#30 オービスの反逆

 次々と暴露していくその様を見てメル――メレディスは驚きながらも涙を流した。彼女はこれまでのオービスとブロンの兄弟の罪が白日の下に晒されていく事に喜びを感じているのだ。

 だが、そんな事にオービスは黙っていられるわけがない。


「おのれ! 盗人猛々しいとはまさにこの事! 人の家に盗みに入り、人の秘部を晒しておいて英雄の様に気取るな!」

「え、英雄? 嫌だなぁ。何のつもり?」

「何?」

「俺はただ、子どもを蔑ろにすることも、本来守られるべき存在を守らない事が嫌いなんだよ。ましてやお前は権力に縋るという圧倒的弱者の分際でありながら、もはや子どもを残す事を快感に覚えるケダモノをコントロールできなかったが故に自分の異母妹をギリギリでしか回収できなかった癖にそのすべてをただ子どもを仕込まれ、それを保護して幸せに暮らしていた家族にメスを入れてぶっ潰した癖にその事を快感に覚えるクソチクショウの行動を教えてやっているだけだ」

「じゃ、弱者だと!?」

「ああ! 権力しか持たず、王太子の婚約者として、また将来の王妃の家族として実権を握ろうという魂胆は見え見えだろ。ハッキリ言うが、ダサすぎて吐き気を催すわ」

「黙れ! 政治をろくに知らぬガキが!」

「そんなもの知りたくないね! ましてやお前の所業はお前の日記ですべて知ったんだ。そこにはつらつらと楽しかっただのなんだのと吐き気を催す感想ばかりに書かれていて「あ、こいつゴミだ」と思ったよ。だから本人に頼まれるまでもなく俺が動いたんだ」

「…………そんなことで、そんなことで⁉」

「あとギロチンってそんなに威力高くないのが残念。せっかく大々的に散髪できるかと思ったらちゃっかり耐えているし」


 ため息を吐いたベイルを見て苛立ちを見せるオービス。そこに白と紺の2機のジーマノイドが着地した。


『そこまでだ。大人しく縄についてもらうぞ、オービス・エクランド』

「この声は、サイラス殿下。まさか、あなたはそのキチガイの言う事を信じるというのですか?」

『別に信じるわけでは無いが、だからと言って今のあなたを捕えない、という選択肢は無い』


 突然現れたサイラス。もう1機がベイルに向けて銃口を向けた。


『おっと、あなたは動かないでくださいよ。あなただって立派な捕獲対象なのですから』


 その声に合わせておそらく周りに控えていたのだろうか、王国軍が剣と杖を構えてベイルを囲う。


「そこまでだ、ベイル」

「大人しく捕縛されてもらうぞ」

「…………」


 明らかに良い所を取られているのに何もしないベイル。今回の目的はあくまでオービスだけと考えていた。だが、自分の獲物を奪うとなれば話は別だった。

 軍人たちの足元から何かが走るとそれぞれダメージを負う。


『あ、こら! 動くなって――』


 もう1人がベイルに狙いを定めようとするがそのままオービスの方に向かう。それに気付いたサイラスがベイルの方を見るが、それを見てオービスは逃げ出した。


(クソ! あのガキ共、調子に乗りやがって!)


 心の中で悪態を吐くオービス。やはりデスクワークをしている割には夜の運動をしているおかげか早く動けているが、それでもベイルの身体能力が高い。

 2人が貴族街の方に入って行くと、その先にはウォーレンにハンフリー、それにラルドたちがおり、王国軍の兵士が杖を構えていた。


「そこまでだ、オービス。大人しくお縄に着け」

「……ふざけるな。ふざけるなよクソが!! よくも俺の邪魔ばかりしやがって、ゴミチクショウ共が!」


 そう叫ぶオービスは懐からホイッスルを出して盛大に吹く。その音には特殊な魔力が乗っている事に気付いたベイルはすぐにオービスのサイドに回るが、すぐさま王国軍の方に移動してバリアを展開した。

 すると上空からジーマノイドが降って来る。その機体様式を見て全員が驚いた。


『オービス様、お迎えに上がりました』


 そのジーマノイドが1機、オービスを回収する。


『少々お辛いでしょうが、しばしのご信望を』

「ああ、頼む。ついでにあやつらを始末しろ」

『かしこまりました』


 上空からビームが放たれた。さらにビームだけでなく機体が次々と降りて来る。


「まさか、オービス……お前は一体どこまで腐っているというのか!」


 ウォーレンは苛立ちを隠せない。だがそんな事を言っている事のにベイルは興味を示さない。


「……骨が折れるな」

「ベイル、お前――」


 ラルドが声をかけるが、ベイルはそれを無視して魔法陣を展開。男の割には長すぎる髪をはためかせ、高速ではあるが珍しく詠唱を行った。

 すると降りて来たジーマノイドが次々と消失していき、最後にはオービスを運んだジーマノイドとその近くにあった飛行船が消失した。


『おい、ベイル。お前何を――』


 一瞬、ベイルはフラッとバランスを崩す。しかしすぐになんとか立て直して後から現れた2機のジーマノイドを見て舌打ちした。


『そこまでだ、ベイル・ヒドゥーブル。おかしな真似をするならば容赦はしない』


 白い機体に乗るサイラスがベイルに銃口を向ける。するとさっきまで白かった髪が急に黒くなった事で周囲を驚かせた。


『な、何の真似だ!?』

「相変わらずだなぁ、サイラス・ホーグラウス。お前やっぱり馬鹿だろ。こんなところで俺に構っている暇はないというのに」

『なんだと?』

「ベイル、お前記憶が戻ったのか?」


 ラルドの質問に反応したベイルは笑みを浮かべた後に残酷な真実を継げる。


「残念だが父上、俺は分身だ。本物はとっくに戦場だよ」

「そうか……ん?」


 違和感を持つラルド。そこにベイルの姿を見つけたからか近寄って来たシャロンたち。


「ベイル!」


 シャロンの方を見た分身はそのまま消える。それを見てシャロンは他の人たちを置いて城に戻る。


「どこに行くつもりだ、シャロン」

「ベイルの援護ですよ。あれだけの魔法を使って無事で済むわけないじゃないですか!」

「失礼」


 無理矢理断りを入れてギーザスがシャロンの腕を掴む。


「離しなさい!」

「いや、よくやったギーザス君。そのまま娘を確保して――」

「すみません! 誰か変わってください! 俺、ベイルみたいに厚顔無恥じゃないんで色々と辛いです!」


 本気で言ったギーザスに周りは驚いている。


「え、えぇ……」

「いや、本当、さっきからガクブルなんで無理です! 流石にこの手を離すのはダメだってわかっているし下手に出撃させるとマズいって思っているんですけどね!」


 ギーザスの必死の訴えにハンフリーが変わった。心から安堵したギーザスは崩れた。


「ちょ、大丈夫かいな」


 顔見知りだからかジェシカがギーザスに近付く。本気で辛そうにしているギーザスを見てジェシカはちょっと引いていた。




 その頃、オービスたちは魔族製の戦闘艦に乗っていた。モニターにはいきなり現れたジークフリートの姿があるが、ベイルは仕掛けようとしない。

 ここは王都より20km離れた荒野であり、魔族の襲撃もあってその付近には町もあったはずだが今では跡形も消失している。


「よくもやってくれたな、あのガキ!」

「どうしましようか、オービス様」

「無論、あのガキを殺した後に王都を制圧する。王女はこちらでもらうが王妃共や他の女は全員お前たちで遊べばいい」


 魔族たちのジーマノイドがジークフリートに向かって攻撃を開始。その時、ジークフリートが動き始めた。

 魔族側は警戒したがジークフリートがそれ以上のアクションを起こさないのを見て安堵する。


『脅かしやがって!』


 魔族側の1人がそう言いながら接近してエネルギーソードを抜いてぶった切ろうとした時、どこから現れた黒い槍が機体を貫いて爆散した。


『な、なんだ今のは⁉』

「ええい、怯むな! あのゴミをさっさと破壊しろ」

『……あれ? ここは?』


 どうやらベイルは気絶していたようで、ジークフリートがすぐに動き始める。


「この戦艦より11時の方向から2機が向かっています」

「機体は?」

「サイラス・ホーグラウスのホワイトロイヤル、ブルーノ・セルヴァのブラウシューターです」

「そうか。サイラスは生け捕りにしろ。自分の無力さを教えてや――」


 するとベイルはサイラスの方にジークフリートが持つ右側の銃口を向けて発砲。流石にしっかりとした射撃はできないようで攻撃を外す。


『な、何をする!?』


 ベイルは無視して魔族側のジーマノイドを攻撃。どれも操縦者の命を脅かしそうにないが、それでも武装や脚部、メインカメラを破壊するその所業を見せ続ける。その中で1機、思い切りの良い機体がジークフリートに近付いて来た。


『もらった!』


 その声に反応したのはオービスだった。


「この声、まさか――」

「――そう、あなたの弟ですよ」


 それを聞いてオービスは複雑そうな顔をする。後ろにはいつの間にかあの時接触してきたカインがいた。


「カインか。あれはどういうことだ?」

「あなたの弟が我々魔族の脅威になっているのは間違いない事。その為その遺伝子を採取して生み出したコピー兵士、という事です」

「…………気に食わんが、確かにあの弟ぐらいしかまともな戦力が無い事も――」


 その時、一気に機体が3機も撃破される。さっきとは打って変わって容赦なくコックピットを撃ち抜いた。その所業に周りは引く。


「…………は?」


 黒く小さな噴射口と銃口を持つ小型の兵装が舞い始める。それが正確かつ無慈悲に次々とコピーのブロンを撃ち抜いていった。

 オービスは慌てて自分の席に備わっているモニターを操作してベイルのジークフリートに通信を繋いだ。


「貴様、何故急にコックピットを撃ち始めた!」

『コピーと言えどお前の弟が生きている事が気に食わない』


 そう言い捨てたベイルは次々とその機体のコックピットを貫いて破壊していく。


「黙れ、キチガイ野郎が!」

『異母妹を徹底的に虐めるブラコンホモ野郎が調子に乗るな』


 冷たくそう返したベイルはジークフリートを飛行形態に変形させて高速飛行を開始しながら的確に敵を判別して撃破していく。その姿に唖然とするサイラスとブルーノ。彼らも撃破していっているがそのスピードはもちろん、正確性も申し分ない。王国軍に入れば即戦力どころかかなりの高い階位を授かるだろう。

 だがベイルはそんな事に一切興味を持っていない。

 そしてベイルが空中に浮いている戦闘艦の近くにいたジーマノイドを全滅させて接近した時、流石に周りは焦りを見せた。


「ほ、他に出せる機体は無いのか!?」

「残念ながら。まさか王都制圧用の戦力を削るわけには――」

「良いから出せ! あの男を今すぐ――」


 その時、戦闘艦付近にあったジーマノイドの反応が消失した。


「お、落としたのか?」


 オービスの縋るような声。そこにブリッジのスピーカーから音声が聞こえて来る。


『冗談だろう? ジークフリートを放置して奪われたらどうする。俺は奪うのは趣味だが奪われるのは嫌いなんだよ』

「き、機体を戻して生身でどうにかする気だという気か?」

『オービス・エクランド。お前はつくづくロマンを理解できない哀れで矮小な存在だと痛感させられる』


 笑みを浮かべたベイルはそのままマイクに声を伝えた。


『誰もが一度は夢見るだろ。単騎による戦艦の制圧をな』


 そう言ったベイルは甲板に降り立つ。防衛部隊が現れてベイルを抜剣する。そこにベイルも空中から刀を出して応戦した。




 ベイルがジークフリートをどこかに消し、甲板に降り立ったのを見たサイラスは目を疑った。だがこのまま行かせては面目が立たないと考えたサイラスも戦闘艦に近付こうとした時、後方から応援部隊が到着する。


「応援か。ちょうどいい。我々はこれより反逆者であるオービス・エクランドを捕縛する。お前たち、付いて来い」

『申し訳ございませんが、殿下。我々はあなた方の回収に来ました』

「何だと?」

『それは一体どういうことでしょうか? このままではベイル君に後れを取ると思われますが?』

『お前たちが出しゃばってこれ以上の混乱を起こさないためだ』


 コックピット内のスピーカーからウォーレンが割って入る。


「どういうことですか、父上。我々はオービス・エクランドの暴走を――」

『むしろお前たちは余計な事をしたとも言える。これまでは好き勝手にやらせていたが、勘違いするなよサイラス、お前は元々王族。ベイル君とはその価値が大きく違う』


 急に正論を言われて動揺するサイラス。だがウォーレンは容赦なく言葉を紡いだ。


『ともかくだ、お前たちがこれ以上介入する必要はない』

「……ふざけるな」


 そう言ったサイラスは自分の機体を戦闘艦の方へと走らせる。


『殿下!』

『陛下! サイラス殿下の機体が敵戦闘艦の方へと移動を開始しました!』

『何をしている馬鹿息子! 今すぐ戻れ!』


 サイラスの行動を皮切りに他の機体も戦闘艦に接近。その光景にオービスは驚きを見せた。


「くっ! まだあのキチガイを排除できんのか!?」


 サイラスたちが揉めている間に甲板の敵を戦闘不能にしていたベイルは艦内に移り、次々と魔族を気絶させていく。だがその中にはブロンの姿もあってそれだけは適格に殺していた。


「これは……予想外が過ぎますね」

「早く排除しろ!」

「だ、ダメです! 防衛装置を働かせていますがすぐに無効化されていきます!」

「高がキチガイ1匹何故倒せん!」

「戦闘能力が違いすぎるのですよ。流石、かつて10歳で魔王様に勝った逸材でしょうな」

「……何?」

「おや、ご存知無いのですか? 今ではベイル・ヒドゥーブルと言う名は我々魔族の間では知らない者がいない程の厄災の1つとしてカウントされているのです。魔王様はかつて自分の娘と婚姻をさせようとしたのですが、原因不明ですが突然ゲートを開いて彼のコピーとも言える存在と戦ったのですよ。彼が生きてあのコピーがいないという事はおそらく死んだのでしょうな」


 とカインが笑っているところにブリッジのドアに衝撃が走る。だが今ので破壊でいないと気付いたようで光線のようなものが伸びて現れ、切断した。


「では我々はこれで失礼」


 カインは情勢が悪いと判断してオービスを置いて仲間と共に離脱。同時にベイルが姿を現す。そして何かの武器をオービスに向けた。


「なるほど。本命は逃げたか」

「……どういう、ことだ?」

「お前が持つ技術力でたった1機で空中浮遊をする戦闘艦なんて準備できないという事はわかっている。お前の屋敷は隅々まで調べたからな」

「ふざけるなよ! 平民風情が! いや、例え貴族だとしてもここまでの暴挙は許される事では無い! 私は大公だからな!」


 その言葉を聞いてベイルはため息を吐いた。


「何だそのため息は!」

「いやぁ、俺は貴族になんか生まれなくて良かったと思っただけだよ。まさかこんな出来損ないが生まれるなんてお前の親もさぞ泣いただろうな」

「で、出来損ないだと!? ふざけるな! あの領土は私がいたからあそこまで発展できたんだ! 猿な親父ならばあそこまでできやしない!」

「でもお前も似たような手段で結局失敗ばかり。そのくせ自分の異母妹の精神を折って強力な駒を手に入れたと思ったら初夜でやらかされたと来た。お前は結局自分の才能の限界から眼を逸らして権力に縋りついた負け犬って――」


 ベイルはそこから左に飛ぶと、小太刀が振り下ろされる。


「おやおや、躱されましたか」

「カイン、まさか――」

「いえ。本来ならばここで仕掛けを発動させて終了、のはずだったのですが、何故か作動しなかったので戻って来たのですよ。まさかあなたの仕業です?」

「え? 当たり前だろ?」


 さも当然と言わんばかりの態度を取るベイル。


「使える技術があるなら手に入れる。その相手が魔族だろうが他の亜人だろうが変わらない。ただ敵を倒すだけで俺が帰るとでも?」

「流石、魔王様を倒しただけの事はある。聞きしに勝る強欲っぷり――」

「いや、魔王を倒した覚えは無いけど」


 そう言われてカインは驚いた。


「い、いえ、ベイル・ヒドゥーブル、あなたは確かに魔王様を倒したはず――」

「いや、俺、ベイル・ヒドゥーブルじゃないし」

「……え? へ?」


 理解が追い付かない、という顔をするカインだが、ベイルはその隙にカインに仕掛けた。だが驚き、思考しながらも油断はしなかったカインはすぐにその場から去る。


『まぁいいでしょう。あなたの事はまたいずれ。命あっての物種ですし退散させてもらいましょうか』


 そう残したカイン。だがベイルは躊躇いなく言った。


「あ、生死はともかく魔族の回収ぐらい大目に見るぞ」

「はぁああああああッ!!」


 唐突の申し出にオービスの方が驚きを見せるが、ベイルが容赦なく武器を向けた事で黙った。


『そうですか? では急いで撤収いたしましょう』

「終わったらちゃんと声をかけてくれよ。あと、人数次第だが移動に必要な食糧と脱出艇は多めに見る」

「いやいやいやいやいやいやいやいや! 何を言っているんだお前は⁉ 普通そこは残っている者は全員捕虜にするべきところだろ!」

「捕虜はお前だよ、オービス」


 まさか自分がその捕虜になろうとは思わなかったのだろう。オービスは慌てだす。


『いやぁ、私はただそのゴミが身の丈が不足しているというのに反逆を企んでいたので手を貸したまで。それが上手くいけばいい。無理でも新しいおもちゃの実験になると思いましてね』

「だったら魔王に伝えろ。あまり非人道的な事はするなとな」

『それはできやしませんよ――』

「個人的には割と譲歩のつもりなんだけどな。魔王に娘がいるならクローンを作り出してハーレムを築こうとか考える奴がここにいるし。あと個人的に、それはともかくクローンの存在は気に入らない」

『なるほどなるほど。それは是非ともお伝えせねば』


 ベイルの発言がシャレになっていない上に矛盾だらけなのだが、これ以上深く突っ込まない方が良いと考えたのか、カインは真剣な声でそう言って気配を消失させていった。

 ベイルは何度も確かめるが気配が無い。


(やりにくい……)


 それがカインと会った時のベイルの感想だった。

 今回の敵はベイルにとってとにかくやりにくいかった。ただこの一言に尽きる。普段ならば暗殺者に絡まれればどうにかできるぐらいの技量は持っていると思っていたが、ここまでやりにくい相手はそうもいない、と。


(それはともかく、まずはこいつだな)


 ベイルはオービスを影で作られた縄で拘束する。


「お、おい何をする――」

「ん? それはもちろん」


 満面な笑みを浮かべて自分の右腕を強化するベイル。


「メレディスは流石に力不足だろうから、俺が代行するのさ」



 少ししてベイルがオービスを戦闘艦の甲板に連れて来る。顔は酷いぐらいに腫れ上がっており、両足はもちろん両手もあり得ない方向に曲がっていた。股間にあるイチモツは破裂しているが、それに関してはベイル印のデュアルポーションで回復させられている。

 男としても人としても未来を潰されたオービスはもう生きる気力もない。しかしそれを無理矢理生かされているようで「コロシテ……コロシテ……」とうわごとのように言っていた。


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ギロチンも髪の毛で耐える、相手が貴族だろうと容赦は無い。もはや一種の災害ですね、これ。

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