第9話 直美の助手は3名存在

医療センター内のナオミラボは約30畳有る。

佐和鳶一縷とは、元の鞘に戻った筈だったが、既に別れが来ていた。

 長男の受験に本気のロマンスはご法度だと、一縷自身が申し出た。彼は直美親子を包括的に視野に入れる事が出来、これも直美を愛していたからこそで、並みの男ならこうは行かない。だろう・・・。

 

「あー、まいった!」量子コンピューターの前で、咥えタバコのナオミが頭を抱え悩んでいた。透明ガラスのアシュトレーは吸殻で満タンだった。

 四畳半の大きさの量子コンピューターを目の前にして悩む姿は絵になっていた。

ハードウェアが円柱のガラスケースに入っていた。

 出初めのパーソナルコンピューターがこんな程度の大きさからやがては、所謂パソコン並みの大きさになるだろう・・・。

 スーパーコンピューター富岳の処理能力を上回る。

理由は富岳がCPUのメモリを足しただけの古典コンピューターなだけの話しだからだ。

「あれ?ナオミ、あんたまたコクられたの? オイオイ、おまえはチェーンスモーカーかよっ!米原にチクるぞぉお~・・・。」

 輸血用の血液製剤を拝借の用事で入室したキリコが呆れ果てて、呆然と立ち尽くしていた。

「イヤイヤ、いやいやあー、ダメン 彼に言っちゃあ! もうすぐオミクロンのパンデミックが起きるのよ。」ハアーッと頬杖をつき、そこはかとなく米原務への想いは増殖して行く・・・。

 感染が著しい関東各都道府県の自治体に蔓延防止措置を発出されていて、県立医科大の医療センターに政府から率先垂範を求められていた。

 白羽の矢が立ったのは、上善寺直美講師(生物学博士)、篠山静夫教授(科学博士)、大原輝(おおはらあきら)血液学助手達が任命された。日本学術会議のメンバーになっていた。

 但し政府の従属機関として・・・。

少数精鋭の4人、ワンチームだ。

 ナオミの助手は3人存在する。

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