始動-8
遠山と世間話をしている長四郎の下に、一川警部が来た。
「連れ帰ってきたばい」
一川警部がそう言い終えると、一川警部の背後から燐が姿を現すと長四郎を思いっきりビンタする。
「痛そぉ~」一川警部は自身の頬を擦りながら、長四郎の身を案じる。
「全く、ラモちゃんは乱暴者だな。その内、怒りの大脱出でもするんじゃないの?」
「意味が分からないんだけど」
「ああ、昔の映画で「ランボー怒りの大脱出」っていう映画があるったい。それで乱暴とランボーを掛けとうと」
「つまんな」の一言で一蹴する燐。
「こん娘、キツイねぇ」
「そうなんですよ」
そんな会話をする長四郎と一川警部を燐は睨み付けると、二人は口を噤んだ。
「あの、この子、連行されてましたよね?」遠山が話に入ってきた。
「そうなんですけどね。彼女は犯人じゃないので、呼び戻してもらったんですよ」
「そうだったんですか」
そう答える遠山だったが、わざわざ現場に呼び戻す理由が分からず、家に帰せばよいのにと思う。
そして、話は進められる。
「ラモちゃん。トイレに入って行く前に何か気になる事あった?」
「え?」唐突な質問に燐は返答に困る。
「どうなのよ?」
「急かさないでよ」
長四郎にそう言い返すと、トイレに入って行った時の事を思い出す。
怒りに身を任せトイレに逃げたであろう遠山を叩き出す為、トイレに向かったのだがトイレは女子トイレ、男子トイレと分かれており男子トイレには鍵がかかっていた。
「クソッ」
燐は仕方なく女子トイレに入って出てきた遠山を引きずりこもうと思い立ち、トイレに入ったその時に愛華の死体を発見したのだ。
「特に変わったことは、無かったよ」
「この人とすれ違わなかった?」
長四郎は遠山を指差して、燐に質問する。
「いいや、すれ違わなかったわよ。てか、あんたのせいで私が犯人扱いされたんだから、謝ってよね!!」
燐は遠山に謝罪を求めるのだが、遠山は顔を引きつらせるだけで何も答えない。
「ラモちゃん、どういう事?」説明を求める長四郎。
「私、あの刑事から聞いたんだもん。こいつが自分の事をつけ狙っているストーカーだとか、うんぬんかんぬんってね」
「成程。でも、その事と被害者とは繋がらないよね?」
「私もそれは思った」
燐の返答を聞き、「どういう事か。説明して貰いましょうか?」と言う顔で遠山を見る長四郎。
すると、三田署の下っ端刑事が一川警部に耳打ちで何かを報告した。
「長さん、その疑問が分かったかもしれんよ」
そう一川警部は告げるのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます