幕間
幕間 アッシュとベルと
決戦が迫るエクスキャリバーンのシミュレーションルームでは、シミュレーターが2つ起動している。
アッシュとベル。2人とも、その乗機が次の戦いに向けあらたな装備が追加される。それに慣らすためのシミュレーターであるが――どうも2人が揃うと別の方向へとシフトする。
早い話が、負けず嫌いな2人は本気で相手を倒しにかかる。
勿論、これはシミュレーターである。だからこそ間違って相手を撃墜してしまっても構わないので、一切の手加減ナシである。
その結果は――ベルの勝利である。
「なんなんだよあの手数……」
「いや、ハイペリオンの火力と真正面でぶつかると勝てませんからね?」
「いやいや。なんなんだよあのディフェンスモードとかいうの。あんなのどうやって通常兵器で倒せばいいってんだよ……まったく。シルルは滅茶苦茶やるな」
シミュレーターを終えた2人は、自分の機体に装備される新装備のカタログスペックを元にしたシミュレーターでの模擬戦闘を終え、水分補給しながら休憩のためにベンチに座る。
「ハイペリオンのほうはそこまで使い勝手に変わりはなかったが、ベルのほうはずいぶんと変わっただろう?」
「ええ。ですが、それでもフロレントの時よりもずっと戦いやすいですよ」
「流石はシルル、だな」
そう言うと、アッシュはおもむろに自分の腰に収められている銃を取り出し、それをベルに渡す。
それは、惑星レイスの骨董品店でアッシュが手に入れた銃。
アストラバレッタ社製ハンドキャノン、ハウリングである。
「これは……?」
突如そんなものを渡され、困惑するベル。
実際、銃としてはかなり重たく、これを1発撃つだけでかなりの反動がある。
アッシュですらこれを使用して肩を外したくらいだ。
「次の戦い。蛇が絡んでくる可能性が高い。そうなると、俺はアルビオン。シルルはリオンとかいうの。アニマはナイア、そしてお前はアズラエルと戦う事になるだろう」
「……」
「ソリッドトルーパー戦だけでカタがつけばそれでいい。だが、そうじゃなかった場合はどうだ? お前の持つ武器でアイツを倒せるか?」
「それは……」
不可能だ。そう確信する。
体格差だけじゃない。生身と戦闘用サイボーグの差はどうやっても埋められない。
「まあ、護身用で最終手段だと思ってくれ」
「……はい。では、お預かりします」
「ああ。必ず返してくれよ。それ、お気に入りなんだから」
必ず生きて帰る。そう互いに誓い合い、ベルはアッシュからハウリングとその弾丸を受け取った。
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