第2話

大変である。家が無職になった。

ダンジョンの間引きがお仕事だったんだから、そりゃそうか。

各国は泡を食って異能者達、ダンジョン攻略者達の受け入れ先を作る事になった。

子供の教育と職業訓練、軍人への転向などである。

一ヶ月で法案とかどうにかするから、その間地球防衛しつつ、待っていて欲しいと言われた。


毎日、兄に送り迎えされて、ダンジョンの手入れをしながら質問に答える日々。

本家にも挨拶に行った。受け答えのほとんどは兄がしてくれたので、俺は平伏しているだけだ。足が痺れるのが唯一の難題だった。お褒めの言葉をもらったので良しとする。褒美はお菓子で貰ったが、健康に留意しなさいと注意されてしまった。食事制限が始まりそうで恐怖である。


国会では殴り合いなど起きつつ、急ピッチで法整備を進めているようだ。


ダンジョン攻略しか知らない人たちに、ダンジョン以外の仕事を与える。

なかなかの難題である。やっぱりダンジョン復活させちゃダメ? ダメですか。


じゃあ、惑星侵略……もとい、惑星開拓はどうかな。

向こうの人類デストロってさ。それもダメ?


賠償金とか、どうするのかなと思ったが、自衛出来るだけでいいらしい。

欲のないことだ。


最初は非人道的な遊戯を強制した異星人に鉄槌を! とか言ってたが、反撃した事やその資料を見て、ぴたりと口を閉ざしたらしい。大人八割デストロイしておいたというのはインパクトがあったらしい。


そして、向こうの人達、他の星にも悪戯してたらしくて、どうするか兄に問うたらダンジョンは須く停止する事が決定された。


被侵略惑星の人達は、庇護を求めてきた。

彼らと共に、ダンジョン被害者の会を結成する事となり、会議時間は二ヶ月伸びた。

文明が完全に破壊されている星もあり、援助が決定された。

とりあえずダンジョンの魔物を総動員して広大な畑を作っておいた。


俺の提案で、滅ぼされてしまった星にダンジョン被害者の会の本部を作り、そこでダンジョンを学ぶ学校など作る事になった。惑星間移動はダンジョンを使えばOKである。狙われた星は似たような星ばかりなので、あと心配なのは病気くらい。

その辺はダンジョン転移装置でウィルスをできるだけ防いで、医療体制を万全にして頑張る事になった。



「向こう」? 適当に独力で頑張るんじゃないかな。

 念の為、文明っぽいものは壊しておいたので、原始時代から頑張れ。

 しかし、追撃を望む星がなかったのが不思議である。


 結局、色々な準備を整えるのに急ピッチでも一年掛かってしまった。

 その間学校に行けてないので、留年が心配だ。


 よく考えたら、これ魔法文明の銀河帝国の興りじゃない?

 直接干渉するとこんな簡単で早いのか。


 なんだかびっくりである。


 さて、最初の授業だ。講堂に、1000人もの生徒がいる。彼らはボタンと魔物石を持っている。

 これでもだいぶ絞ったエリート中のエリートである。

 しかも第一陣。これから、休憩を挟みつつ、6時間も同じ事をしないといけないのだ。大変である。


「さて、皆さん。配られた石、魔物石を握ってー探ってー。スライムになれってお願いして〜。危険だから、普通のスライムだよ」


 俺は魔物石をぷよぷよしたスライムに変えた。


「初めの30分、魔物石を動かしたり休ませたりするから、違いを感じてね。動いてるって感じたら手元のボタンを押して。その後30分起動状態にするから、その間に魔物に出来た人は生徒だよ。腕章を俺から受け取ってね」


 結局、出来たのは3人くらいだった。

 3人かける6で、18人くらいか。それならなんとかなりそう。

 ちなみに、感じ取れるまで行けた子はこれから集計だ。

 その子達も受け持つことになる。

 落ちた人の心配はしない。彼らはエリートだし、ここは異星文明の宝庫。学ぶ事もやる事も山ほどあるのだ。


「6000人試験して、通過は5人かー」


 最初の1000人は異能者などの上澄中の上澄だったらしい。それにしても5人とも、頭良さそうな顔をしているし、体も丈夫そうである。後、性格良さそうな子しかいない。美しさまである。心技体、全て揃ったエリートというわけだ。

 

「じゃあ、まずは魔物を石にしたり魔物にしたりできるようにしておいてね。あんまり頑張りすぎてもいけないから、これから毎日最低30分、最大2時間頑張ってみよう。授業時間は毎5、6限目だよ。6限は自習で、5限だけ見るから、質問はその時にね」


 俺がパンと手を叩くと、魔物は石へと戻る。

 6限は魔物石の魔力を感じ取れる人が魔物を作り出せるようになるための授業だ。

 そればかりもやってられないので、午前中は僕も普通に授業だ。

 この学校は1時間目は道徳で(一番力が入っている)、2時間目は星ごとの授業。3時間目は共通授業。4時間目は選択授業。5、6限目は国からそれぞれの生徒に指定された授業を受ける。

 授業はハイパーハイスピードで進む為、エリート以外お断りの凄まじい学校だ。

 ついていけるか不安だなぁ。


 そして午後は飲食店経営。ようやくお店と人員が揃ったので、今日はこれから経営会議である。予算はある。予算だけはある。頑張るぞー!

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