第8話 シフォン学園
4月4日 早朝
何かが落ちる音がして目が覚めた。
美奈「う~ん…」
ホントに朝は苦手、どれだけ寝たって朝起きるってめちゃ辛いよね…。
あれ?ダイニングの電気が点いてる…ゆきはもう起きてんのかな。
美奈「ゆき~?」
布団から身を乗り出して見てみると、ゆきは机に突っ伏して寝ている。
教科書っぽいのが広がってるから、勉強しながら寝ちゃったんだね…きっと。
ん~??
良く見ると何やら色々と不適切な飲み物が置いてある気が…。
うーん。ファンタジー物の凄い所は、どんなご都合展開も一筆でって所なんだけど…。
美奈「これ以上詳細を書くのはお勧めしませんっ」
これが流行のメタってやつかな?
製作者に一喝してコンプライアンスを守った私は偉い!
ゆき「ふぁ~~あ。何朝から独り言言ってんだか…」
美奈「ゆきおはよ。勉強してたの?」
ゆき「ふっふっふっ、これでゆきも社交界の伝説よ!!」
よく見ると社交界のマナーやダンスの基礎知識、メイクの本ばっかりだ…
この子、まだキラキラお嬢様何とか部を諦めていなかったのか…。
美奈「てかこの本とか雑誌とかどーしたの?結構高そうじゃんー」
ゆき「世の中には図書室と言うものがあってねえ…ニヤリ笑」
授業中おねんねばかりの最弱天使の私にはその発想は無かった…。
ゆき「それよりお腹空いた~!何か食べるもの無い~??」
美奈「チョコケーキがございましてよ、ゆきお嬢様?」
ゆき「米!納豆!味噌汁!目玉焼き!プリーズ!!」
美奈「諦めろ、ついでにお嬢様伝説も諦めてくれ」
最近食生活適当かも、ちょっとは気を遣わないといけないよね。
ん?黒鵜さんからメッセージが来てる。
『1年C組から強い能力反応有、警戒を頼む』
私達はD組だからC組は隣だ。
美奈「ねえ…ゆき…」
ゆき「ああ、ゆきの端末にもそれ来てるよ」
ゆき「おめでとうございます!お金が当たりましたって!やつ」
美奈「返信しちゃ駄目だからね」
冗談を挟みながらもゆきは優等生の顔になっている。
ゆき「まあ、美奈の出番だわこれは」
すでに能力を悪用しているならゆきや黒鵜さんが一気に能力を開放すれば良いのだろうけど、
未然に防ぐとなると二人から溢れる能力反応が相手を刺激する事になる。(黒鵜さんの力は見た事ないけどね)
そこでナチュラルに能力が低い私の出番って訳。
ゆき「何故かシフォン学園に天使が多めなのも気になるけど、別に事件を起こさなければ何の問題も無い」
人との暮らしの勉強の為なのか、それとも地球での拠点として使っているのか、はたまた偶然なのか。
ゆきが考察を一通り展開し終わると、丁度家を出る時間になっていた。
一度スイッチが入っちゃうとゆきは難しい話を延々とする、そこのギャップが面白い。
…
…
…
教室に入る前にちょっとC組の前を通ってみたけど、特に違和感は感じなかった、ゆきも同じらしく首を横に振っていた。
すでに相手に警戒が気が付かれてしまったのかもしれない。
だけどそれが抑止になるならそれも正解かな。
実里「おはよーお二人さん~」
美奈・ゆき「おはよー」
美奈「あれー結ちゃんまだ来てないんだね。いつも早いのに」
ガララ…
結「あ、みんなおはよー」
美奈・ゆき・実里「おはよ~!」
結ちゃんの手には大量のプリント用紙、そして後ろには遥先生。
遥先生「栗本さんありがとう、助かりました」
先生はそう言うとまたどこかに行った。
ゆき「うはー!早く登校したら先生の手伝いやらされたパターンやあれ…」
実里「結、おはよう。そしてお疲れ」
結「いきなり体力使っちゃった笑」
美奈「早起きは三文の得とかけて、結ちゃんと解く」
ゆき「その心は?」
美奈「小テストの問題を三問見れます」
おお~~!!
うまい!!
結ちゃんも実里ちゃんも関心している。ゆきはどこからか持ってきた扇子を開いてご満悦のご様子。
それを聞きつけたクラスの面々が一気に教卓へ押し寄せたけど、プリントには解答も載っていたのでテストと言うより練習ドリルだった。
とは言え授業の内容を先に知っていると、プチ優越感を感じてしまうよね笑
…
…
…
昼休み
カフェテリアが微妙に埋まっていたから、軽食を買って談話室に集合した。
良し、行こうかってノリで集まれるのって良いよね。
ゆき「そう言えばシフォサの活動時間とかどうするん?」
実里「平日の放課後二時間位取ろうかなって思うんだけど皆どうかな」
結「私はもっと長くても良いけどね」
ゆき「結局学園閉まるまで居座るパターンだわこれ笑」
美奈「実里ちゃんは大丈夫?バイトある時は無理しないで良いからさ」
実里「余裕笑、て言うか一回帰ってバイト行くより全然いいよ」
話し合いの結果活動時間は放課後全部、とざっくり決まった。
昼休みに議題を決めて、放課後ガチ議論の流れ。
あれ?なんか真面目に学園生活しちゃってる…。
天使の事を忘れる程に…。
続く
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