第2話 エピソード未来 2
糞AI『朝から元気いっぱいのキヨミに朗報だぞお』
こいつの言う朗報は大抵ゴミみたいな内容だ。
キヨミ「で、今日はどんなゴミをボクに差し出すつもりだ?」
糞AI『まあまあ…たまにはおいらを信じてワックワックしてちょーだい~!!』
ブブブ…
通信端末が震えた。
ディスプレイに件名だけ表示されている。
【会員様へのお知らせ】
キヨミ「おまえ…。勝手に変なサイトへ登録したんだろ」
糞AI『!!?…おっと何の事ですかなあ…』
ドオオオオオオン…
糞AI『っと…爆発音か。村の方向で燃料庫があるポイントだ』
ここも安全では無くなったと言う事だ。
廃村から少し離れた森にある小屋をアジトにしていたが、造人間が侵攻して来たらしい。
糞AI『キヨミ~、どうすんだ?奴らを始末するなら案件化しちまうぞお』
駆除するか。
だが銃の無駄撃ちはしたくない。
キヨミ「武器無しでもいけるなら案件化しておいてくれ」
糞AI『奴らが何かを爆撃したなら、当然【武器は有る】って事だねえ…フヒヒ』
キヨミ「〇して奪えば良いって事か」
糞AI『若さとは時に残虐~そして美しい~』
こいつはたまに残虐だの鬼畜だの無情だのと言う。
意味はいまいちわからんが恐らく誉め言葉だろう。
糞AI『案件化…完了うう!!思いっきり暴れちゃってよおっ!』
キヨミ「ふっ」
仕事。
私は小屋にあった鉄の棒を持って、爆撃音がした方向へ向かった。
…
…
…
弾丸を使うまでも無い。
組み込まれたAIの質か、製造時の質が悪いのか全く統制の取れていない人形だ。
ガッ!
鉄の棒をエネミーに叩き込む。
絶命を確認し次々始末していく。
糞AI『う~ん…!!圧巻ん…!』
血しぶきは目にさえかからなければ良い、下手に避けようとすると体制を崩し危険だ。
何体かは銃を所持していたが構える前にぶち〇した。
そのまま銃を奪いこの部隊のリーダーがいると思われる拠点へ乗り込む。
造人間「!!?」
パァンッ……!!
扉を開けた瞬間鉄の棒を手放し、即座に偉そうな奴の頭と胴体に弾を撃ち込んだ。
空気が凍った瞬間に鉄の棒を拾い周りの奴の頭を殴打し速やかに処理。
油断はしない。
撃つ。
更に弾を撃ち込む。
念入りに弾を撃ち込む。
対象、生命反応無し。
エネミーを殲滅。
…
…
…
糞AI『良いねえ~良いねえ~~。特に最後の殲滅確認のシーンはいつ見てもたまらない…っ!』
思えば最後は鉄の棒を拾わず銃で駆除すべきだった気もするが、感触が癖になったらしいな。私は。
キヨミ「ゲームの管理者に武器現地調達数も征伐の加点対象にしろと伝えておけ」
糞AI『おっほ!血まみれのキヨミの眼光…美しいねえ…ぺロペロしたいなあ…』
糞AI『優良会員様はポイント倍・増っ!活躍すればちゃーんと評価されるからさあ…うふ』
キヨミ「何が活躍だ。調子の良い事言って危険な案件ばかりぶち込みやがって」
とは言え、征伐を仕事、案件に出来るのは一部の人間だけだ。
どっかの機関が運営している造人間やAI侵略者を征伐するサイトに登録し、専用のリストバンドにナビゲーションAIをダウンロードすると仮登録が出来る。
そのAIを起動した状態で、一定の成果を上げると報酬が発生する本登録になるって言うシステムだ。
特別な才能は必要無い。一定の成果を上げるまでに生きていれば良いだけだ。
糞AI『さーてどうするんだいキヨミ~。朝から仕事したしここからは一緒に裸の付き合いで親睦深めよーか…はあはあ』
キヨミ「おまえを空いた肉体に移し、痛覚を与えた上で凄惨な目に合わせる事もボクは視野に入れてる」
糞AI『ひいっ!!』
一度森のアジトに戻り汲んだ水で血を落とした。
ラジオを聴きながら今朝の戦果を確認する。
意外とポイントは稼げた。午後は適当に過ごしても良いだろう。
キヨミ「愛用の銃を使わなくて済んだのは良かったが、奴らほんとゴミしか持っていなかったな」
糞AI『報酬も十分あるし都市部へ行こうよおキヨミ。敵から奪わなくても買えばいーじゃん~』
キヨミ「つまらん。エネミーをぶち〇して色々得るのが楽しいんだ」
この生活も馴れて来た。
数年前は体が小さくて扱えなかった銃や戦略が、今では存分に活かせる。
正直こんなサイトに登録してこんな下衆なAIと組まなくても十分に生きる事は出来ると思うが、スマートに戦闘をこなしたい欲もある。
何より、AI征伐にAIを駆使して戦うってのが最高に狂ってて面白い。
キヨミ「都市部に行ってみるか、久しぶりに」
糞AI『下着、買い替えた方が良いぞお…このおいらが見立ててあ・げ・る』
キヨミ「下着を買い替えてかわいい服を着て、そのまま夜の街に消えてやるさ」
糞AI『………』
キヨミ「冗談だ」
糞AI『………』
電池切れか。
たまに冗談を言ったらこれだ。
まあ都市部も安全では無いけどな。どんな服を着ていても銃は持っておく必要がある。
あと間違って人類をやってしまっても面倒だ。
相手がエネミーかどうかは同じAIならすぐにわかる。
こいつの充電はこまめにしておかなければ。
そんな事を考えながらいつの間にか私は寝ていた。
今日も悪趣味な夢を見るのだろうか。
続く
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