温度

堀田朋希

温度

ガラス戸に電柱が刺さっている夢を見てから朝の温度が怖い


駅前でいきなり話しかけてきた人の冊子と黒い指輪と


非常口ピクトグラムと差し出してくる指飲みすぎている紅茶


僕に話すことがあるはずなのにこの人、ふわふわホットケーキ頼むの


マンションの凹んだ灰色の壁は雨降る前に塗り直された


もう羊数え飽きてて掴めない遠くひょろひょろ浮かぶ眠たさ


あなたとの会話はいつもカーテンの向こうに見える飛行機みたい


白というほどには白くないワイン 色眼鏡であなたを見てしまう


のっそりと立ち上がろうとしていたら夕焼けが焼き尽くすクレーン


あなたは神の愛という語をいつも言う 僕がきゅうりを食べるとき言う


真っ白いあなたの部屋の壁につく手垢のような約束をした



ぷわわっとサイダー いつか路地裏に捨てたストロー立つアルミ缶


冬日和 象のお腹に手で触れて温かいって感じたかった


注文の 次はあなたと ややズレていくタイミング 星を食べたい


夕暮れの影の角度がきれいだね あなたの胸のあたりを踏んで


ぎんがみにつつまれているようなここちでみる少女革命ウテナ


信仰とチャーハン あなたがくれたから捨てられなかったものたちがある


でかすぎる宇宙の動画を見たあとでその広さより好きだと思う


手を握る強さを覚えられたから歩く歩道も今は歩ける

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温度 堀田朋希 @oisii_HOT_TEA

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