3-1 無双世界は道具の種類の数だけ存在する

 皆さまこんにちは、司会天使のパプリエルです。

 いきなりですが、本日は大きく趣向を変えて当番組をお送りしようと思います。


 それというのもディレクターの無茶振り企画が通ってしまいまして。

 とても頭の痛くなる話です。


 ですので、今回はのっけから大暴走気味で行こうかと。

 もちろん上層部にも許可は頂いておりますので、どうぞお楽しみくださいませ。


 そんな訳で本日の企画はこちらー!! ででん!!




 沢山の異世界転移転生者に聞いた!!

 あるある仰天無双、大集合~~~!!




 はい、無双ネタがやってまいりました。


 無双と言えばそう、あの爽快感満載の大暴れ展開です。

 特殊な力や武器を得て、その驚異的な能力で雑魚を千切っては投げェ!!

 はてまた余裕で強敵をボッコボコに打ちのめして!!

 末には成功街道まっしぐらという、ストレス解消にも最適なジャンルと言えるでしょう。

 私も割とハマってます。


 ですが、どうやら最近このジャンルにも若干の陰りが生まれているそうです。

 なんでも、意外性を狙い過ぎてハズレが増え過ぎているのだとか。


 という事で、今回はそのハズレを引かされてしまった方々をお呼びしております。


 その数なんと二〇名、脅威の人数です。

 まとめ上げられるか正直不安で仕方ありません。

 この人数の関係上、今回は二パート目もトークでお送りさせて頂きますね。


 それでは早速、皆さんに自己紹介して頂きましょう。

 あ、今回は都合上、番号と無双種名だけで紹介してもらいますね。


 それでは一番さんから順にどうぞ。


「一番、椅子無双です。メイン武器はパイプ椅子です」

「二番、掃除機無双です。ドラゴンまでなら吸い取れます」

「三番、段ボール無双という。配送先をヤるならお任せを」

「四番、パジャマ無双です。防御力に自信があります」

「五番、キャットタワー無双です。でも猫は付いていません」

「六番、靴紐無双です。最近は暗殺が向いてると気付きました」

「七番、フライ返し無双よ~。意外にも斬撃で戦えるわ」

「八番、ベッド無双。寝台を担いで鍛えた身体で戦っている」

「九番、スカート無双だ。しかし自分で履かないと意味が無い」

「一〇番、フィギュア無双だな。あ、でも他人操作系じゃないよ」

「一一番、ウニ無双です。自分も毎度死に掛けるかな」

「一二番、リモコン無双です。他人の思考チャンネルを変えられます」

「一三番、マタタビ無双でーす。最近気持ちいい気がするにゃ」

「一四番、KDM無双である。獣人系が相手なら負けは無い」

「一五番、ディスク無双だよ。最近生産数が落ちてるYO!」

「一六番、綿棒無双なの。耳かきに持ち込めば大体勝てるの」

「一七番、素麺無双だ。空中で麺が湯でられる」

「一八番、大根無双です。けど基本は大根ヒーラーです」

「一九番、塩対応無双。言葉のメスに磨きをかけている」

「二〇番、アルティメットキングスバハムート無双。だが俺は無力だ」


 さすがにこの人数、多過ぎじゃありません?(笑)


 というかこの並いる意外性の集合体、凄まじいですね。

 ポツポツと普通に戦えそうな武器も混じってますけど。

 これやっぱり全部失敗談なんです?


「そうだ。深淵たる暗幕布ダークテリトリーにて我等、遥か常闇グロウオブヒドゥンを共有し合った同胞達エンゲージャーよ」


 二〇番さん事前確認ありがとうございます。

  一番飛び抜けて目立ってるだけの事はありますよね。

 厨二病度にも雰囲気通りの破壊力があります。えぇとっても。


 それにしても、いずれも意外性を狙い過ぎてなんか方向性がよくわかりません。

 無双? 無双って何? って疑問と共にゲシュタルト崩壊待った無しですね。

 すいません、これは資料無しではどうにもならなさそう。


 という訳で手元に資料が届きました。良かった、ちゃんと用意してたんですね。

 ただ物凄く分厚い紙束ですけど。せめてタブレットとかで渡しません?


 それで、資料によりますと……

 どうやらいずれの世界も【エターナル伝説化現象】を引き起こしたようですね。

 適度に暴れた後、世界は自然と収束して何も起きなくなったそうな。


 きっと神々が満足して世界構築を止めたのでしょう。

 その理由は様々です。


 人気が奮わなかった。

 次の展開が思い付かなかった。

 別の世界に興味が向いた。

 主人公が気に食わなかった。

 客から苦情をもらった、などなど。


 この大創世時代においてはいずれもよくある事案ですね。

 ですが、無双というジャンルにおいては特に目立つといいます。


 それというのもこのジャンル、終わりがなかなか見えないんですよね。

 それは単に、目的が大暴れする所に向けられがちだから。


 異世界冒険モノといえば本来は【主人公】と【ラスボス】が存在していまして。

 主人公は苦難の道中を乗り越え、ラスボスを倒すという目標を果たします。

 そして世界を完結させる。すなわち王道テンプレですね。


 しかし無双はこの限りではありません。


 特殊な武器を使って無双、更に発展させて無双。

 やる事は基本この一辺倒です。

 しかも無双を目的としている為、それらしい目標が定められ難い。

 その結果、いずれの世界もラスボスが出る前に【エターナル伝説化現象】へといたってしまった。


 どれを取っても目標が無いからなんです。

 これが彼等の世界に共通する欠点だったという訳ですね。


 ですが、この欠点があっても防ぐ手段が無きにしも非ず。

 創世神達のやる気を震わせる手段が実はあったのです。


 その鍵はやはり、今回ゲストに来て頂いた方々自身と言えるでしょう。


 ではその鍵へといたれなかった原因とは。

 【エターナル伝説化現象】にいたってしまった要因とは果たして。


 それをこれからゲストの皆様の紹介を以って証明していく事に致しましょう。

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