第10話 シフォサのポスター

昼休み


私達は印刷部に居た。


真中「ああ、始めましてだね。俺は二年の真中。他の部員は自分のクラスで飯食ってるから」


美奈「本条美奈です」


ゆき「借名ゆきです」


ゆきがそう言うと真中さんが『お!カラフルな新入生って君かぁ!』と感嘆の声を上げた。


すでに有名人って流石と言うか面白過ぎるよね笑


実里「日比谷実里です」


真中「電話してくれた日比谷さんだね」


結「栗本です」


一通り自己紹介が終わると早速ポスターの話。


殆ど実里ちゃんに任せてたからやり取りはお願いってなっちゃう。


真中「なるほどね、学内掲示のポスターならこのクオリティでどうだろうか?」


実里「とりあえず貼りだしてみて好評なら、改めてレイアウト拘ろうか」


実里ちゃんがみんなを見渡してる。


正直私達は細かい所まで考えて無かったのでとりあえず頷く。


真中「でもこのポスター面白いね。皆の顔と名前と部活名がバーンって書いてあって、部活動の説明はwebでって笑」


ゆき「時代の先取りってやつです~」


と最もらしく言っているが、単にゆきが目立ちたいって言う主張を貫き通した結果こうなったんだよね…笑


結「ふふふ…」


実里「そう言えばお代の方は…」


真中「全然、気にしなくて良いよ!文化祭以外だと殆どカラー刷りってやらないから、今回は久々の機械運転も兼ねて無料って事で!」


実里「お昼休みなのにありがとうございました。助かります」


皆でお礼を言って印刷部を出た。


ゆき「いや~!久しぶりに普通の人に会った気がするねえ」


美奈「誰が普通じゃないって~?このこの~」


結「美奈ちゃん…墓穴掘ってるから…」


実里「ははは!ほんとに面白いな~!」


思ったよりトントン拍子に話が進んでご機嫌の私達は、その足でカフェテリアへ来た。


美奈「ねー甘いもの食べたい~」


結「もー美奈ちゃん駄々こねないの~」


ゆき「食べても良いけど後半苦しくなるよ~笑」


バイトもしなきゃ…。今日は我慢だね…。


実里「ふっふっふっ…」


実里「ハンバーグ定食、チーズケーキ付きで!」


美奈「!!!」


ゆき「魅せてくれるねえ…アルバイターの財力を…」


結「では…お刺身定食とチョコレートパフェ!」


美奈「!!!」


ゆき「あれは…デザートチケットコード…!!!」


何円以上か頼んだ時に学園のアプリ内のバーコードを提示すると、抽選でデザートチケット等が当たるんだよね。

まさか結ちゃん当選してたとは……いいなあ。


ゆき「そしてこのカリスマ学生ゆきは………かけそばとライス!!」


美奈「私はかけうどんだあ!!」


結「ほーら。私の分けてあげるから座席行こう笑」


実里「みんなで分けて食べよ笑」


ゆき「ありがと…!!人の情けが身に染みるなあ…」


美奈「帰ったらちゃんとお金の計算しなきゃだね…」


ぎゃーぎゃー話しながら昼休みは終わった。皆で食べるご飯は最高だよね!


昼休み明けの授業が始まった。だけど…。


結「美奈…!美奈…!」


美奈「う~ん…」


結が後ろから私が眠らない様につついて来る。


美奈「もう…限界…」




シュッ…!!


風邪を切る音。


この気配に気が付かないハズが無い。


私を誰だと思っている…エリート天使ミーナ様だぞお…。


美奈「!!!」


ぱしーーーん!!


何かがこめかみにクリーンヒットした。


美奈「んっ……!?わわわ……」


ガタガタ!!!どしゃん!!


遥先生「わあ!びっくり!本条さんなの?」


美奈「あ、あの…すいませんでした」


遥先生「んもう…しっかり座ってください」


右斜め後ろにいるゆきと目があったけどにやにやしている…。久しぶりにやってくれたねこの子は。


休憩時間、私はゆきに詰め寄った。


美奈「もー!普通の起こし方ってあるでしょ~!!」


ゆき「いやさ、天界時代と違ってちょっと距離があったから…。つい遠距離砲をだね…笑」


ゆきの机の上には改造済みのかつてボールペンだった何かが置いてある。


これはもう摘発待った無し!


美奈「ん…点数表?」


ゆき「こめかみは80点だよ☆合計215点だから景品宜しくね☆」


この子は…やはりぶっ飛んでいるわ…。


結「もー美奈ちゃん起きなさすぎ~」


ゆき「結は甘い!」


結「えー!どういう事??」


ゆき「私が隣の席だった頃は消しゴム三個分はちぎってぶつけてたからね」


そう言えば天界ではそんな毎日だった笑


あの頃はいつもゆきとは座席は隣だったけど、シフォン学園の座席は基本的にランダムらしい。


実里「全く自慢できないヤバエピソードじゃん笑」


実里もやってきて私とゆきどっちがやばいかって話になったんだけど、結局決着はつかなかった笑


そして放課後


いつものシフォサのお時間。


実里「ポスター明日には出来るって」


ゆき「やったね!楽しみ」


結「いざ貼りだすってなると緊張するかも笑」


美奈「人気投票みたいなの始まっちゃうかもね笑」


ゆき・結・実里「!!!」


空気が変わった…。


ゆき「みんな…ゴメンね。ゆきだけ人気出てもこのグループは不滅だよ」


結「写真より可愛いね。って言われた事あります」


実里「私みたいにちょっとサバサバしてるのってモテちゃうから…」


美奈「えと…えと…。ケーキ食べるの早いよ私!」


あ…滑った…。ナチュラルに滑ってしまった…。


ゆき「はい美奈の負けー」


結「負けー笑」


実里「あたた…」


く…くそお…。何か悔しい笑


今日は結局談話室でぎゃーぎゃー騒いで部活動は解散になった。


実里ちゃんが談話室の受付の人に謝ってたんだけど、何かぎゃーぎゃーしてても問題無いんだって。


よく見るとボードゲームしてたり、漫才の練習してたり、私たちみたいにグループで盛り上がってたりしてる。


その内この中の人とも交流できるかな?楽しみだね。


続く

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