第4話

2限、星ごとの授業。

簡単な歴史とこれからについての話し合いが行われた。

自分たちはこれからどこへ向かっていくべきか。知らんがな。

そーいうのは偉い人が決めればいいのである。

ここにいるのは未来の偉い人? なるほど、ごもっとも。


3限、共通授業。

簡単な歴史とこれからについての話し合いが行われた。ただし、今度は宇宙単位。

自分たちはこれからどこへ向かっていくべきか。知らんがな。

そーいうのは偉い人が決めればいいのである。

ここにいるのは未来の偉い人? なるほど、ごもっとも。

えっ 俺ぇ!? 今の偉い人なの!? 11歳に未来託すなよ、マジで。


4限、選択授業。

それぞれの歴史と考え方についてディスカッション。

議論議論で疲れてきた。

なるようになれじゃダメなの? ダメなの。そう。残念。


それより宿題という名の自主学習が恐ろしいことになっているんだけど、どうしよう。なんなのこの量。通しでざっと読むだけで2時間は掛かりそう。しかもそれぞれの学習速度に合わせてて、俺のクッソ難しいの。


給食の時間。

ご飯食べるのに大変で友達作りなんてしてられなかったよ。

頭使うとお腹空くんだよね。しかも間食できないからさ、ここじゃ。

こっちきてからげっそり痩せちゃったよ。


5限。

俺は7人の生徒に囲まれていた。2人増えてる。

年齢もバラバラで、全員俺より年上なので恐怖すら覚える。

困るんだけど。増えるなら連絡しよう? 国家プロジェクトなのはわかるけどさぁ。


「じゃあ、授業を始めるよー。皆、どのあたりまで出来る?」

「魔物にしたり戻したりは全員出来ます」

「マジか。じゃあ、その魔物を従える所からやってみようか。別にスライムじゃなくてもいいよ」


 俺は魔物石を変化させて、大きな人型の魔物にして、俺を持ち上げてもらう。

 高ーい! きゃっきゃと俺ははしゃぐ。


「先生、ダンジョンの操作についてはいつ学ぶのですか?」

「そうだね。僕らが今やってるのは、パソコンのプログラムの仕方の初歩。最終的にOSやAI、ファイアウォールを作れるようにしたいと思っているよ。でもそこまで行くのは大変だから、OSを使ったパソコンの操り方もやってみようか」


 という事で、ダンジョンコアの操作方法を教えた。

 皆、大喜びだった。


「まー、俺はここにいる全員から即座に主導権取れるけどねー。自分でセキュリティ管理できる程度には学んでほしいな」


授業の前半は基礎で、後半は応用。


 5限も6限も盛況に終わった。


 宿題からは目を逸らして、飲食店の経営である。

 プロが経営してくれて、俺のわがまま聞いてくれるだけの親切設計だから安心である。

 ゲームとコラボ! ゲームとコラボ!

 お、兄からのお電話だ。


『宿題はしたかい? 宿題しないとダメだよ』


 Oh……。


「でもにーちゃ。宿題が質量ともにもはや不可能の域に入ってるんだけど」

『にーちゃは要が天才だってちゃんと知ってるよ。にーちゃはとっても誇らしい』

「が、頑張る……」

『えらいよ、要』


 本当にな。でも俺は偉くなくていいと思うんだ、兄よ。


『要が活躍できる世の中になってとっても嬉しい。にーちゃ達は時代遅れの方がいい』


 そこのニュアンスに、俺は悩みを嗅ぎ取った。

 日本のニュースを見てみると、なんだか元兵士が問題になっているようだった。

 それはそうだ。今まで、力が基準だったのに、それをいきなり無価値と言われれば問題は起こらないはずがない。

 クーデターが起きそうな所もあるらしい。命懸けで頑張ってたのに放り出されたらそりゃ怒る。解決方法はある。でも、それはにーちゃに怒られないことが条件だ。


「にーちゃ! 困ってるの? 俺、天才だから、にーちゃの困ってることなんとかできると思うよ。ダンジョンだってなんとかしたろ?」

『要……。本家の子が一般に溶け込めなくて問題を起こしてしまってね。今まで戦えって言ってたのを、いきなり戦うなというのは問題があるみたいなんだよ。どうにかできないかな』

「まーかせて! 楽しみに戦闘訓練してて待ってて!」


 さて、偉い人に電話である。


『やあ、要くん。学校は溶け込めてるかい? 宿題は順調かい? 成績優秀と聞いてるよ。社会科目以外はね』

「社会だけは覚えるしかないからね。でも、就職は困らないと思うよ。あのね、首相。にーちゃの本家の人達が困ってるみたいなんだ。そりゃそうだよね、戦いをいきなりするなって言われてもね。ねぇ、空いてる星ってまだあったでしょ。もらったいちおくえんで、戦いが好きな人を誘致してダンジョン街を作ろうと思うんだ。今使ってる大陸とは別大陸にするし、あんなゴミクズみたいなダンジョンをダンジョンだって思ってほしくないんだよ、やっぱり。ダンジョンを攻略すれば、食料や資源が手に入るようにして、擬似的に冒険者ができるようにしたいんだ。希望者だけそこに住めばいいよ。平日働いて、休日ダンジョンに行くのでもいい。困りごとがあって人手が必要だってなれば、そこから緊急転送すればいいし。力を持たれるのが不安だっていうなら、ダンジョン参加者は講義とマーカー必須にすれば、問題起こしたマーカーはダンジョン街で引き取れるよ」

『要くん……。どれぐらいで準備ができますか?』

「一年ちょうだい。あと、宿題と授業免除して。あ、5限と6限はちゃんとするよ! 俺は責任感があるからね!」

『何もかも頼ってしまって申し訳ない。全力でサポートするし、責任も取るので、頼めますか?』

「まーかせて! にーちゃへの説明、手伝ってね!」


 やった、翌日から宿題やんなくて良くなったぞ!

 お菓子片手にダンジョンコアを構ってればいい日々……天国だ!


 ってことで、生徒達よ、隣の大陸に遠征だ。

 んん? 授業? タブレットで大丈夫でしょ。


 本物のダンジョンって奴を見せてやんよ!

 

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