第6話 部活動、作って入るか、入って作るか

4月3日 朝


美奈「おはよ~結」


ゆき「結、早っ!いつも何時に学園来てるの?」


結「うーん、大体始業の40分位前かな…家族が家出るの早いから私も」


美奈・ゆき「いやー真似できんな…」


二人で謎のハモリを見せた所で実里も登校してきた。


実里「おはよ、朝から三人でコントの打ち合わせかな笑」


美奈・ゆき・結「違うわっ!!」


これで全員?集合、入学して早々仲良くなった四人。

友達が出来る時の不思議な感覚って気持ち良いような、むずむずするよね。


実里「ねー、今日の昼休みか放課後部活動の話しようよ」


黒鵜さんによると(存在忘れてたけど)

シフォン学園は学力こそ普通なのだが学内行事や課外活動に強い学園みたい。

部活動の種類も多くバーコード研究会やフィギュア塗装部、ボールペンのバネ部なんて言う変わった部もある。


ゆき「折角だから面白い事やりたいよねえ…ニヤニヤ」


美奈「却下!!後ニヤニヤを口に出さない!」


ゆき「まだ何も言ってない~!」


結「思うんだけど、私達ってどこかに所属するより立ち上げた方が良いと思う…」


実里「よし!そしたら昼と放課後両方で会議しよ!」


部長(仮)の一声で今日の方針が決まった

実里ちゃんも満更でも無い顔をしていた、このまま部長やってもらおうかな笑


昼休み カフェテリア・シフォン


新学期初日と比べ今日は空いてる。

昨日はゆきが、

『こうなったら能力を使って場所を取るのだ!!』と問題発言をし始めたので、私が普通に先客の方にニッコリお願いして席を変わってもらった。


ゆき「ある意味それも能力じゃん?問題行動は禁止だぞっ!」


美奈「だから思考を読むなっての!」


実里ちゃんと結ちゃんがきょとんとして私たちを見ている。

怪奇行動(能力談義)を全く隠して無い分、逆にコントだと思われているらしい。


実里「二人共ー!ふざけてないで早く席に着きなー」


結「ふふふ…」


私はサンドイッチ定食、ゆきは牛カルビ丼、実里ちゃんは日替わり魚定食、結ちゃんは回鍋肉定食。


ゆき「てか美奈のやつ何それ?サンドイッチ定食っ!?」


実里「ナチュラルに凄い…」


結「サンドイッチにお味噌汁、漬物、ポテトサラダ…」


美奈「シフォン学園神秘の一つ、サンドイッチとお味噌汁のコラボだよー!」


ノリで頼んでみたけど意外と合うね、これ笑

また食べよ。


実里「よーし、そしたらどうしようか。取り敢えず部活動のパンフレットとか持って来てるけど」


ゆき「みんな!キラキラお嬢様パーリナイ部を探してちょーだい!ゆきはこの学園のトップお嬢様になる為に産まれて来たの!」


美奈「却下。大体そんな部なんてある訳ないでしょうに。そして作るのも却下」


ゆき「美奈…すーぐそうやってゆきの野望を阻止しようとするのだから。でもゆき負けない!!お嬢様だもの!」


結「あのう…」


結「あるみたいです…キラキラpartyプリンセス部が…一応…笑」


ゆき「この学園…あなどれんな…」


ゆきのギャグの先を行くギャグセンスにどうやら敗北したみたい、そこからゆきは紅茶を飲みながら真面目にトークしている。


実里「これだけ部活が多いなら色々な部活と絡めると楽しそうだよね」


何気ない部長の一言が、この先の学園生活を一変させるなんて

この時は誰も想像していなかったんだよね。


昼休みも終わりに近づいて新設する部活の名前が決まった。


【学園交流部(シフォンサークル)】


ありそうで無い部活。

多くの部活は部内で楽しむ為のグループで、それらを取りまとめたり交流を目的とした部活は無かった。


一応生徒会や学園が義務設置している様なお飾りのコミュニケーションツールはあるのだけど、学生主体の交流部は存在していない。


ゆき「でも真面目すぎやしない?」


結「それもまた良さと言う事で」


実里「活動内容は放課後考えるとして、設立書類は私が作っとくよ」


美奈「実里部長ありがとう~!」


ゆき「部長~」


結「部長ー」


実里「持ち上げてもダーメ。書類の仮部長欄には私の名前で書くけど、今度ちゃんと決めよ」


美奈「そういえば実里ちゃんはこの部活で良いの?友達いるって言ってたけどそっちの子と一緒の部活じゃ無くてさ」


実里「あー、友達みんなバリバリの体育会系笑、大会とか目指してて住む世界が違うんよ。中等部までは結構遊んでたけど今は忙しいみたい」


結「そうなんだ…それこそシフォンサークルで交流できると良いね」


ゆき「お!結良いこと言った」


美奈「それ頑張って叶えようって考えると沢山やる気出てくる~!!」


実里「皆…ありがとうね」


一旦解散して各々の時間を過ごし、教室に戻ると午後の授業が始まった。


つい最近まで天界に居たなんて思えない位の人間界での日常。

この学園にも私、ゆき、黒鵜さん以外の天使がいるってのは知ってるけど、全く実感湧かないなあ。


もし居たとしてもとても事件が起きそうな雰囲気はこの学園には無い。

て、油断してたらダメなんだけどね、私の悪い癖だよね。


ブブブ…


ゆきからメッセージだ。授業中だって言うのにどうしたんだろ。


『ぼーっとしてるとまた机から落っこちるぞ笑』


天界時代と違ってゆきとは席が離れているからね。

メッセージで気付けしてくれるなんて優しいところあるじゃん。


『平気』


とだけ返信して授業に集中した。

人間と殆ど変わらない私達だけど、頑張って併せに行かないと勉強も文化もすぐに追いつけなくなってしまうんだよね。


眠い目をこすりながらやっと今日の授業が終わった。

放課後はまた部活の事色々決めるんだよね、楽しみだなあ…


続く

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