#12 強襲と恐怖
アーロン様とアメリア様に睨まれながらも食事を終えた俺は風呂に入っている。隣にはグレン様もいるのだが男同士だが問題ない。
「ところでベイル君は、実際のところカリンの事はどう思っているんだい?」
「……どう、とは?」
「好きかどうか、さ」
ふと、前世の事を思い出す。今では遥か昔の事なんだろうが、昔は修学旅行とかでもこういった恋愛話をしたもようだ。だがグレン様、流石に自分の妹をそう簡単に進めるのはどうかと思うんだ。
なのでこっちの意見を遠慮なく言わせてもらおう。
「そりゃあもちろん好きですよ。ですがそれはあくまで愛玩動物に向けるような視線であって、恋愛対象としてはなんとも……そもそも相手は10歳ですし」
そしておそらく、彼女の感情はおそらく知り合いにお兄さんに一定の好意を向けるだけだろう。それにカリンちゃんにはシルヴィアが日頃から世話になっているし、何より可愛いので俺も構いがいがある。
「じゃあもし、カリンが他の男に嫁ぐという話になったら――」
「徹底的に素性を調べ上げた上で、向こうがカリン様の事をただのお金を運んでくるだけの女と判断した場合は死んでもらいます」
俗に言う悪役令嬢を追放するような、そんな程度の扱いしかしないのであればこっちだって容赦はしない。まぁ、流石にそんなことをする奴はいないだろうが、するならば家と領地が更地になる事を覚悟してもらおう。
「ま、真顔でそれを言うんだ」
「当たり前でしょう? ちなみに俺は王子がアメリア様に対して酷い事をした瞬間、例え周りを巻き込んででも徹底的に潰しますからね?」
「お願いだからそれは絶対に止めてくれ」
そんな事を言われても俺は絶対に躊躇いはしない。元々俺が強くなった理由はその辺りもある。
「やっぱり愛玩目当てか」
「……失礼だということは理解していますが、むしろ性的に見るよりかはマシと思っていただければ」
「でもアメリアの事はまだ好きなんだろう?」
そう言われて俺は一瞬戸惑った。
「な、何のことやら」
「別に隠す必要はないさ。君がアメリアの事を好いている事は察している。そうじゃなければあの時、殿下が他にも嫁を迎えるだと知った時に君は殿下を殺そうとしないはずだよ」
まさかそこから感情が漏れ、予想されているとは。というかグレン様がニヤニヤしているのを見るとどうしてもウザいんだが。本当に何で笑っているんだ、この人。
俺は所詮子爵家の四男坊。対して向こうは王太子の婚約者。どっちが正解かなんてものはたった数秒でわかる事案だ。
そろそろ本気で俺もグレン様を弄りたい、という事もあって姉のマリアナの事を話題に出してみた。
「そういえばグレン様はウチのマリアナにお熱だと聞いたんですが?」
「ああ。でも今は一体どこにいるのかわからないんだ」
俺の姉、マリアナ・ヒドゥーブルはとある事情で学園を中退している。
というのもまたクリフォード関係なのだが、色々あって決闘をして相手をボッコボコにした挙句にグレン様含めて凍らせたらしい。流石は風魔法と水魔法のレベルを上げてようやく実現できる氷を幼い頃から使い続けた氷の魔女だ。能力が違い過ぎる。別に俺も氷魔法は使えなくは無いが、姉程の練度は無い。
実は俺が自分の家族に対して見下していないの点はこういう専門性の高さもある。まぁ、残念ながらポーラは魔法使いとしても戦士としてもハンデを背負っているのでちょっと見下しているが、それでも完成された戦士としては他の奴らにも決して劣っているわけではない。
「凄かったよ、彼女は。あそこまでの攻撃魔法は早々お目にかかれない」
「ただの練度不足かと」
「実際向こうは傭兵すら雇っているというのに、その傭兵すらあっという間に倒したんだ」
「そりゃあ、こっちは他の貴族と違って実戦仕様がデフォルトですからね。他の奴らと同じに扱われては困りますよ。というか、そもそも何でクリフォードと決闘をすることに?」
「さぁ? 聞いた話だが何でも向こうのご令嬢は私と結婚するつもりだったそうだ。私は別にその時は今ほど彼女に熱を上げていたわけではないが――」
「それは無理ですよ。ウチの基本的方針は愛せる相手と結婚するですから。遺伝子目的で結婚してくださいっていうのはタブー中のタブーです。忘れていると思いますけど、そもそも我々は権力に屈する程弱くは無いんですよ?」
「まぁ、そうだね。今では凄く後悔しているよ」
「しかもあなたはマリアナと結婚するつもりで、向こうは「所詮子爵程度の野蛮な猿がグレン様の妻など相応しくありませんわ!」とか言ったんでしょう?」
「何で知っているんだい?」
「え? まさかの正解?」
本当にクリフォード家って不思議だよね。いくら近い関係だからって大した実力も無い癖にあそこまで威張れるんだから。大体アイツら、王家が動かなければ俺らヒドゥーブル家が乗り込んで皆殺しや領土を強奪はしないにしろ、家族全員ボコられた上にヒドゥーブル家に喧嘩を売った家の末路として晒される運命だったんだという事を忘れていないだろうか?
「もう一度話をしたいんだ、彼女と。どうにか協力してくれないか?」
「ダンジョン攻略してダンジョンコアを手土産に結婚を申し込めば良いじゃないですか」
「それはちょっと難しいかな……」
そんな事を言われたら俺には他のアイデアが思い浮かばない。脳筋を舐めないでほしい。
「それはグレン様の努力次第ですよ。というか本気で鍛えた方が良いのでは?」
「正直、死にたくないんだが」
「でも努力しなければ得られるものなんてありません。俺だって努力したから今では王国軍が雑魚集団だと思えるくらいに強くなれたんですから」
「……いや、普通は王国軍を雑魚と思えるくらいに強い子どもなんて異常の極みだからね?」
そんなこんなで俺たちはスッキリして後は寝るだけ、という状況で俺は早速ベッドで寝る。しばらくするとふと目が覚めたので隣を見ると、さも当然のようにカリンちゃんが隣で寝ていた。どうやら枕を持ってきていたらしい。鍵はかけたはずなんだけど、もしかして合いカギでも使ったのだろうか?
不思議に思っているが残念ながら知ってしまった以上は一緒には寝られない。そう思った俺はソファを見てそこで寝直そうと考えた時、近くの窓ガラスが割れた。
咄嗟にカリンちゃんの近くに移動して彼女の周囲にバリアを張った時に、一直線にこっちに向かう影があったのですぐさまアガートラームを起動と同時にクラウソラスを展開して切りかかる。
「お前は誰だ?」
尋ねても相手は答えない。敵はフェイントかけつつ俺に攻撃してくるが、中にはカリンちゃんに向けて攻撃してくるのもあったのですべて弾いた。別に弾かなくても良いのだが面倒な事になるのはわかりきっているのですべて弾く。
それにしても相手は背が小さいのか当たらない。まさか子ども? と脳裏に過るがそれは無いと断じる。
思考で動きが鈍ったのか、俺の隙を突いてそいつはカリンちゃんを狙おうとしたので思い切り蹴り飛ばした。サッカーボールの様に窓ガラスを突き抜けて飛んで行ったので俺も後を追おうとした時に部屋に明かりが点いた。
「な、何の騒ぎだ!?」
慌てた様子のグレン様が現れたので俺は簡潔に伝える。
「敵襲だ。俺は追跡する」
意外とスピードが速いのでここでモタモタしていたら見失う。その為破片を退かせてた後に袋に入れてテーブルに乗せたらそのまま魔力で翼を出して空を飛んだ。
これにより俺はジーマノイドを使用しなくとも早く飛ぶことができる。まぁ、ジーマノイドに乗っているから強いと錯覚するのは間違い。一流の操縦者ならば生身で無双できるくらいに強くならないといけないだろう。乗る前に殺されるなんてシャレにならないんだから。
という持論はともかくとして、敵が移動している方向に飛ぶと、向こうも俺に気付いたのか攻撃してくるが俺は最小の動きで飛んできた得物を回避した。
(まるで暗殺者みたいだな)
そんな感想を抱きながらクラウソラスから通常のアガートラームに切り替えて接近。そして一撃で沈める為に拳を作っていると向こうは刃物で俺の顔を傷つけた。
(中々やる)
俺は自分の血を撒き散らしながら距離を離した相手を追うと向こうから魔砲が飛んできた。それをすべて回避した俺は加速して相手の背後に回って回し蹴りを食らわせた。
少し酷いとも思ったが今はそんな事を言っている場合じゃない。そして止めを刺そうとした時に向こうが血反吐を吐く。もう終わりかと思いながら相手の顔を確認する為にフードを取る。
「…………え?」
中身を見て驚きを露わにした。と言うよりも理解できないというのが正しいのかもしれない。何故なら相手は少女――つまり、子どもなのだ。
子どもがここまで動けるという事は経験上、あり得ない。俺も何度かダメージを与えており、急いで相手の服を脱がせると外傷が酷かった。
「……嘘だろ?」
その時、俺の中で何かが暴れ始めた。俺も口から血を出して彼女の顔にかかる。
(こんな時に……)
身体から鱗のようなものが現れる。だがその前にと異空庫からポーションを出した俺は彼女に飲ませた。市販の奴よりかは利く上に副作用も存在しない、理想の薬。
(だ、大丈夫だ。大丈夫……)
そう言い聞かせるながらすべて飲ませたが、彼女は反応を見せない。彼女の首に触れるが脈が無かった。
思わず彼女から離れてしまい、距離を取るがちょうどそのタイミングでアーロン様とグレン様が従士を連れて現れた。
■■■
ガタガタと震えるベイル。その近くにいるのが少女と知って信じられないという顔をする2人。そこに2人を追い越してアメリアがベイルに近付く。
「ベイル?」
「……俺……人を……こどもを……」
「大丈夫。あなたは悪い事をしていないから」
そう言い、ベイルを抱きしめるアメリア。その光景を見てアーロンは唖然とするがグレンは平然としていた。
「大丈夫……大丈夫だから」
なおも落ち着かせようとするアメリア。そんな2人の世界をアーロンが破壊する。
「それよりもだ、ベイル君。この子が襲撃者かな?」
「……た、たぶん」
「父上、少し落ち着いてください」
「そうは言われてもだ」
その時、ベイルは何かを感じて上を見る。そこには4人の影があり、ベイルは素早く影を飛ばして捕縛。襲撃者が怪我しないように重力を操ってゆっくりと降ろした。
バルバッサ家に所属する従士たちが襲撃者のフードを取ると、全員が子どもでベイルを恨めし気に見ていた。
「お前ら……何で……」
「黙れ悪魔」
「世界の理を壊そうとするバケモノめ」
それを聞いてアメリアが立ち上がろうとするが、その前にベイルが彼らに近付いて彼らの首輪から出ている紐のようなものを切断すると、彼らは力なく倒れた。同時に首輪がショートして自動的に外れる。
「……見つけた」
「見つけたって、何を?」
「こいつらを操ってる奴。ちょっと言って来る。この子たちはそいつに操られていただけだから、保護をしておいてくれ」
アメリアにそう言ったベイルは翼を生やして飛んで行く。さも当然のように飛んでいく様を見てアーロンは唖然としていた。
「というか、あの鱗は一体……」
「それはまた聞けば良いでしょう。それに心当りありますし」
サラッとアーロンの質問に答えるグレン。アメリアも同様であの日の事を思い出していた。
時刻は真夜中になろうとしていた。ウォーレンが第三の妃であるフィービーと行為をした後に一息ついて寝ようとしていたところにドアがノックされる。
『おやすみのところ、失礼します。ベイル・ヒドゥーブルが至急面会をしたいと申し出ておりまして……』
そんな声を掛けられて一瞬で目が覚める。時刻は真夜中。大体の大人たちもこれから寝ようとするところだろうが、それでもあの少年は起きて面会を求めているのだ。
「適当にシャロンの部屋に突っ込んでおけ」
『そ、それが……神父と黒い装束を着た少女も一緒で……』
ウォーレンは慌てて服を着る。
「なにごとですかぁ?」
先に寝ていたのか、眠気眼をこすりながら起きようとするフィービーを宥めてウォーレンは謁見の間に移動。そこでは地面に仰向けで大の字で寝ている神父の服装をした老人に、その隣で少女を押し倒して何かをしているベイルの姿があった。
だが一応、ベイルと認識できるが身体のところどころから鱗が見える。
「ベイル君、何事だ。君は男を押し倒す趣味でもできたのか?」
「黙れ」
睨まれただけで漏らしそうになったウォーレンはなんとか耐える。
「よし、外れた」
そう言ったベイルは少女の首から外した首輪をその場に浮かせてポーション瓶を出して少女の口に突っ込む。少しして少女は意識はまだ混濁しているが、キョロキョロと見回して隣に寝ている老人を見て悲鳴を上げた。
「イヤァアアアアアアアアアアッ!!」
慌てて起き上がって逃げようとするが、その場でこけてじたばたする。
「お、落ち着け。大丈夫だ。俺は君の味方だから」
「いや、いや! 来ないで!!」
その言葉にベイル自身がダメージを受ける。わけがわからず混乱するウォーレン。その隣から姿を現したフィービーが女の子に駆け寄る。
「大丈夫ですかぁ?」
「あ……あ……」
「えっとぉ、たぶんですがそこのおじさんとぉ、何故か泣きそうになっているお兄さんは味方ですよぉ?」
「お、おじさん?」
実際ウォーレンは年齢的にそう呼称されてもおかしくない。
少女はフィービーの言葉に安心したが、それでも老人を見て悲鳴を上げる。流石のフィービーも気付いたのだろう。
「あなたが怖いのは、その老人ですか?」
少女が何度も頷く。それを見てベイルも少女に近付いた後、しゃがんで確認した。
「あの人に何をされたの?」
「一杯叩かれた……言う事を聞かないとお仕置きだって言われて、その首輪を嵌められたら気持ち悪くなって……」
ベイルはすぐさま首輪を引き寄せて魔力を流して効果を確かめると殺気を漏らした。
「お、おいベイル君! とりあえず落ち着きたまえ!」
「安心しろ。俺は落ち着いている」
「落ち着いているならともかくその人を浮かして殺そうとするのを止めたまえ!」
そう言われてベイルは舌打ちをしてまた床に叩きつける。
「お、おのれ……子どもの皮を被った悪魔がぁあああああああッ!!」
「遺言はそれだけか?」
尋常じゃないレベルの殺気を放つベイル。展開したクラウソラスがまるでベイルの感情に応えるように黒く染まって行く。
その時、ドアが開け放たれて王国軍人たちが入ってくる。
「お、王国軍か。その悪魔の皮を被った子どもを捕まえろ! こいつは魔族に通じて――」
「……で、この場合はどっちが捕まえるのが得策で?」
よほどイライラしているのか、先頭で指揮を執っていると思われる男から殺気が漏れている。
「とりあえず、この男だ」
「しょ、正気ですかウォーレン陛下! この悪魔は――」
「俺ならともかく、この首輪で子どもを操って刺客として送る奴の方がよっぽど悪魔だろうが!」
「……なるほど。おい」
軍人が神父を捕縛。そのまま地下の牢獄へと移動させていると男――もとい、ラルドがベイルに近付く。
「で、その鱗は何だ?」
「……さぁ?」
「何だ?」
「……ドラゴンの鱗、かなぁ?」
顔を逸らし、先程までの殺気は完全に消えているベイルはたまたまフィービーと顔、そして彼女の姿を見て異空庫から大き目の布を出して視線を逸らしながら彼女と少女に被せた。
「ベイル君。君に一体何があった? 何故ドラゴンの鱗が君の身体に出ている?」
「知らねえよ。最近イライラすると出て来ることがあったからなんとか抑えていたけど……」
「まさかドラゴンの血を飲んだ事があるとか?」
ラルドに言われてベイルは一年半前のことを思い出した。
「もしかしてあの時か?」
「あの時?」
「俺、前にドラゴン相手に生身で戦った時にドラゴンの血を全身に浴びてさ。もしかしたらその時に飲んでしまったかもしれない」
男3人で顔を青くするが、ベイルはすぐに自分のメリットを考えて安堵する。
「これ、シャロンに嫌われるんじゃない?」
「だ、ダメだ! それだけはダメだ! もしそんな事をしたら、あの子は今度こそ弟たちを殺すかもしれない!」
「いやでも、夫候補がドラゴニュートになっているんだぞ? 流石にアイツも嫌だろ」
ベイルがあっさり言うが、そこに意外と高評価が与えられる。
「私は別に良いわよ。ベイル君がドラゴニュートになっているのは前々から知っているし」
そんな事を聞いたベイルとウォーレンは驚いて振り向くと、そこには黒いネグリジェの上に黒いカーディガンを羽織ったシャロンが立っていた。
「ちょ、おま、なんて格好で来ているんだよ!?」
「この方が楽なのよね。最近胸が大きくなってきて辛いし」
ベイルは慌てて黒い布を出してシャロンに巻き付ける。顔を赤くしながら対応するベイルを見てウォーレンはニヤニヤし始めた。
「全く。少しは恥じらいを持てよ」
「あら、そんなに私の身体を他の人に見せたくないの?」
「そ、そういうわけじゃ……って言うかそれよりもだ、オッサン。今後どうするんだ? とりあえずあの子は保護するとしてだ」
「ああ。詳しい事はあの神父に話を聞く必要がある。場合によってその首輪を嵌めなければいけないな」
それを聞いたベイルが一瞬首輪を付けたさっきの神父の姿が脳裏に過った事で吐き気を催した。
「大丈夫か、ベイル君?」
「何だろう。今すぐあの神父を殺したい」
「落ち着いてくれ。一応手続きとして言質を取っておく必要がある」
「そんなことしなくても教会を吹き飛ばしてしまえばいいだろ」
「それはそれで問題になるから却下だ」
良いアイディアだと思ったんだけどなぁとこぼすベイル。少ししてある事に気付いて提案した。
「じゃあ、物理的にひっくり返すってのはどうだ?」
「そんな事ができるわけな……」
ウォーレンはまじまじとベイルを見る。視線を感じてベイルは誇らしげにしたので確信したのだ。
「ダメだからな?」
「……こうしている間に他の子どもが酷い目に遭っているかもしれないし」
「ダメだから! まずはあの神父から話を聞いてからだ」
そう断言するウォーレンはさっきの首輪を探していると、シャロンがその首輪をベイルに嵌めようとしていた。
「しゃがめ!」
咄嗟に反応したベイルはその場にしゃがむと、シャロンが首輪を持って突き出している。
「……何をしようとしたんだ?」
「この首輪を嵌めたら、ベイルが私とそういう関係になるんじゃないかなって」
ベイルがひったくるようにして奪い取り、異空庫に入れる。
「返して!」
「俺の貞操観念を初めとして色々と無くなりそうだから嫌だ!」
そうやって抵抗するベイルだが、体力――というよりも精神の方がすり減っていたのかその場で倒れるベイル。
「……あれ?」
何故か力が入らない事を不思議に思っているが、それよりもラルドが空気を読んでいつもの部屋に運んで寝かせた。
翌日。ウォーレンは優雅に昼食をとっている。朝から神父に対して尋問を行っていたが一向に進まないのであの首輪を使おうと考えていたところに食堂に兵士が入って来た。
「何の用だ?」
「た、大変です! ベイル・ヒドゥーブルが各所の教会を強制封印して教会の秘密を暴いてしまいました!」
それを聞いてウォーレンは持っていたナイフとフォークを取り落としたが、残念ながら床にはカーペットが敷かれている為小気味いい音が出る事は無かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます