22 強化するぞ

【ミア友】幽霊配信者ミアちゃん応援スレpart6【募集中】

 

 781 視聴者の名無しさん ID:

 ミアちゃん最強!

 ミアちゃん最強!


 782 視聴者の名無しさん ID:

 悪は去った


 783 視聴者の名無しさん ID:

 ミアちゃん「不細工な顔近付けんなよ」


 784 視聴者の名無しさん ID:

 >>783

 ありがとうございます!


 785 視聴者の名無しさん ID:

 >>783

 あれ俺に言ったのかと思った


 786 視聴者の名無しさん ID:

 >>783

 俺「おぉおぉぉぉ……」


 787 視聴者の名無しさん ID:

 くっそわろた


 788 視聴者の名無しさん ID:

 天使のようなミアちゃんがあんなこと言うわけないだろ!

 あれは……その……お化けに操られてたんだよ!


 789 視聴者の名無しさん ID:

 実際その前やばかったな

 顔を掴まれたと思ったら急に笑い出して訳わからないこと言い出した


 790 視聴者の名無しさん ID:

 やられたかと思ったよな


 791 視聴者の名無しさん ID:

 悪霊退治ってやっぱリスク高いわ


 792 視聴者の名無しさん ID:

 でも倒したら力を吸収できるんだろ?

 強くなるにはやるしかないのでは?


 793 視聴者の名無しさん ID:

 そんな謎のエネルギー吸収しなくても今まで通り知名度上げればよくね?


 794 視聴者の名無しさん ID:

 悪霊倒して吸収とかヤバい気しかしない

 完全に自分も悪霊になるパターン


 795 視聴者の名無しさん ID:

 汚いところは捨てたって言ってたから大丈夫だろ


 796 視聴者の名無しさん ID:

 カビの生えたパンからカビの部分を除去したら食っても大丈夫って?


 797 視聴者の名無しさん ID:

 >>796

 的確すぎてわろた


 798 視聴者の名無しさん ID:

 >>796

 そう考えるとヤバいなw


 799 視聴者の名無しさん ID:

 >>796

 優勝


 800 視聴者の名無しさん ID:

 スレが盛り上がってて最後まで見なかったことが悔やまれる


 801 視聴者の名無しさん ID:

 離脱組か

 勿体無いことしたな


 802 視聴者の名無しさん ID:

 ミアちゃんの不細工な顔近付けんなが聞けただけでも見た甲斐あったわ


 803 視聴者の名無しさん ID:

 実際ヤバそうなやつだったししゃーない


 804 視聴者の名無しさん ID:

 そのヤバそうなやつをワンパンするミアちゃん


 805 視聴者の名無しさん ID:

 強い(確信)


 806 視聴者の名無しさん ID:

 自分の顔殴って覚醒するとこもそうだけど

 結構男前だよね


 807 視聴者の名無しさん ID:

 アーカイブも案の定何も映ってないしなあ

 離脱組はおつかれ


 808 視聴者の名無しさん ID:

 やらせだろ

 あんな特撮みたいなことあるわけない


 809 視聴者の名無しさん ID:

 >>808

 まだ言ってんのか

 結局今回出てきたお化け達も全部モニター越しに写真撮って写らなかったじゃん

 答え出てるだろ


 810 視聴者の名無しさん ID:

 まあツミッターでも大論争になってるしな

 信じないやつは何言っても信じないから仕方ない


 811 視聴者の名無しさん ID:

 ミアちゃんと結婚したい


 812 視聴者の名無しさん ID:

 >>811

 ミアちゃん「不細工な顔近付けんなよ」


 813 視聴者の名無しさん ID:

 一生言われそうやなw


 814 視聴者の名無しさん ID:

 最後はともかく、それまでのほのぼの心霊ツアーも面白かったよ

 あれならまたやってほしいわ


 815 視聴者の名無しさん ID:

 確かに危険が無いならまた見たいね


 816 視聴者の名無しさん ID:

 ミアちゃん愛してる


 817 視聴者の名無しさん ID:

 >>816

 ミアちゃん「不細工な顔近付けんなよ」


 818 視聴者の名無しさん ID:

 もうテンプレで草


 819 視聴者の名無しさん ID:

 ていうか、よく考えたらミアちゃんが大勢に知られることで強くなるなら、他の霊にも同じことが言えるのでは?

 これからも配信して大丈夫なのか?


 820 視聴者の名無しさん ID:

 >>819

 あっ



 ◯



 あれから一晩が経過して、朝になった。

 本来の目的通り、俺がモニター越しにすら記録媒体に残らないということが知れ渡ると、ネット上では激しい論争が巻き起こったらしい。

 

 幽霊はいる、いない、昨日の配信はやらせ、本当。

 とにかく色んな意見が交わされたようで。

 

 結果として、俺のチャンネルの登録者は一万五千人にまで増えた。

 

 ホワイ?

 

 地道に伸び続けたことで、七千人も間近だと喜んでいたのが昨日のことだ。

 それが一晩で倍以上である。

 

 もう何が何だかわからない。

 頭がおかしくなりそうだ。

 

 登録者の伸びに比例して、俺の力のほうも飛躍的に増したように思う。

 能面野郎から奪ったものも合わせると、体感三倍くらいにはなってるのではなかろうか。

 

 こうなることを期待してやったこととはいえ、そのあまりの効果に震えてくる。

 案を出してくれたミア友には感謝感謝だ。

 

 となると問題は、この有り余る力をどう使うべきかだ。

 

 力をポイントで例えるなら、今まで一万ポイントでやりくりしていたものが、一気に三万ポイントくらいになっている。

 使いたい放題、とまではいかないが出来ることの幅は確実に広がった。

 

 とはいえ、新能力を作るかと言われると悩むところだ。

 これも体感ではあるが、能力は一つ作るごとに要求ポイントが著しく増大している感がある。

 一つ目が百でも作れたとすると、二つ目が千、三つ目が五千とかそういうレベルで要求が増すのだ。

 

 であるならば、既存の能力に注ぎ込む方が、おそらく効率は良い。

 特に変身能力のほうには無限の可能性を感じている。

 ガントレットを強化するだけでも戦闘力は飛躍的に伸びるだろう。

 

 しかし、懸念点もある。

 昨夜、能面野郎にくらった謎の攻撃。

 やつが一言つぶやいた瞬間、脳を掻き回されるような不快感を覚えた。

 あれはもしかして、RPG風に言うなら状態異常というやつではないだろうか。

 

 幽霊風にいうなら呪いと言い換えてもいいかも知れない。

 敵が強くなるにつれ、物理だけではなく様々な攻撃をしてくるのは、ゲームだと当たり前のことだ。

 中には生死に関わるものも多々ある。

 ゲーム脳と言われればそれまでだが、仮にそうであるならば対策は必須だ。

 

 ゲームが好きな人ならわかると思うが、状態異常というのは実に厄介な代物だ。

 毒、麻痺、呪い、睡眠、スタン、石化、沈黙、混乱、魅了などなど。

 少し考えるだけで、初見殺しになりうるもののオンパレード。

 

 そんなものが使われる可能性があるならノーガードでいるのはいかにもまずい。

 もちろん全く見当違いである可能性もあるわけだが、気づいてしまった以上、リソースを割かざるを得ないところだった。

 

 ちなみにミア友から聞いたところ、俺が捕まっていた時、口だけさんも挙動不審になっていたらしい。

 つまり能面野郎の不可解な技は、俺だけじゃなくて複数人を対象にしていた範囲攻撃だったことがわかる。


 ミア友に影響が無かったのは幸いだった。

 ミア友に何かあれば悔やんでも悔やみきれないので、今後はそこも含めた対応策を練る必要がある。


 更に言えば、配信と霊の関係もそうだ。

 俺が強化される分には大歓迎だが、悪霊を映す度に存在強度の上昇を心配するのは非常によろしくない。


 これについては、実はツミッターのほうでも何件か忠告をいただいた。

 今まで気付かなかった俺が悪いので、素直に謝ることしかできない。


 実のところ、俺は能面野郎の状態異常攻撃については、配信で存在強度が強まったことによって発現したのではないかと危惧していた。


 少なくとも、そうした可能性がある以上、なんとか俺以外が配信によってパワーアップされるのを防ぎたいところだ。


 そんなわけで、俺とミア友への悪影響を防ぎ、敵の強化を防ぐような能力にしたいと思ったわけだが。

 

「……ダメだな」


 条件を欲張り過ぎたのか、変身能力の拡張では、望む効果が得られそうになかった。

 自分のみの保護ならまだしも、ミア友や悪霊への適用となるとうまくいかない。

 

 変身の性質上、効果は自己に限定されるようだ。

 他者に効果を及ぼすのは能力の範疇から逸脱するのか、上手くいきそうになかった。


 ふとそこで頭に浮かぶものがあった。

 ミア友の保護と敵の強化を防ぐことについてはカメラ師匠に任せられないだろうか、と。


 仮にミア友が霊障を受けるにしても、悪霊が認識され強くなるにしても、それは全てカメラ師匠を通して行われるものだ。

 であるならば、カメラ師匠側で流れる情報を任意にシャットアウトできれば、諸々の心配は無くなるのではないか。


 早速カメラ師匠に相談してみることにした。


「というわけなんだけど、どうかなカメラ師匠。できそう?」

 

 結果として、カメラ師匠から何やらパスのようなものが伸びてきたのがわかった。

 感覚的なものなので例えが難しいのだが、糸電話の片方を差し出されたような感じだろうか。

 

 カメラ師匠の言いたいことを察して、無抵抗にパスを繋ぐ。

 途端、俺の中にあった力の貯金が急速に引き出されていく。

 

 おそらく、カメラ師匠に霊障や敵の強化を防ぐ能力なんて都合の良いものは無かったのだろう。

 当然だ。さすがのカメラ師匠でもそこまで万能ではない。


 だが、ならば諦めるかといえばそうとも限らない。

 俺の中には不可能を可能にする力が眠っている。

 

 つまり、俺の要望を叶えるために、カメラ師匠は自身を進化させるつもりなのだ。

 そのために必要な力を、今俺から吸い出している最中というわけだ。


 時間にして、三分も経っていないだろうと思う。

 カメラ師匠への力の流出は止まった。

 パスを通して、カメラ師匠が得た能力についての大まかな情報が伝わってくる。


 ええと、霊的なエネルギーに対するフィルターと……視聴者の認識を一部ズラすことによる同一性の低減?


 前半はともかく、後半はちょっと意味がわからない。

 しかし、カメラ師匠が俺の要望に最大限応えようとしてくれたことはわかった。

 取り敢えず、敵の霊障と強化対策ができたならそれでいい。


 繋がっていたパスが離れていくのがわかる。


 ちなみに、必要になった力だが、おおよそ余剰分の半分ほどが持っていかれたようだ。

 正直痛いが、ミア友の安全には代えられない。

 今後を思えば必要経費と言えるだろう。

 

 カメラ師匠を見ると、全てが完了し、どことなくツヤの増したボディで宙に浮いていた。

 その姿は、任せろと言っているようで、俺はその頼もしさに安堵した。


「よろしく、カメラ師匠」


 手を差し出して微笑む。

 その手に、カメラ師匠がそっと触れた。


「…………」


 ふと、気配を感じて振り返る。

 口だけさんが、すぐ傍に立っていた。


「な、なんだよ」


 何か物言いたげにこちらの様子を窺っている。

 俺は察した。

 こいつ、カメラ師匠が力を貰ったのに気付いて、あわよくば自分も貰おうとしてないか?


「やらないぞ」


 やる理由が一ミクロンもないのでキッパリと宣言する。


「絶対にやらない」


 しっかりと見据えて言い放つ俺。


 あるいは、配信での強化を俺のみに限定したことに対する抗議だろうか?

 それについても、口だけさんが潜在的な敵であることに変わりない。

 むしろ今まで力を与えていたことが痛恨なのだ。

 譲るつもりは全くなかった。


 口だけさんは少しだけその場に立ち尽くしていたが、やがて背を向けると定位置へと戻っていった。

 ちょっと悲しそうな後ろ姿だった。


 いや、譲らないけどね。


 俺は俺で余裕があるわけではないのだ。

 残った力で状態異常対策をしなければならない。

 ミア友の安全は確保したが、俺自身の安全についてはこれからなのだ。


「となると、どういうのがいいかな」


 改めて、能力について考える。

 やはり常日頃から自動発動することと、高い防御力、状態異常への耐性は譲れない。

 であるならば、普段使いのことも考えて……。


 なんだかんだで能力を考えること自体は楽しい。

 俺は思考の渦に没頭していった。



 ◯


 

 残った力の大部分を使って、何とか新能力が形になった頃、ふと交流ソフトに真夜さんから連絡が来ていることに気付いた。

 

『ミアミア、お礼の準備ができたから今日とまちゃんと一緒に会いに行っていいかな?』


 とまるんがくる!?

 俺の無い心臓が跳ね上がった。

 

 廃墟の場所は教えてある。

 俺だとスミッチ等を持って帰るのは難しいだろうということで、真夜さんが持ってきてくれることになっていたからだ。

 

 ポルターガイストを使えば運べないことはないけど、物だけが浮いている状態になっちゃうからね。

 どんな横槍が入るかわからないし、素直に真夜さんの好意に甘えることにしたのだが。

 

 ……なんか真夜さんに甘えてばっかりだな。

 申し訳なくなってくるので、今度何らかの形でお礼をしたいところだが。

 

 いやいや、取り敢えずそのことは置いておこう。

 とまるんが我が家にやってくるとなれば話が変わってくる。

 いや、真夜さんがどうとかいうんじゃなくてね。

 あの人細かいこと気にしなさそうだし。

 

 家の中を見回る。

 正直、自分が困ったことが無いからと、家を荒れたまま放置しすぎていたかも知れない、

 以前のような不良が入り込んでくるのも、ここが廃墟然とし過ぎているからだろう。

 

 掃除せねば。

 とまるんが埃でケホケホ咳をする姿を想像して、俺は静かに決意した。

 

 しかし、散らかった物はポルターガイストで動かせるとして、砂や埃はどうしたものか。


 ホウキは確かあったから、それでいけるか?

 いや、その前にちょっと試してみよう。

 

 俺は埃を指定するつもりでポルターガイストを発動させた。

 しかし対象が一つではなく、複数であるためか、初めは上手くいかなかった。

 虫野郎の時は複数を同時に指定できた気がしたが、考えてみれば、あれは数がいるように見えて全部虫野郎という一つの個体だったのかも知れない。

 埃は一つ一つが別扱いのようだ。そのため、まとめて指定するためには、少し力を注ぎ込んで能力をアップグレードさせる必要があったが、今後にも必要だと判断して実行する。


 これで、わずかに残っていた力も完全に使い切ってしまった。

 なんとかまた集めよう。

 

 結果として、直径一メートル程度の範囲にある埃や砂、全てが持ち上がった。

 モサっとしているそれらを丸めて外に捨てていく。

 

 ちょっと面白いなこれ。

 一気にゴミが取れる様子は、妙な快感すらある。

 

 俺は気分よく掃除を進めていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る