第4話 レベルアップ
「やったー! レベルアップしたよ。強敵だけあって経験値もおいしいね。レア素材も大量大量。魔力が上がったから予想よりもボスが楽になるかも」
「お兄ちゃんはレベル上がってないの? じゃあ討伐速度は変わらないか~。ま、私という優秀なヒーラーが守ってあげるから討伐達成は確実だね」
「経験値も報酬もおいしいけど結構時間取られちゃった。レベリングのためにザコを倒したいところだけどボスまで直行してもらっていい?」
「なんか懐かしいかも。二人で急いで家に帰ってるみたいで。暗くなってから帰るといっつもお兄ちゃんが怒られてたよね」
「と、いうわけでお兄ちゃんは無事に夕飯までに私を帰宅させるように。優秀なヒーラーがいれば負けることは絶対にないけど、どれだけ早くボスを倒せるかはお兄ちゃんの火力にかかってるから」
「夕飯のあとはまた別のダンジョンに行きたいじゃん。それにここまで来たらボスを倒して帰りたいよ。大丈夫大丈夫。お兄ちゃんが捨て身の攻撃をして、それをすぐに回復するゾンビ戦法で勝てるから」
「文句を言いつつも確実にボスに近付いているよ。この辺りのザコは私のレベルに恐れおののいて勝手に避けてくれるから楽だね。さっきのレベルアップが効いてるよ。1レベルの違いでこんな風になるんだね」
「そろそろボスだ。お兄ちゃん、私がママに怒られないためにも全力で攻めて! 後ろは任せろ!」
「いけいけいけいけ! 回復回復かいふくぅ!!」
「ギャーーーっ! なんでこっちに触手伸びるの! 前までこんなモーションなかったよ!」
「でも私を狙ってるってことはお兄ちゃんはフリー!? って、そっちは毒ガスがやられてる!? この攻撃は残ったまま新モーション追加されてるって反則だよ。自分の回復で精一杯なんですけど!」
「ああん! 触手が絡まってキモい。自分までぬるぬるしてる気分になるううう!!!」
「どうしよう。回復もできない。すんごい地味に体力が削られていくんですけど……って、お兄ちゃんも死にそう!」
「あっ! あっ! ヤバい。死んじゃう死んじゃう。触手がいやらしく攻めてくる」
「全然拘束が解けない。捕まったらアウトってズルくない? バグなの!? 仕様なの!?」
「お兄ちゃんもっともっと攻めて! やられる前にやろう! それしかない」
「キモいキモいキモい! 早く離れろー!!」
「お兄ちゃん体力大丈夫? アイテムの回復も間に合わない? だよねぇ、毒耐性100%じゃないとダメかぁ」
「っていうかいつの間にかマヒにもなってるし。やっぱこいつズルいよ。アタッカーが状態異常になったらヒーラーが即回復するのが定石だったのに、ヒーラーをいやらしく触手で拘束するなんてさ」
「あぁ、ごめんお兄ちゃん。先に宿に帰ってて。私はこのままじわじわと削られるのを触手の中で待つよ」
「あっ……あぁ……もうダメ……ああん。やられちゃった」
「お兄ちゃん、夕飯を食べてお風呂入って宿題をやったらレベルを上げてまた来よう! このキモい触手を絶対に倒すんだから」
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