幕間
ある任務の後
「はぁ……」
暗殺任務を終えた後、標的のいたアジトで私は一人ため息をついた。
いつまでこんなことを続けるのかな、なんて考えるけれど答えは出ている。
きっと一生殺し屋として生きていくのだろう。
生まれた時から殺し屋の私にとって居場所はここだけ。
居るべき場所はここでは無いかもしれないけれど居られる場所はここしか無い。
頭にモヤがかかった状態で歩いていると前方から人影が見えてきた。しかし殺意は感じられない。
ここにいる、ということはカタギの人間ではないのだろう。しかし任務以外のことをする必要は無い。
段々と距離が近づいていき、人影の正体が明らかになる。
――ポニーテールの女性だった。
しかも、とても凛々しく可愛らしい女性だった。
見惚れながら顔を見ていると女性と目が合ってしまったのでそっと目を逸らす。
「……!」
すれ違った瞬間、圧倒的オーラを感じた。
殺気でも覇気でもない。すれ違った人全員を魅了するようなオーラ。
「ねぇ」
既に後ろにいた女性が足を止めてそっと口を開く。
無視することも出来たけれど、何かに惹かれるように私は答える。
「……なんでしょうか」
「今の人生、楽しい?」
「……楽しいわけ、ないです」
振り返らずただただそう口にする。
「……そっか。ありがと」
女性はただそれだけ言うと再び歩き始める。
私が振り返った時にはもう女性の姿はどこにもなかった。
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