第11話


 あー!! やばいやばいやばいやばい!!

 なにこれ!? 深月が可愛く見えて仕方ないんだけど!! っていうか、今離れないって言い切った!?

 顔が赤くなるのを感じ、思わず俯くと、深月の白く透き通った太ももが目に入る。心臓が更に跳ね上がった。


 あっ、だめかも。

 

 ⋯⋯いやいや、落ち着け。深月が綺麗で可愛いのは当たり前のことで、そんな深月にどきどきするのは別に変なことなんかじゃないよね? こんな美人に抱きしめられたら誰だってどきど――


「朱莉、ぎゅってして?」


 ぐふっ⋯⋯!! そうか、人はこうして死ぬのか⋯⋯。言い訳すら許されない――言い訳じゃないけど!!


「みっ、深月? いきなりどうしたの?」

「ねぇ朱莉。ぎゅってしてよ」

「お願いだから、話を聞いて!?」

「⋯⋯してくれないの?」


 ぐうぅ⋯⋯。その上目遣いはずるいでしょ⋯⋯。

 根負けしたわたしは、おずおずと深月の背中に腕を回す。希望が叶った深月は途端にご機嫌だ。


「朱莉優しい。大好きだよ」

「あっ、ありがとう⋯⋯」

「朱莉は?」

「へ?」

「朱莉は私のこと、どう思ってるの?」

「⋯⋯言わなきゃだめ?」この状況で!?

「言ってくれないの?」

 

 だからその上目遣いぃ⋯⋯。わたしが根負けする未来しか見えない。もう、早々に降参する。


「好⋯⋯き、です」

 ぐはぁ! なにこれ!? めちゃくちゃ恥ずかしいんだけど!!

 えっ? ちょ、やめ、無言で頬を寄せないで!?

 スリスリするなぁ!!

 そろそろ本当に心臓が爆発するんだけど!?




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