誰かわたしを叱ってくれよ

微生物

誰かわたしを叱ってくれよ


長い灰ほろりと落ちたのが合図 映画みたいなキスをしました


枝豆とたばこが混じった変な味なのに気分はまるでミシュラン


帰路に着く繋いだ手には朝やけの光を浴びる薬指の銀


重なって花束みたいわたしたち枯れ果てるときをただ待つだけ


ゆるやかなまどろみのなかで君が問う「好きになったらどうする?」 困る



「あのあとは始発でそれぞれ帰ったよ」ごめんね友よ針千本飲む


来世でもみんなで飲もうね!約束はたぶん守れないわたしだけ地獄


アラサーのたしなみ:日傘、ホットヨガ、ジム、レチノール、脱毛、不倫



「会いたい」もキスも嫁のカレー食べるのもひとつの口でおこなわれる


目のラメがつかないように寄りかかる これがわたしの愛の方法


君じゃなきゃ、なんてことはこの世にはないと知っててもそれでもなぜか


空白み君は夫の顔になる夜が足りない夜が足りない




まだ青い紫陽花を捨てる わたしなら綺麗なときだけ見ててほしいから


昼間から女が寿司を食むときはすべて忘れたい そういうことです


墓場まで持ってくものが多すぎて「骨壷 XL」などググる



君が好きというより正確には君がもたらす空気とかが好き



ズッキーニ95円 もうそんな季節か 時はいつでも残酷




ひまわりのような恋をしたいからあなたと会うのはもうすぐおしまい


好きって言わないようにしてたけど終わるならべつに言ってもいいか




臆病でどこへも行けないわたしたち来世ではちゃんと恋をしようね

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

誰かわたしを叱ってくれよ 微生物 @raisehabiseibutsu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ