三話 フィーリス (別視点)

—とある冒険者の日記-


今日は色んな事があった。


いつもと変わらずDランク冒険者として魔物などを狩っていた。


ギルドに帰還し報告をしようと思ったが、いつもと違って異様な雰囲気だった。


すぐにその雰囲気の元になっている人を見つけた。


とにかく綺麗な人だった、俺はすぐに見惚れてしまった。


だがすぐに彼女がとんでもない存在だと言うことを自覚した。


彼女と同行していた獣人族を奴隷にしていた冒険者共が彼女を自分達の女にしようとしてきた。


奴らは有無を言わさずに彼女の腕を掴んだ、それが運の尽きだったといえる。


奴らの腕が吹っ飛んだ、肉片もなく吹っ飛んだのだ。


親父が錬金術師をやっていたから、すぐにそれが錬金術だと分かった。


だけど親父に見えられた錬金術とは全く違う物だった、もしかしたら彼女の住んでいた地域によって違っているのかもしれない、それは後で親父に聞こう。


その後彼女達は何事もなかったかの様に冒険者になった、そしてパーティも組んだ。


錬金術師? のリコリスと、獣人族のカフィーの名前を合わせて『フィーリス』と言う名前になった。


リコリスが単独で任務を受けるらしい事になり、何故か俺がついていくことになった。


因みに俺以外にも同行しようとする者は沢山居た、尚更不思議だ。


早速リコリスが自分の力を遺憾なく発揮した。


ゴブリンスタンピードに巻き込まれた俺たちだったが、大量のゴブリン達を指揮していたキングゴブリンを、リコリスが瞬殺したのだ。


俺は何することなく、たった一人の人物によってスタンピードが鎮められた。


その後ギルドマスターから小一時間ほど彼女達の事について聞かされた。


俺はギルドマスターの殆どの質問にこう返した。


『良く分からない』雑な返答に見えるがこれしか最適な答えはなかった。


実際問題俺がリコリスに出生地などについて質問しても全部『分からない』と答えられた。


どこからか闇が感じられるが、そこに関しては深く追求しない方が彼女の為だろう。


あの馬鹿貴族に目を付けられていないだろうか...そこが心配だ。

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