第5話 光魔法

「お兄ちゃん遅いよ。レベリングとボス戦なんだよ。12時には寝たいんだから」


「それとも、ウトウトしてとろんとした私と通話しながらゲームしたいのかな? 判断力が落ちたJKにエッチな質問をしてぐへへってなるつもりでしょ」


「エッチな質問? それは……例えば……パ、パンツの色とか?」


「興味ない? またまた。照れなくていいんだよ。そうだ。レベリング中に寝落ちしないようにお兄ちゃんを起こしてあげよう。眠そうにしてたら今履いてるパンツの色教えてあげる。どう? やる気出た?」


「あれ? むしろ眠たくなった方がお兄ちゃんにとってはお得? わざとらしく手を抜いたら出会い厨の変質者ですって晒し上げるから! ちゃんとやってね。お兄ちゃんがモンスターを倒さないとレベルアップできないんだから」


「でね、さっきスキルを見てたんだけどあと少しで私も攻撃魔法を覚えられるみたいなんだ。高速回復もできる上に攻撃魔法まで使えたら最強じゃない? あの触手を魔法で消せたら回復する余裕もできると思うんだ。だから最低でも魔法を覚えるまではレベル上げするから」


「安心して。攻撃も回復もなんでもできるヒーラーになってもお兄ちゃんと一緒に冒険してあげるから。私の詠唱を守る騎士に任命してあげる」


「それにこの魔法、威力が高い代わりに消費MPもすごいみたい。今の状態だと二発撃ったら回復できなくなっちゃいそう」


「えい! えい! 回復してもちょっとずつ経験値が入るのが良いよね。おかげでお兄ちゃんより絶対にレベルが上になれる」


「こっそりレベル上げする? 優秀なヒーラーがいなくてレベリングなんてできるの~? ゲームでもコミュ障なのに~?」


「ゲームの中で出会った頃も酷かったな~。ろくにチャットもしないで全部ジャンプで反応して。たしかに便利だけどさ。もう少し言葉にしてもらわないと連携が取れないんだよね。今じゃお兄ちゃんとのボイチャになれちゃったから他の人とパーティ組みにくいし」


「私をこんな風にしたのはお兄ちゃんなんだから、責任……取ってよね」


「ほら、手が止まってるよ。お兄ちゃんはモンスターを倒さないと経験値が入らないんだからどんどん攻めて攻めて!」


「そこそこ。そこ最高! どんどん良くなってる。もう少しでイキそう」


「あと少し、あっ……あっ……キターーー!!! 念願の攻撃魔法だよ! ね? 1回試し撃ちしていい? どうせ1回宿に戻って回復するんだしさ。ほら、ちょうど群れがきた」


「さぁて、いくよ。シャイニングバスタアアアアア!!!!!」


「つっっっよ!!!! 最初の攻撃魔法なのに他の最強魔法を超えてない? 覚えるレベルを考えたら妥当かもしれないけどさ、急に高火力が出て逆に戸惑うよ」


「よーし、これならあの触手だって……ううん、本体もまとめて消し飛ばせるよ。お兄ちゃんが囮になって、その間に詠唱するからよろしく。攻撃魔法の速度は全然上がってないから」


「お兄ちゃんのサポート楽しみだな~。普段私がどれだけ頭を使ってプレイしてるかその身をもって体験するがいい」


「あ~……でも、もう遅いね。あの憎き触手を倒すのは明日でいい? 明日は部活があってインできるのは夜かな。それまでにどうやって囮になるか考えておいてよね。お兄ちゃんがリードしてくれないと私、ヤれないから」


「それじゃあ、おやすみ。また明日」

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