世界探索08日目 さらなる地獄

あの大惨事から半日が経過した。その夜、ほぼ何も食べずに寝た私だが、何故かぐっすり眠ることができない...。なぜだろう...。そして、何かぬるぬるしたものが私の足を舐めてきた。

「ひゃぁぁん!?」

あまりのくすぐったさに、まずい声を出してしまった...。

「ここどこ!?私は今何されてるの!?」

そう叫んだ瞬間、鋭利な爪のようなものが、私に向かってきた。

「うわぁぁぁぁっ!?」

鋭利な爪のようなものが飛んできた瞬間、息が詰まりそうになったが、

「はぁっ、はぁっ...。」

気がついたときには、見慣れた拠点のベットの上だった...。

「何だ、夢かぁ...。」

「何が原因でこんな夢が...?いつもだったらかわいい恐竜がいっぱいいる世界につながるはずだけど...?」

「次こそは、世界に通じてくれ...?」

「よし、おやすみぃ!」

そう言い聞かせた私はまた眠りについた...。


               *****

翌朝...。

「はぁ、こんな夢初めて見たぁ!」

「え?良神岡もみたの?」

「うん、どす黒いものに飲み込まれていて、ぬるぬるしたものが私の大事な部分を触ってきたんよ!最終的には高いところから落とされたけど...。」

「私も同じ夢を見た!まあ、ほぼだけどね。ほぼ。」

「さあ、こんなことは忘れて、早くご飯食べよ?」

「いいね!みんなは...もう起きてるね。」

「「「「「「「おはようマウキ星」」」」」」」

「おはよう地球かよ!」

「あーかつて私達の先祖がいた初代の奇跡の惑星か...。」

「もう今はマウキ星にいるから太陽系とだいぶかけ離れたところだよね。」

「そうだね。いつか地球に行けたらなぁ...。」

「さて、ご飯だご飯。」

今日は流石に平和だよね...?昨日みたいになったらもう死んじゃうよぉ!

でも、今日も探索しないと、不味いことになってしまう...。私、どうすれば...?

「はぁ...。」

「どうしたの?」

「いや、なんでもない...。」

あまりの悩みに、ため息をついた...。

今日のご飯は、ただのスクランブルエッグとパンだった。いつもなら10分くらいで食べ切るが、今日はなぜか1時間かかった...。昨日の疲れか...。

「さて、探索へいこう...。」

「やっぱり、なにかあるんじゃない?よしみん。」

「大丈夫だよ。気にしないで。」

そう言ったあと、私達はロケットに乗り込んだ。

10分ほどかけて、昨日の穴のところへ来た。

「ここは危険っと...。」

「この穴、どうする?」

「塞ぐか...。」

「どっかに塞げるものあるかな?」

「う〜〜〜ん...。あれとか?」

奏が指を指した方向にあったのは、ずいぶん大きい岩の塊だった。たしかに、あれならこの穴を塞げるかもしれない...。

「よし、やってみようか。」

「せーのっ!」

ゴロゴロと音を立てて転がり始めた岩は、やがて穴の上にハマった。

「これでよし。さあ、いつもので行こうか。」

私がそう言うと、なにかの気配がした...。

「ねえみんな、何かいるかも...。」

良神広がいち早く気づいたが、もう遅かった...。

「がはっ!?」

「良神八!?!?」

その瞬間、良神八は倒れてしまった...。それに続いて今度は、

「う゛っ!?」

「良神夢!?良神広!?!?」

「立て続けに倒れていっている...!」

「ひとまずロケットの中に避難しよう!」

桜がそういったあと、急いで私達はロケットに乗り込んだ。その後、良神岡による治療が始まった。

「これは...かなり大きい傷だなぁ...。」

「大丈夫なの!?」

「助かる確率は高いが、リスクも否定できるわけではない。でも、やるしかないか。」

「急いで!やって!」

そう言うと、何やら魔法を唱え始めた...。すると、

「パーフェクトヒール!」

といった瞬間に、負傷した全員の傷が治った。

「こ、これが...魔法の力...?」

「まだ油断できない...。みんなは、昏睡状態に陥っている...。」

こ、昏睡状態...。しかも良神岡もとっても疲れてる...。

「本当に大丈夫なの!?無理しないで!」

「少なくとも...、この昏睡状態は3日...続く...。」

3日...!?これからの探索はどうなるの!?!?そう言いたいけど、驚きとショックで言葉を発せなくなってしまった...。

「少な...くとも...それくら...いは...かかる...。」

「良神岡!?」

「あと...は...あた...しをふくめ...て...看護...して...。」

「た...のん...」

バタン!

「良神岡!?しっかりして!?!?良神岡!!!」

その後ろでは...。

「奏、アレの準備!」

桜がそう言うと、2人で何かを組み立て始めた。いや、「組み立てる」というよりかは「作る」の方があっているのかもしれない。

30秒くらい眺めてると、何やらすごい魔法薬を作ってきた...。これは一体どういう働きをするのだろうか...?ただ何も考えずに3人と奏、桜を眺めていたら、その魔法薬を注射器に移し替えて3人に注射器を挿して薬物を入れた。

「あ、この薬は至って健全だからね★」

「…いや誰に向かって話してんねん。」

「とにかく治してよ!」

「それじゃ、行くよ!」

そう言うと、後ろで何かが動き始めた。そう思ったらいつの間にか3人の首元に電動マッサージ機がついていた。

「これで本当に立て直せるん?」

「もちろんさぁ!」

「某Dの真似してる場合か!」

「あ、ごめん火つけちゃって。」

多分私がそう言ったから桜に火をつけたかもしれないので謝った。

「いや、良神実は大丈夫だから、気にしなくてもいいよ!」

どうやら、私の思い込みだったようだ。そうこうしてる間に、最後の仕上げに入ろうとしていた。

「じゃあ、最後に、ヒーリング!」

そう唱えると、段々と意識が戻っていくように、手足が動き始め、目も開き始めた。そして、全員の意識と体力が戻ってきた。

「...ここは...?」

「ロケットの...中?」

「うわぁぁぁぁぁん!死ぬがと思っだぁぁぁ!」

「...?」

「ほら、良神岡。」

「ああ...助けてくれたんだね...。ありがとう...!」

「さあ、今日はもう疲れたし、帰ろうか。」

「ほぼ何もできなかったけどね...。」

「もうしょうがないよ。帰って明日をより良くしよう。」

私達はロケットエンジンを起動した。しかし、その瞬間...。

どごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!

という音と同時にロケットの全機能が停止した。

「え?」

「何が起きたん!?」

「まさか、あの空を飛んでいる恐竜が!?」

「無駄な殺生はしたくないが、コイツは殺っておくか。」

そういったのは、桜だった。でも、いくら弓使いとはいえ、外に出るのはかなり危険だ...。

「桜、いま外に出るのは危ない。あの恐竜が去るのを待ったほうがいいかもしれない。」

「でも、今ここで諦めたらもう帰れないかもしれないよ!ここで仕留めたら、より早く帰れる!」

「...!」

とても強い決意に、私は驚いてしまった。

「...わかった。くれぐれも気をつけて...。」

「絶対仕留めるから、見てて!よしみん!」

そう言い残すと、ロケットから飛び降りて彼女の持ち武器である弓を取り出した。そして矢を持って弓を構え、狙いを定めているうちに弓の先端が炎に包まれた。その時だった。

ぎゃおおおおおぉぉぉぉんん!!

悲鳴が鳴り響いた。どうやら仕留めるのに成功したようだ!

「まっ、こんなもんよ!」

「桜ちゃん、すごい...!」

「で、ロケットは発射できそ?」

「うん、行けるよ!」

「よし、帰ろうか!」

私達はようやく今日の地獄を脱出した。あれさえなければ、手がかりに一歩近づけただろうに...。ホント最悪...。

そして10分後、いつもどおり拠点に戻ってきた。今日はしっかりご飯を食べないと、不味い。

今日の夜ご飯は納豆に白ごはん、そして味噌汁、鯵の干物だった。私達は干物の骨に苦戦したが、20分で食べきった。そして、とても疲れの溜まった良神広、良神岡、良神八、良神夢はすぐに自分の部屋に行って寝始めた。

「さて、日記を書くかぁ。」

「ねえねえ、もう寝ていい?今日はちょっと疲れたし。」

「うん、いいよ!おやすみ、みんな。」

「「「「おやすみー」」」」

みんなはそう言って、自分の部屋に行った。

その時、私は、

(ふう、今日は何もできなかったけど疲れたな...。)

と思った。さあ、日記だ日記。

『探索8日目

今日は何もできなかったが、仲間がひどい目に合わされた...。この世界で何が起きているのか、わからない。けれど、これを乗り越えたからこそ、真のヒーローだ。あと2年と357日。やってやる...!』

(…今日は何もできなかったからこんなに短くなるのは必然的にこうなるか...。ふわぁぁぁ...。眠くなってきた...。)

私はそうつぶやくと、自分の部屋に行ってすぐに寝た。

(...いつになったらこの地獄というところから脱出できるのだろう...。)

今日はこんな事を考えながら...。

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三合良神実たちと7つの世界 微風蒼井 @Murakami_shion

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