第7話 ケーキはお菓子に入りますか?

4月3日 放課後


私達は新設部活【学園交流部(シフォンサークル)】の活動内容について、談話室で激論を交わしていた。

部長こと日比谷実里ちゃんは部活動新設書類を教授会へ提出しに行ってる。


ゆき「やっぱりお菓子と言えばチョコレートケーキだってば!!」


結「私はドーナッツだと思います…。ケーキはお菓子の域を超えてます。」


ゆき「新しすぎっ!!価値観っ」


美奈「パンケーキじゃない?お菓子と言えば」


ゆき「やっぱりケーキだよねえ」


結「全然ちがうもん笑パンケーキとチョコレートケーキは」


結ちゃんがふくれっ面でかわいく反対する。


ゆき「うーん…言われてみると…」


美奈「折れてしまうんかい!!」


実里「戻ったよーってあなた達なにやってんの…まったく」


美奈「実里ちゃんおかえりー!どうだった?」


実里「それが…」


話を聞いてみると新設部活の場合は初回5人以上の部員、一回生だけで設立する場合は上級生の推薦も必要との事。

何だか面倒くさくて嫌になっちゃうね。


ゆき「うーん…5人はすぐ集まりそうだけど上級生ってのが厄介だね」


結「その辺の上級生に頼めば何とかなりそうだけど…やっぱり気が引けるよね…」


美奈「おっ」


いるじゃん笑…うってつけの人物が。


ゆきが心を読んで『なーる』って顔してる。


美奈「みんな心当たりあるからちょっと待ってて」


実里ちゃんと結ちゃんがきょとんとしてる中、私は黒鵜さんに電話をかけた。





黒鵜「本条か、どうした」


美奈「黒鵜さん…頼みがあるんだけど」


黒鵜さんは学内にまだ残っていたみたいですぐに談話室に来てくれた。

フットワークが軽いのは高評価かな笑


実里「美奈…この人は?」


美奈「あー何だろ、遠い親戚で一応先輩の黒鵜翔さん」


なんじゃそりゃって顔をしながらも黒鵜さんはみんなにちゃんと挨拶してくれた。


黒鵜「ほとんど関係ない血縁の黒鵜です、何だかわからんけど宜しく」


結「私は栗本結です」


実里「日比谷実里です」


ゆき「学園のアイドルの…」


黒鵜「栗本さん、日比谷さん宜しく。この二人の相手は大変だろうけど仲良くしてやってくれ」


実里・結「こちらこそよろしくお願いします~」


ゆき「わ…た…し…があ!!!」


放課後なのにテンション異常なゆきは放置して、部活設立の話を黒鵜さんにした。

最初はあまり乗り気では無かった黒鵜さんだけど、私たちと話している内に協力してくれる事になったんだ。


黒鵜「話はわかったけど、この活動内容は通常の部活と違って人の思惑が大きく絡む内容だ」


黒鵜さんが真剣な顔で話し始めて、ゆきも私達も思わず静かになる。


黒鵜「この学園は部活の数も多く、それが全て健全とは言えないのも現実だからな。俺が協力するのは良いが、交流したり関係を深めるのであれば決定前に俺を通すのが条件だ」


実里「むしろその位しっかりと見てもらえるのであれば私達も安心できます。ぜひお願いしたいです」


実里が私達を見ながら言った。

みんな頷いている。


黒鵜「厳しい事を言ったが俺もワイワイやるのは好きだからな。楽しい部活にしてくれよ笑」


黒鵜さんの締めの一言で緊張感が取れたのかみんなまたぎゃーぎゃー話し出した。


実里ちゃんは書類を完成させると教授会へ再提出。そして楽しい雰囲気は談話室が閉まる夜まで続いた。


実里「よーし今日は部活進展したね!みんな解散しよ」


結「こんなに充実した放課後とか初めてかも笑」


美奈「黒鵜さんも突然呼んだのにありがとう。ちょっとは見直したかも」


黒鵜「そもそも俺の点数低いんか…笑。ちょっと補修委員があるからもう行くよ」


軽い自己紹介の時に聞いたんだけど、黒鵜さんは【補修委員】に入っているんだって。補習じゃなくて補修。

学園内の破損や修繕に関する委員だって。


ゆき「流石は天界の委員長と呼ばれるだけの事はございますわ、ねぇクロウさん?」


黒鵜「これはこれは…天界きっての優等生のユキさんにその名を知って頂けているとは…笑」


天界トークをしながら黒鵜さんは談話室を出て行った。

初日から散々つっけんどんに対応してたのに、案外忍耐あるんだね黒鵜さんって。


結「私ちょっと先に出るね、両親が帰る前にお風呂とか入っておきたいから」


美奈「うん!結ちゃんまた明日ね」


ゆき「風邪、ひくなよ」


実里「彼氏面が甚だしいな笑。私はこれからバイトあるから二人とは逆かな」


美奈「実里ちゃんアルバイトしてるんだ!?」


実里「うん、3時間だけだけどレストランの閉店作業のバイト。親の知り合いの店で軽ーくね」


ゆき「そーだ…すっかり忘れてたけどゆき達も過酷労働して稼がないと駄目だねえ」


美奈「達って…私を過酷労働に巻き込むつもりか…」


ゆきはワーカーホリックタイプでホントに体を崩すまで働いてしまう、私が見ていないと結構危険な感じになっちゃうんだよね…。


実里「ちょっと!学生は勉強と学園生活がメイン何だから、バイト漬けで青春終わりましたとか勘弁してよね笑」


ゆき「えーー。連休明けにブランド物がっつり装備して登場したかったのに…」


この子は…本気で悔しがってるから本当にぶっ飛んでる…。

でも優等生なのは伊達じゃ無くて、仕事勉強プライベートをきっちり両立させる所が凄いところなんだよね。


実里「ははは!!ほんとに面白いねゆきは!じゃあ私も行くねっお疲れー」


美奈・ゆき「お疲れー!」


美奈「よっし、私達も帰ろ~」


ゆき「買い食い♪買い食い♪ヘイへヘイ~」


美奈「おっけー!んじゃチョコレートケーキでも買いに行きますか」


ゆき「ケーキはお菓子じゃなくてデザートかな?」


美奈「どっちでも良いわ!もう甘いものってくくりで良いじゃん面倒くさい」


ゆき「美奈は風情が無いねえ…」


今日もぎゃーぎゃー騒ぎながら帰宅した

何なら毎日ぎゃーぎゃーしている私達は天界凸凹コンビだね。


ゆき「なーに良い感じでまとめてんだか笑」


続く

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