第4話 私が行く世界

 すると、女神が反射的に離れ、慌てて寝室の方から出た。少しして、女神の声が聞こえてきた。


「もしもし……ごめんなさい。ちょっとお茶を沸かしてて……」


 誰かと電話をしているらしい。私はこっそり声のする方に行ってみる事にした。


 リビングに女神はいた。小さな棚の上に、昭和のドラマでしか見た事ないような黒電話で、誰かと話していた。


「えぇ、名前は……はい、そうです……えぇ、転生するのでしたらやはり……はい、その方が彼女にとって良い事だと……」


 肝心の知りたい部分が聞こえなかったが、たぶん私の事を話していると思う。


 女神は深刻そうな顔をして、しばらく話した後、電話を切った。


 ふぅと溜め息をつくと、私と目が合った。瞳が揺れ動いていた。


「あぁ、えっと、その……あなたの転生先が決まったわ」


 なるほど。私のことを話をしていたんだ。


「えっと……どこですか?」


 私がそう聞くと、女神は「とりあえず、席に座ってから話しましょう」とすぐには答えずに、テーブルの方に向かった。


 私も女神と向かい合う形で席に座ると、彼女は少し深呼吸してから、口を開いた。


「その世界は獣人だけしかいない世界で、彼らは……」


 彼女の話をまとめると、その世界は動物が人間と同じように歩いたり喋ったりする世界で、程よい文と自然が共存している。


 ちなみに、この世界の獣人達はみんな優しいらしい。本当かどうかは分からないけど。


 でも、以外だったな。普通、こういうのは魔法とファンタジーがふんだんに詰め込まれた世界だと思っていたが、そういう世界もあるんだ。


 そう思った事を言うと、女神はウーンと唸った。


「まぁ、人それぞれ向いている世界があるから……あなたの場合は、そういう世界の方が絶対に良いと思うの……はい、これ」


 女神は私に一枚の紙を貰った。そこには『○◎●マルマルマル行き』と記号みたいな行き先が書かれていた。


「それは異世界電車に乗るためのチケットよ」


 女神はそう言って立ち上がった。


「駅を案内してあげるわ。ついてきて」


 私は彼女に言われた通りにした。

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