょうか?
「
なるほど。
ソアラさんのお名前も特殊ですし、それで選ばれやすかったのかもしれませんね。
「神様もそう仰ってましたね。〝誰でも良かったが、君が目に付いた〟って。でも当時の私は只の女子大生で、異世界にも興味無かったので最初はちょっと迷惑でしたけど」
本当に誰でも良かったんですね。(笑)
この最近は割と希望や欲望を汲み取って転移させるパターンばかりだったのですが。
もしかしたら〝誰が当たるかわからない〟感を醸し出したかったのかもしれません。
主人公ガチャみたいな。
「まぁ、神様自身がどう思っていたかどうかはわかりませんけど。それというのも、私の世界の神様はもう……」
あー……なるほど、そこが失敗談と繋がる訳ですか。
話を聴いている限りだと非常に普通で安定しているようにも思えたのですが。
やはりそのような世界でも失敗にいたる事があるのですね。
「いえ、むしろそんな世界だからこそ失敗したんだと思います。下手に出来が良くて、下手に目立ってしまったから。主人公としても平凡で素朴だったらきっとこんな事にはならなかったんだろうって」
おや、それは一体どういう事なのでしょうか?
どうやら特別な事案が絡んでいるのかもしれませんね。とても気になります。
ただいつもなら軽いネタバレを挟みたい所なのですが、今回からはそうもいきません。
起きた出来事はすべてゲスト様から語って頂く事になるでしょう。
歯がゆいです~~~!
では早速語って頂く事にしましょうか。
果たして、一見普通そうにも思えるソアラさんとその世界で何が起きたのか。
「でも、ここまで普通って連呼されるとなんだか複雑ですね……」
大変申し訳ありません。天使は嘘付けなくて……。
なので、生まれた鬱憤は是非とも真相語りにて存分に晴らしてください。
それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
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