第6話


 深月の誕生日当日、わたしはひとり高級マンションの前に立ち尽くしていた。


 えっ? 場所間違えた?

 慌てて地図アプリを確認するも、どうやらここで間違いはなさそうだ。

 確かに、ひとり暮らしって言ってたはずなんだけど⋯⋯、ここで?

 

 わたしは躊躇しながらも、立ち尽くしていても仕方ないと覚悟を決め、マンションのエントランスに入る。

 深月から予め聞いていた部屋番号を押し、ためらいつつ呼び出しボタンを押した。

 うぅ、間違っていたらどうしよう⋯⋯。


『――はい』

 

 少し間を置いて、機械を通した深月の声がインターホンから聞こえてきた。 

 良かった、ここで合ってた! いや、本当にこんな高級マンションで合ってちゃったの!?


「あっ、深月? 朱莉です」

 内心あわあわしながらも返事をすると、『今迎えに行く。待ってて』とインターホンが切られる。

 程なくして、深月がエントランスに姿を現した。

 

 深月の私服姿を初めて見た。青のオーバーサイズカットソーにショートパンツ、白地のスニーカーと全体的にラフな格好だ。惜しみなくさらけ出された白くほっそりした足に、思わず目が釘付けになる。


「足ほそっ! ながっ! どゆこと!?」

「えっ、ごめん、なんか変だった?」

「いやいやいや、大丈夫! 変じゃない! ちょっとびっくりしただけで、なにも問題なし! 今日も抜群に可愛いよ!」

「う、うん、ありが⋯⋯とう?」


 しまった。つい、興奮して引かれてしまった。




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