第19話 私の新しい家

 翌朝、私の家が建っていた。


 こんなに早く自分の家が建つなんて思ってもみなかった。


 パロルの家から少し離れた場所に、私の家はあった。


 アンティークな見た目だった。長寿の木材で作られたかのような味のある木材の屋根や壁。


 屋根の上には小さな箱みたいな出っ張りがあり、その正面には時計がはめられていた。


「どうだい? 気に入ってくれたかい?」


 様子を見に来たラングがそう尋ねたので、私は思った事を言った。


「とっても素敵です! 自分の理想そのものです」

「フフフ、そう。気に入ってくれて嬉しいわ」


 ラングはパロルを呼んだ。彼女は飛ぶようにやってきて、「何?」と聞いていた。


「モローを家の中に案内してちょうだい」


 ラングの頼みに、パロルは二つ返事でオーケーした。


「行きましょう!」


 彼女は私の手を引いて家の中に入らせてくれた。


 凄い事に家具が付いていた。19世紀の貴族が使っていそうな机やテーブル。グラスなどが入った棚もあった。


 二階は私の自室で、本棚は空っぽだが、二つも付いていた。ベッドはフカフカで、試しに横になったら、危うく眠りそうになってしまった。


「これって、家賃とかかかるの?」


 そう尋ねるが、パロルは「家賃って何?」と首を傾げていた。


 あ、そういえば、この世界にはお金が無かったんだ。


「えっと、あの、その……今度お礼に町の人達に料理でも振る舞おうかな!」


 慌てて訂正すると、パロルは「いいね! 絶対に喜ぶよ!」と笑顔を見せた。


「パロル〜! ちょっと来てちょうだい!」


 ラングが彼女を呼ぶ声がした。パロルは元気に返事すると、「ちょっと待ってて」と慌てた様子で部屋から出た。

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