始動-9
長四郎の疑問が解決する。
その言葉の真偽を確かめる為に、長四郎と燐は一川警部から説明を受ける。
「どうやら、被害者のOLさんは彼にご執心やったようやね」
一川警部は愛華のスマホを二人に見せてきた。
「これは、ご執心というか。メンヘラ臭いですなぁ~」
長四郎はしかめっ面で感想を述べた。
愛華のSNSアプリの通話履歴には、遠山に五分に一回連絡するという履歴が残っていた。
基本はメッセージでの連絡ではあったが、通話もよく行っていた。
「ヤバくない?」燐の感想はその一言だけであった。
そんな感想も無視して、長四郎は履歴を遡って見ていく。
「そんでね。彼女は警察から注意受け取ったらしい」
「ああ」と素っ気ない返事をする長四郎に対して、燐は「うわぁ~」と嫌悪感を示す反応を見せる。
「まぁ、これだけ分かっても彼女が殺された理由が分からんと」
一川警部のその発言を聞き、長四郎は思わず「ふふっ」と笑ってしまう。
「何が可笑しいの?」
「いや、別に」
長四郎はその真意を答えず、一川警部にスマホを返してこう告げた。
「あの、被害者の人が警察から注意を受けたのはいつなのか。調べてくれませんか?」
「OK」
一川警部はすぐ様、行動に移った。
「それで、私達はどうするの?」
「そんな事、俺が知るか!」
長四郎はそれだけ言うと、事情聴取が終了し警察から帰宅許可が降りた遠山の元へと向かう。
「お兄さん」そう言って、遠山を呼び止める長四郎。
「実はお願いがあるんですけど」
遠山は連れの女性に先に行くよう目で促すと、長四郎の方を向く。
「何でしょうか」
「事件解決にあたり、少しお話を聞かせてもらえないでしょうか?」
「はい?」
思わぬ提案に、戸惑う遠山に話を続ける長四郎。
「いや、戸惑われるのは無理もないでしょうし、先程、自分も事件解決を扱う探偵じゃないと言いましたけど、犯人を追い詰める為にご協力願いたいのです」
長四郎はそう言って、燐を見る。
「私が犯人だとでも言う訳!?」
燐は長四郎に詰め寄る。
「怖い。怖い」長四郎は身を縮こまらせながら、遠山に話を続ける。
「それで、なんですけど被害者からストーカー行為を受けていたみたいですけど、いつからですか?」
「一年前からです」
「それで、ストーカー行為は連絡以外でもあったんですか?」
「当然、ありました。自宅にまで押しかけられた始末で」
「そうでしたか。それで」長四郎が話を続けようとすると「言っておきますけど、私、あんたのストーカーじゃないから。勘違いしないでよ。クソ野郎!!」と弁明かつ悪態までつく燐であった。
その言葉を受け、機嫌を悪くする遠山。
「すいません。この小娘の言う事は真に受けないでください」
「もとはと言えば、こいつが浮」そう言いかけた時、長四郎は燐の口を押さえて発言を止めた。
「こいつを黙らせてくるんで少し待って頂けますか?」
「はぁ」
「失礼します」
長四郎は燐の口を押さえつけたまま、男子トイレへと引っ張っていくのであった。
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