2023 06 23
浜のブローカーTさんのこと(その9)
20年ほど前、お客さんから「絵画もあるけど、本当はガラス工芸の方が興味があるんだ。ガレとかドームとかはできないかと」云って来たのです。それではと、浜のブローカーTさんを紹介したのです。
Tさん曰く「今度、エストオークションで特別オークションがあるから、そのお客さんと一緒にやって来たら面白いぜ」
お客さんと嫁さんがやって来ました。Tさんは羽田までやって来ました。車はクライスラーでした。
Tさん曰く「ベンツは修理中だ。もうちょっとましな車があったりしたらな」
ひどい雨が降ってまして、有楽町辺りで車のボンネットから白い煙が出たのです。ちょうど、ブッシュ大統領が来日してまして、白い煙を見た機動隊が何人もやって来たのです。ボンネットは開けるし尋問されるし、散々でした。
Tさん曰く「だからアメ車はダメなんだ。ブッシュに言っとけ」
オークション会場に入ると、ワインのボトルが200本~300本もあるではないか……オークションのスタッフに訊くと、出品された人が酒が飲めないので、会場の人たちに飲んでいただくと云う。詳しく訊くと、
スタッフ「フランス人の旦那が亡くなって、ガレとかドームとかが遺産があり、この度にオークションで競売にかけることになったのです」
私「ワインもオークションですか?」
スタッフ「ワインは対象外です」
私「私も飲んでもいいのですか」
スタッフ「どうぞ、どうぞ、これなんか100万円はしますよ」
私「………」
私の傍で訊いていた客が、列になってワインを飲んでいました。
私のお客さんもオークションで2点落札しました。三越だったらこの五倍はするよと云ってました。それよりも、一本100万円のワインの方が思い出です。それから買ったワインは3000円以下ですが、だいたい一本1000円です。サントリーのほとんど料理酒ですけど……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます