策略-4
東京都港区のとある公園で、一人の男の死体が発見された。
「こん人の身元は?」
光り輝く頭をペチペチと叩きながら、
「はい。被害者は
「あ、そう。これ、毒殺よね?」
一川警部は死体に手を合わせながら、泡を吹いている木幡の死体から考えられる死因について質問する。
「はい。鑑識からの報告では毒殺の可能性が一番高いかと」
「そ」一川警部は素っ気ない返事をしながら、木幡の死体を観察する。
木幡の顔は苦悶の表情を浮かべており、首にも自身で引っ掻いた傷が多数あり相当苦しんで死んだ事が伺えた。
「目撃者は?」
「第一発見者の男性しか居ません」
「どうやって、こん人を発見したと?」
「早朝のランニング中に発見したそうです」
「早朝・・・・・・・ちゅーことは、被害者は夜に殺されたことになるよね?」
「そうですね。死亡推定時刻は深夜二時頃だそうです」
「ここら辺って外灯がまぁまぁあるし、人通りもどうなんやろうねぇ~」
「どうなんでしょうか。全くもって人が通らないなんて事はないと思いますけど」
絢巡査長は自分の推理を伝える。
「絢ちゃんの言う通りかもしれんね。で、被害者の家には?」
「所轄の刑事が向かっていると思いますけど」
「あたしらもそっちに行こうか?」
「分かりました。車、回してきます」
こうして、命捜班の二人は木幡マイケルが住んでいたアパートのある豊島区へと向かった。
木幡が住んでいたアパートは学生用のワンルームアパートで、木幡は大学院生であった。
部屋の中は本で埋め尽くされており、勤勉な学生であることが分かる。
「凄い本の数やねぇ~」
「一川さん。そんな事はどうでもいいんで事件に繋がる物を探しましょう」そう絢巡査長に注意される一川警部は「は~い」としょんぼりしながら仕事に取り掛かる。
木幡の研究はマクロ経済学についての事らしい事が部屋にある本から勇逸分かったことであった。
「なんか、がり勉君みたいでお友達とか少なさそうな感じの人みたいやね。色んな所にメモが書かれとうけん」
一川警部がそう感想を述べると「それは偏見だと思いますよ」と絢巡査長に窘められる。
「すんません」
「ここでは、手掛かり無しみたいなんで被害者の大学に行きますか?」
「絢ちゃん。あたしもそう思うとったところばい」
「そうですか」絢巡査長は絶対噓だと思いながら木幡が通っていた池袋にあるキャンパスへと場所を移した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます